ひとり言シリーズ(5)

高血圧の話
ご存じの様に血圧には上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)があります。収縮期血圧とは心臓が収縮して全身の血管に血液を送り出す時の圧力です。と言う事は収縮期血圧が高いと言う意味は心臓から離れた血管(末梢血管)の動脈硬化が進んでいると言う事になります。一方拡張期血圧が高いと言う意味は心臓が十分に拡張出来ずにいる状態を示しています。心臓の周囲にコレステロールが多く蓄積していますと心臓が中途半端にしか拡張出来ずにいるのです。ですから収縮期血圧と拡張期血圧のどちらが高い方が体に悪いかと言いますと、心臓そのものに負担のかかっている拡張期血圧の高い方が良くないのです。日本高血圧学会では高血圧症の定義を収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90以上としています。20数年前までは収縮期血圧は年齢+90と言う考えが一般的でしたし、拡張期血圧も100以下なら良しとしていたのです。それが140/90以下が適正な血圧となり昨今では130/80以下が最適性だと言う話さえ出始めています。60歳以上になれば誰でも血管の動脈硬化性変化は起きているものです。ですから多少の血圧の高さは、むしろ生理的な加齢変化であって薬で無理矢理に下げるのはどうかと考えている医師もかなり多くいます。学会と言う権威に疑いを持っいる人たちだってそれなりにはいるのです。そういった意味では収縮期血圧は年齢+90と言う考え方を私は支持します。拡張期血圧は100以下で良いと思っています。

ひとり言シリーズ(4)

認知症とダイエット
BMI 25以上の肥満体質の人は、自分があらゆる生活習慣病の元凶を背負い込んでいると言う事実をしっかりと自覚しなければならい。肥満体質が許されのは35~45歳ぐらいまでである。喫煙年数が長ければ長いほど、より加速度的に癌疾患、生活習慣病の罹患率が高くなって行くと言うのは良く知られた事実である。10年間の喫煙期間であるならば、10年間の禁煙期間が必要と言われている。禁煙期間ほどではないにしても、肥満期間が長ければそれだけ生活習慣病への道が近づいて行くと言うのは疑いのない事実であろう。問題は幾つもの生活習慣病を抱えながら何種類もの薬を服用しながらも、肥満体質から抜けだせない人たちが多くいると言う現状である。何故だろうか。問題を軽視しているのか現実逃避をしているのだろうか。自分だけは病気にかからないとでも思っているのか。毎日たくさんの薬を服用しながらもである。好きなものを食べて太く短かく生きれば良いなどと、自分の弱さを居直りに変えてしまう人たちの何と多い事か。現在のように日本の医療環境が比較的整った状況の中では、考えるほどには単純には死ねず、脳血管疾患や認知症になって多くの人たちの手を煩わすだけの迷惑な結果になってしまうと言う事実に気づかなければならない。超高齢化社会の我が国でこれ以上に医療費や介護費の増大を防ぐには、各個人が自分の健康管理をしっかりしなければ行けないと言う自覚をもっと多くの人たちが持つべきではないでしょうか。

ひとり言シリーズ(3)

100歳以上の増加比
1963年 153人
1981年 1000人以上
1998年 1万人以上
2003年 2万人以上
2007年 3万人以上
2009年 4万人以上
2013年 5万4千人
2014年 5万9千人
2014年の男女比は男性9千人、女性5万人でした。
この中で介護の手がほとんど必要のない人は1%以下で約500人程度です。興味深いのは、この500人の人たちは生涯を通じてアルコールやタバコに全くと言って良いほどに手を付けた方がいないと言う事実です。もちろん肥満体質の人は誰もいません。

ひとり言シリーズ(2)

生活習慣病について
(1) 肥満: BMIが25以上で日本人男性28.6%、女性20.3%(2013年)のデータです。
(2) 糖尿病: HbA1cが6.5%以上で男性16.2%、女性9.2%のデータです。
(3) 高血圧: 収縮期血圧140以上で男性37.2%、女性31.3%(2010年)
(4) 高脂血症: 総コレステロール値240以上で男性10.3%、女性16.8%(2013)
(5) 高尿酸血症: 尿酸値7mg以上で男性25%、女性5%(2004) 以上が生活習慣病のデータです。
では次回まで皆様にはお元気で。

長谷川式スケールの評価方法

重成さんへの回答
「長谷川式スケール」についてのご質問ですが、長谷川和夫博士(精神科)によって作られた長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)が正式名称です。1974年に最初に作成され、質問自体が時代に合わなくなり「終戦の年はいつ」などの設問を含め1991年に現在使用されている設問に改訂されました。30点満点で20点以下を認知症の疑いが濃厚、11~19点で中等度認知症、10点以下で高度と判定します。
なお認知症に至らない軽度認知障害(MCI)は21~28点で5年間で約50%の人が本格的な認知症に移行すると言われています。
厚生労働省は、認知症とその予備軍とされるMCI人口は862万人存在すると発表しています。驚くべきことにこれは65歳以上の4人に1人の割合です。つぎにMCIの定義を紹介します。
MCI5つの定義
1.記憶障害の訴えが本人または家族から認められている
2.日常生活動作は正常
3.全般的認知機能は正常
4.年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
5.認知症ではない

更に長谷川式スケール(HDS-R)の診察態度の解説を加えます。
(1) 診察に協力的ではない場合はピック病を考えます。
(2) 自発性がなくボーとしている場合はレビー小体型認知症を疑います。
(3) 記憶障害の言い訳、日付けが答えられない時に「今日は新聞を見ていない」と、言った発言がある場合はアルツハイマー型認知症を考えます。
(4) 依存性: 自分が考える前に家族等に答えの代弁を求める場合はアルツハイマー型認知症を疑います。
(5) 回答のスピード: 答えに時間がかかり思考緩慢がある場合は脳血管性認知症、パーキンソン病、レビー小体型認知症などを考えます。
最後に認知レベルによって検査が変るかとのご質問ですが、画像診断としてはMRI、機能画像としてのSPECT/PETその他いくつもの検査はありますがレベルによって検査の内容が変わると言う事ではなく、より診断を確定的にする手段に過ぎません。長谷川スケールだけでも認知症専門医が診断すれば、それなりの適切な診断結果は得られます。一方大病院などで、どの様に高度な医療機器を使って検査をしても、臨床経験の少ない医師のもとでは適切な診断結果は得られません。現在のところPETなどの高度な医療機器と言えども実際の臨床診断とは必ずしも一致しないからです。


はじめまして。いつも先生のブログを拝見させていただいています。私には78歳の父がいます。先日父が、かかりつけのお医者さんで「長谷川式スケール」という検査をやったそうです。認知症の検査ということはネットで調べて分かったのですが、認知レベル(軽度、中等度、重度)によって検査の種類も変わってくるものなのでしょうか?また父に実施された長谷川式スケールはどの程度の認知レベルを診断する検査になるのでしょうか?

認知症と病気

尚さんへの回答
認知症の進行により併発する病気についてのご質問ですが、認知症は高齢者全般に見られる身体機能低下をさらに悪化させる傾向があります。そこで高齢者全般に見られる身体機能低下について説明しましょう。(1)複数の疾患を持っている。高血圧、糖尿病、腰痛、変形性膝関節症、慢性腎不全、心疾患その他。(2)症状が否定形的な事が多い。胸痛のない心筋梗塞、発熱のない肺炎、腹痛のない胆嚢炎など。(3)精神症状が現れやすい。高齢者では発熱、脱水、貧血などの身体疾患でせん妄や幻覚等の精神症状が現れやすい。肺炎の初発症状がせん妄と言う事も稀ではない。(4)治療の困難な事が多い。免疫機能、心肺機能、腎機能などの低下で若年者に比べ治療の困難な事が少なくない。(5)高齢者全般に言える事ではあるが、認知症の患者では複数の薬を服用している事が多い。高血圧や糖尿病の薬に加え認知症薬さらに精神安定剤、睡眠薬その他である。(6)心血管系、脳血管、潜在的な癌疾患、肺炎、尿路系、種々の消化器などの疾患を起こしやすい。(7)認知症患者では、上記の種々の疾患の発見が遅れがちであり、治療に理解が得られず致死に陥りやすい。


最近、父の認知症が気になり先生のブログを拝見するようになりました。
認知症と便秘症、認知症と夜間頻尿の関係など興味深く思い、既にご回答があることかもしれませんが質問をさせてください。
認知症が進むことによる、その他の併発する病気は多いのですか。
また、知人の家族で、かかりつけ医師から「内科的な疾患は無いが、認知用が進んで体力がどんどん落ちている」と言われた話しを聞きました。認知症だけで体力が落ち、命を落としかねない事はあるのでしょか。

ひとり言シリーズ(1)

成人病と生活習慣病
「ひとり言シリーズ」公開のお知らせ。これまでの「認知症」を中心とした質問と回答に加え新しく「ひとり言シリーズ」を週一回程度の頻度で公開する事にいたしました。これまで以上に皆さま方の温かいご支援とご叱責を心よりお待ちしております。
先ずは「成人病と生活習慣病の違い」とは何かです。
それは単に呼称の違いだけです。現在の生活習慣病は、かっては成人病と呼ばれていました。H8年12月、厚生省「公衆衛生審議会」が生活習慣に注目し、生活習慣病と言う概念を新たに導入したのです。次回はその生活習慣病についてもう少し詳しく説明して行きたいと考えています。

認知症と便秘

T.O.さんへの回答
認知症と便秘は非常に関連していると言われています。認知症の周辺症状である徘徊は便秘の為に睡眠が浅くなる為に生じるとも言われています。便秘が認知症の周辺症状を重くさせたりする理由は便秘による身体の不調を理解出来ず、そのイラ立ちが周辺症状の増悪に繋がってしまうからとも言われています。次に認知症(時に高齢者にも該当)と便秘の関係ですが、(1)弛緩性便秘: 寝たきり、運動不足、食事摂取量の減少さらに腸間膜の弛緩による腸の蠕動運動不足など。(2)機能性便秘: レビー小体型認知症などの自律神経失調症で胃腸の動きが悪くなり便秘となる。(3)直腸性便秘: 下剤などを飲み続けて直腸の感覚が鈍くなり便意が低下。(4)薬剤性便秘: アリセプトや種々の認知症薬で便秘が起こしやすくなっている。それ以外にもオムツの常用で便意が喪失する等の多くの原因が考えられます。
認知症の便秘予防対策には(1) 食事のリズムを規則正しくして、間食などは控える。(2) 食物繊維や水分を十分に取る。(3) 適度な運動を日常的に行う。(4) 排便習慣をつける。いつも決まった時間にトイレに行く様にする。(5) オムツは出来る限り使用しない様に努める。(6)便秘の薬はなるべく使用しない等です。



84才の母ですが認知症と診断されて3年以上が経っています。物忘れこそ強いのですが被害妄想などの問題行動もほとんどなく、杖を使いながらも少しの散歩なら可能です、もちろん誰かが必ず付き添いますが。そんな日常で一番困っているのは便秘の激しい事です。以前より3~4日間ぐらいの便秘はあったのですが、認知症と診断されてからは1週間ぐらいの便秘は普通なのです。何か認知症と便秘は関係しているのでしょうか。また何か良い便秘対策があったら教えて頂きたいのですが、よろしくお願い申し上げます。もちろん近くの先生には便秘の薬は色々と出してもらってはいるのですが。