一成さんへの回答

77才のお母さまがMRIで高度の海馬萎縮とMMSE21点との結果でアルツハイマー型認知症と診断されドネペジルの処方を受けたとの事ですが、貴方が1週間しか飲ませなかったとのお話は、それで良いと思います。MMSEは21点以下で認知症との診断となりますが、お母さまの体調やテストをする側の熟練度によっても点数は微妙に変わって来ます。海馬の萎縮もアルツハイマー型認知症の大きな判断材料にはなりますが、それだけが絶対ではありません。
画像診断だけで認知症の診断が確定出来ると考える医師が多いのには泣かされます。それらは一つの参考資料です。海馬の萎縮がMRIで認められても認知症状の出ない人は沢山います。ただし、ドネペジルを2~3mg(顆粒)を2~4週間、服用して頂き認知症状にどの様な変化が見られるかは、大きな治療診断となります。この程度の量ですと副作用の危険は、そんなに心配しなくても良いですし、また急にドネペジルを中止したとしてもリバウンドを恐れる事はありません。
問題はドネペジル3mg×2週間、次にドネペジル5mgと云う増量方法にあります。多くの認知症専門医が行っている処方ルールです。何故なら、これは厚労省が定めた増量規制となっているからです。
「日本認知症学会」が正式に発足したのは2005年です。僅か12年しか経っていないのです。「認知症」と云う医学自体が、発展途上の余りに未発達な分野なのです。つまり未だ、専門医も厚労省も多くの試行錯誤を繰り返しているのです。当然の如く、誤診も多く医療不信を招く結果ともなります。
MRIとか、SPECT(脳血流量の測定)などの高度医療機器の前で多くの医師が盲従してしまう危険が見られます。しかし、それらは一つの参考資料なのです。大病院程、この傾向が強いと思います。
本当は患者さんの全体像を見ていかなければならないのに、その様な地道な訓練を受けている医師が極めて少なくなっています。
逆に一成さんが行っている記憶力テストや適度な散歩、水分補給などが現在は見直されている基本的な認知症の治療とも言えるのです。その上でドネペジルを少量づつ服用して行くのが、現時点の医学水準となっています。未だ安易に薬だけに頼っている医師も多いのですが…
ですから77才のお母さまには、一成さんが行っている記憶力テストや適度な散歩、水分補給などで良いと思います。その様な努力で認知症が何年も悪化しないケースは多数認められます。しかし問題は、転倒による下肢の骨折です。この骨折を契機にして一気に認知症が悪化させてしまう例が数多く存在しますので、ご注意下さい。
「ご質問」
成川様 はじめまして。 よろしくお願い致します。 77歳の母が認知疾患センターのある病院でアルツハイマー型認知症と診断されました。最終的な診断をされた先生は問診やテストをした先生ではありませんでした。MRI画像で高度の海馬萎縮とMMSE21点、ポイントが高い程悪いテストで14点。以上を見てドネペジル3mgの処方。2週間後に5mgにすると言っていました。見当織障害と理解力 判断力低下と書かれていました。
自宅で世界一簡単な時計と時間を書いてもらうテストをしましたが3分程で普通に書けました。 長谷川式やMMSEテストは軽度の点数でした。 アルツハイマーは確実だと思いますが、日常生活では炊事洗濯も普通にできますし睡眠もとっています。 
ドネペジルは長期服用すると止めた時のリバウンドや副作用を考えるとリスクがありそうなので1週間で止めました。 そのかわりに記憶力テストや適度な散歩、水分補給などをするようにしました。 もしそれで悪化があれば違う病院を探そうと考えていますが専門医は遠方にしかいません。 今後どうすれば良いと思われますか。

アルツハイマー型認知症

千栄子さんへの回答
71歳のお姉さまは確かにお母さまを亡くされ生き甲斐が少しづつ薄らいで行ったのかもしれませんね。手芸教室などは認知症予防には効果的だとは言われていますが、お母さまを亡くされた心の傷と言うか生き甲斐の喪失は手芸教室だけでは癒されなかったのでしょう。アリセプトは確かにアルツハイマー型認知症に使われる一般薬ではありますが、ご指摘の様に病状によっては思った以上の効果が上げられず副作用(消化器症状、妄想、易興奮性)のみが出現する事も稀ではありません。これまで一般医は余りにアリセプトの使用法が安易でしたので昨今はその反省が多くなされています。通常1年も使用してアリセプトで何の効果が得られない時は使用を中止するのも選択肢の一つです。場合によってはジェイゾロフトの様に高齢者にも比較的優しい抗うつ剤でも効果が出るかもしれません。それ以上に重要な事は生活療法です。薬剤効果より生活療法を重んじるのが昨今の傾向です。少しでも社会的な交わりを取る様な努力をする事です。71歳と言うご年齢であれば「ダンス教室」なども、お勧めの一つです。後は手芸の個展を開くとか、老人会のボランティア活動をするとかの活動こそが生活療法の重要な点です。始めの内こそ出しぶるかもしれませんが、ともかく頑張って少しでも外に出させる様に努める事です。家の中にとじ込もっていればいるほど認知症は悪化して行くと考えて間違いないです。ディサービスに行くのも結構な事ですが、最も効果的な事は社会奉仕が一番です。



認知症と診断を受けた姉についての相談です。姉は現在71歳で2年前(69歳の時)に専門医より認知症の診断を受けました。結婚はしておらず定年退職するまでは市役所で公務員として働いており充実した日々を送っていたと思われます。退職後も趣味の手芸を生かし地域の方々に教室を開いていた程です。また姉は独身でいたため、普通の方よりも母とは密接な親子関係を続けていました。しかし姉が67歳のとき母が89歳で亡くなりました。それ以降明らかに活力の低下がみえ、今思えばそのことが認知症になった一番の原因ではないかと考えられます。前置きが長くなりましたが、現在主治医の先生より「アリセプト」という薬を処方して頂き服用しています。しかしあまり効果がみられず姉の活力も回復しません。今回院長先生に伺いたいことですが、認知症患者の活力を増加させるためにはどのような治療があるのでしょうか。薬の治療ではなく、例えばリハビリや食事療法なので回復はしないものなのでしょうか。非常に素人的な発想で申し訳ごないのですがご教示ください。

アルツハイマー型認知症

SCさんへの回答
87歳のお母さまがアルツハイマー型認知症との事ですが、糖尿病の治療の時を考えてみますと、先ずは運動療法と食事療法があって、病気の進行に従い薬物療法が加わり、そしてインスリン治療が必要となって行きますよね。アルツハイマー型認知症でも全く同じ事が言えるのです。先ずは生活療法があって、ご家族の理解と支えがあって、最近では認知症改善のテキストやプログラムもかなり見かけますし、その様なツールも積極的にご利用なさって、その上で薬物療法も考えて行くと言うのが理想的な認知症の治療法だと思います。徒らに先の心配ばかりをするのではなく、いま出来る努力を精一杯し続ける事こそ、それなりの結果が待っていると言えば過言でしょうか。



相談
先生のブロブを拝見し、相談(質問)させて頂きたいと思いました。
87歳の母ですが、アルツハイマー型の認知症と診断され、お薬も処方されています。テレビなどで特集される事も最近多くなってきていると思います。その中で、”家の中で迷子になる”話しを聞きショックを受けました。本当に長年住んでいる自宅の中でも迷子になるようなことがあるのでしょうか。また、母の場合でもこのまま認知症が進むとそうなる事もありえるのでしょか。
SC

アルツハイマー型認知症

めぐみさんへの回答
78歳のお母さまは恐らくアルツハイマー病( 直接に診察させて頂いたかは不明ですが) だと思われますが、周辺症状が少なければ極力ご自宅で過ごされるのがお母さまにとっては一番お幸せではないかと思います。ご家族全体でもう一度お話合いが出来ればと思います。他に10年以上も外来で拝見させて頂いているご高齢の方もいらっしゃいますが、家族全体が団結して小学生のお孫さんまでもが、小さなお手伝いをして、幾つかの悩みは抱えながらも頑張っていらっしゃる50才代の娘さんを見続けながら、私はいつも頭の下がる思いでいます。肺炎などで幾度かは私どもの病院に入院したりもしましたが、それらの全てを乗り越え現在はお元気にご自宅で過ごしていらっしゃいます。また、ご主人さまのご心配も分からない訳ではないのですが、やはり家族全体で自分達の年取った親を見守り続けて行く姿は、子供の教育にもプラスになるのではないかと思われてならないのですが。差し出がましい話となりましたら、どうぞお許し下さい。また当院では、ディケアは行っていませんが、外来リハビリや時には私の往診等で何かお役に立てる事はあると思います。出来れば、病院にて直接、私成川にお訪ね下さい。



認知症の母がいます。
母は78歳ですが、とてもおとなしく
周辺症状は家族や友人が認識出来ないことのみです。
私はこのまま在宅でみたいのですが、主人は反対しています。
反対の理由はこれからどうなるかわからないからみたいです。
私は先生の病院の近くに住んでいますが、先生の病院でデイケアがあったらありがたいと思います。
そういうことは難しいですか?
めぐみ

アルツハイマー型認知症

SRさんへの回答
物忘れが激しくなっても、時々会いに行くお母さまとは、楽しい時間を過ごしていらっしゃるとの事、大変に結構なことだと思います。今後の心がけとしては、お母さまを全面的に愛情を持って受け入れる努力をする事です。言葉の間違いや、行為の失策を、いたずらに咎めたりする事は、ただ認知症を悪化させるだけの結果になります。例え認知症になっていようとも人間としてのプライドは少なからず残されているのですから。尿失禁や便失禁が見られた様な時でも、感情的に叱ったりするのは厳禁です。その様な時の対応の仕方は「お母さん、ご免なさい、私が気づかなくて。気持ちが悪かったでしょう」と言うべきなのです。


これからの事
ブログを拝見して、私も質問させて頂きたいと思いました。
母は、暴力的な事も徘徊等の問題行動もありません。
元々、性格も優しく、周りに気を使う性格でした。今でもそれは変わりません。同居ではないので会いに行くととても喜んでくれて、楽しい時間をすごせます。ただ、今は生活に不便はありませんが、物忘れが激しくなってきています。他の家族の話を聞くと、今はまだ、幸せだなと思えますが、今後豊かな老後を一緒に歩むにはどの様な心がけが必要となりますか。
S R

アルツハイマー型認知症

伊藤さんへの回答
80歳のお母様は、残念な事ですが、アルツハイマー病が発症していると思われます。火の始末や食事の支度さえ忘れているとの事ですが、そうなると基本的には独居は困難です。介護保検制度を利用して、ホームヘルパーの導入で在宅療法が、どこまで可能かは、ケアマネジャーとの相談になります。



現在80歳の母がいます。
この頃物忘れが多くなり1人暮らしをしているので心配です。
食事の支度は自分でできるのですが、その後の火の始末や食事の支度をしていることさえも忘れているようで、近所の方に助けてもらっています。
私も仕事を持っているので、実家に戻ることは不可能な状態です。
これからどうしたらよいのか途方にくれてしまっています。
何かアドバイスがあったらお教えください。
伊藤