レビー小体型認知症の父の娘さんへの回答

レビー小体型認知症DLBは、この7~8年でやっと社会的な認知度を深めて来ました。それまでは何でもかんでもアルツハイマー型認知症ATDと診断されていたものが、実はDLBの方が患者数が多く、問題が深刻化している事が遅まきながら医者の間でも理解度が加わって来たのです。その為に一般医はともかく精神科医でも、その治療法に精通していない方がかなり多く見られます。それと昨今の日本認知症学会の発表では、単独のDLBやATDが少なく混合タイプが多くなっている事実も確認されています。74才のお父様は単独のDLBと言うよりは、一部ピック病が合併しているのではないかと思われます。これはレビー・ピックコンプレックと呼ばれている病名です。非常に複雑な病状を呈しますので、通常の精神科医の手には余るでしょね。病状に精通していない精神科医ですと、病気は悪くなるばかりです。根本治療は少量の精神安定剤(あくまで少量でウイタミン散10~20mg/day程度です)、後は脳トレと一日に数回の散歩(これにより徘徊は軽快します)、そして音楽療法(童謡、懐メロ)などです。しかし一口に脳トレと言ってもそれなりのテクニックがあります。この脳トレは病院では、あまりはやってくれません。もちろん施設でも…。現状では在宅でやるしかありません。病院や施設でやるには現状の医療保険や介護保険では人的状況や経済的な理由で困難だからです。私の近所でも、徹底な認知症治療に当たっている病院があり、そこの院長が驚くほど医学的な良心に燃えていた方で、実に真摯に認知症医療に取り組んでいましたが、ベット数300の病院は4年程で潰れました。患者1人に常時3人の介護職員が24時間付ききりで認知症治療に当たっていましたが、とても現在の保険制度ではそんな費用は出ません。結局は60億円以上の赤字経営で倒産しました、しかし、そこの病院での治療効果は抜群でした。患者さんの徘徊も、ご本人が疲労で動けなくなるほど自由にさせていました。夜中でもです。そして徘徊は静まりました。こんなにも認知症が良くなるんだと思うほどです。
私も現在は外来で多数の認知症患者さんを診ていますが、入院はさせません。患者家族がどんなに辛くても私のアドバイスに従って治療に当たって下さった方のみが、認知症治療に成功しています。施設や病院では悪くなるばかりです。しかし、在宅と言うのは簡単ですが非常に困難な道である事は充分に認識しているつもりです。私は認知症に関する本を何冊か書いていますが、認知症治療の最大効果は「患者家族の大きな愛」です。私の外来患者では100人に20数名が、認知症治療に大きな成果を示しているに過ぎません。ご家族が支え切れないからです。それでも私は認知症治療に取り組んでいます。それ以外にも一口に認知症と言っても動脈硬化性の部分や生活習慣病の部分、飲酒、喫煙などを総合的な配慮が必要ですから、精神科医に適切な治療は困難かと思われます。他にも具体的な質問があれば承りますので、何時でもご質問下さい。
【ご質問】
ご多忙な中大変恐縮ですが、アドバイスを頂きたいと思いコメントさせて頂きました。
父(74)はレビー小体型認知症と診断され、精神科の入退院を繰り返しています。
在宅介護は母(74)がする事になります。
私は離れて住んでおり、休みの度(週1)で帰る予定です。
主治医からは何度か外泊をしてみて、在宅介護が可能なら退院をしても良いと言われています。
私と母は、父に対する病院の対応なども良くないため、退院させて様子をみたいと考えています。
看護師からは、『病棟を歩き回るから在宅は無理』と言われる事もありますが、やる事がないから歩き回るのでは…と思う事もあります。
私より遠方に住む弟は、母が一人でみるのは無理、入院させておいた方が良い、と考えているようです。
今回の入院理由は"自殺願望、徘徊、暴言、暴力"がひどく薬調整の為でした。
3度目の入院で、今の病院にお世話になるのは2度目です。
主治医に相談したら良い話なのですが、
何の連絡も無しに主治医が変わり、主治医が変わった事を3か月後に知ったという事が有り病院に対して不信感が有ります。
昨年10月から入院をしており、母が週2、私が週1で面会に行ってますが特に暴言をはいたり暴力的なところは見られません。
退院後はデイサービスにお世話になろうと思っています。
父が外泊した時、見学に行ったのですが、父を人間扱いをしてくださる、すごく良い職員さんがいらっしゃり、安心しました。
病院では、そのような扱いをしてくださらないので…
このような状況なのですが、退院についてどう思われますか?
病院で歩き回っていたら、退院後に徘徊するでしょうか?
ご多忙な中、またメールでの相談で情報も少なく申し訳ありません。
アドバイスを頂けると幸いです。
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