診察室からコンニチハ(2)

【見当識障害について】
現在の自分および自分のおかれている状況を認識することが見当識と言われいます。この認識が正常に行われない状態が見当識障害で,失見当識とも言います。この障害は一般に次のような過程で進行して行く事が多いのです。
・空間の失認
自分のいる場所が分からなくなる。
病院なのか、自宅なのか、老人ホームなのかが曖昧(あいまい)になって来るのです。この失認は迷子につながります。
・時間の觀念が失われる。
今が朝なのか、夕方であるのかの区別が出来なくなるのです。さらに季節の感覚も分からなくなります。
・状況の見当識障害
見当識障害がさらに進むと、食事や入浴した事などを忘れたりします。エピソード障害とも言います。
・最終的には
人間に対する見当識障害となります。
つまり肉親の区別さえ分からなくなるのです。息子や娘の名前が分からなくなったりするのが、このケースです。その様な場合には自分の娘を自分の母親と間違えたりする事もあります。
・感情の存続
見当識障害が進行しても感情だけは最後まで残ると言われます。つまり、快や不快の感覚です。自分に対して好意を示してくれる人か、不快な事をする人かの感覚は末期症状の直前までは維持されると言われています。人によっては「心は最後まで残っている」との表現をする人もいます。しかし、これは家族などの感情移入が多分に加味されますので、医学的な判断は困難です。
【身体機能の低下】
・視力の低下
老眼、白内障、緑内障などにより高齢者は視力の低下が起こりやすいものです。この視力の低下に認知症が加わると、低下を補う為の代償作用として幻視が生じやすいと言われています。
代償作用とは、何かを失った場合に他の感覚で補おうとする現象です。
・聴力の低下
認知症の方は聴力が低下すると、周囲の人たちとのコミュニケーションが取りにくくなります。その結果、他人が自分の悪口を言っているのではないかと、疑心暗鬼に繋がり易くなります。この機能低下が進行すると、代償作用として幻聴の合併が見られる事もあります。
・味覚の低下
味覚の受容器である味蕾細胞が減少して来ます。一般に75歳以上では乳幼児に比べ味蕾細胞が30~50%ぐらいまで減少しているとのデータもあります。
つまり、味の濃さ、薄さが周囲の人たちとも以前の自分自身とも合わなくなって来るのです。その結果、嫁や子供たちの味付けに不満が出たりします。
次回に続く
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