伊藤さんへの回答

若年性レビー小体型認知症は、かなり稀な病気で現在の所で遺伝的要因も確認されていません。2009年の厚労省の報告によりますと、39才までに発症する若年性認知症は人口10万人当たり20.7人(0.02%)となっています。この内でレビー小体型認知症DLBに限れば5人ぐらいでしょう。未だ正確な統計データがありませんので、私の臨床経験による推測です。私自身が若年性レビー小体型認知症の診断経験がありませんので自信はないのですが…
ただ通常(65才以上)のレビー小体型認知症DLBを多数診ている経験からのみ判断しますと、単純なDLBとは考えにくいと思います。如何に若年性といえども…前頭葉の機能低下が著しいとの事ですが、これはDLBの所見とは一致しにくいのです。多くの医師が頭を悩ませている事は事実でしょう。現時点では原因不明の認知症としか言いようがありません。アルツハイマー型認知症の部分も含まれた混合性認知症も否定出来ないと思います。36才で発症して11年、胃瘻も付け会話も不能との事ですが、病状はかなり深刻です。
一般的にDLBの特徴として、薬剤過敏症状が大きいのですが、安易にパーキンソン病の治療薬や、うつ病の薬などが投与されますとDLBは急激に悪化する事が知られています。幾つもの病院を回って正確な診断もつかないまま色々な薬剤が服用されていたとなると、病状の悪化は元より、薬剤の副作用により病気の本態が見えなくなってしまったと云う危険性が強いかもしれません。非常に稀な病気では、多くの医師が加わる程に病気が複雑化(誤診もあったりして)する傾向が強いのです。
もし、本当に若年性のレビー小体型認知症だったとしたら、やはり私でも誤診してしまうかもしれません。
認知症は、未だ発展途上の学問なのです。大きな総合病院でもかなりの誤診が指摘されていますし、専門医が極端に少ないのも認知症の分野なのです。
47才の妹さんを直接に入院治療出来るのであれば、私なりの工夫もありますが、現実に拝見もしていない妹さんへのアドバイスは困難です。若年性のアルツハイマー型認知症で、幾つかの治療効果を上げた経験は持っていますが、メールでのアドバイスには自信が持てません。どうか、お許し下さい。
【ご質問】
初めまして。お忙しい中申し訳ございません。広島市在住の伊藤裕子と申します。私の妹は今から11年半前、36歳の時急に動作が緩慢になり近所の整形外科で診ていただいたところ、総合病院を紹介されて初めてパーキンソン病と診断されました。(妹にはまだ幼い子供も2人おり、妹の夫は治療に何故か消極的で、協力的ではなく、今も私や両親にとって残念に思うところであります。)あまりにも予想もしていなかった病名にショックを受けセカンドオピニオン、サードオピニオンと広島にある総合病院を巡りました。パーキンソン病、統合失調症と色々診断されましたがはっきりとした診断はつかない状態で2年経過しました。症状はどんどん悪くなる一方で、パーキンソン病の薬も効いている状態ではなく、岡山県の旭東病院の柏原先生に検査をしていただき、パーキンソン病ではなくレビー小体型認知症であると診断をして頂きました。現在47歳の妹は寝たきりで舌も下がっており、会話もできなく2年前のから胃瘻で、長期入院させてもらえるだけでありがたいのですが、看護師さんのケアもなかなか受けれず、痰が絡んで苦しくても涙を流していることもしばしばです。広島大学病院、脳神経内科でこの春までは定期的に診察を受けていましたがレビー小体型認知症ではないとの事で、担当の先生も頭をひねっていらっしゃいます。この何ヶ月かは妹の体調が悪く大学病院へ行けておりません。妹の様な症例は稀だと思うのですが、妹にとって少しでも快適な環境で過ごさせて欲しいと願っております。両親も妹の状態に一喜一憂しております。原因不明、病名不明ですがただ脳の前頭葉の働きは機能していない事は確かです。体調の良い時は笑顔を何度も見せてくれます。何かアドバイスがございましたらどうかよろしくお願い致します。拙い文章で申し訳ございません。お読みいただきましてありがとうございます。