診察室からコンニチハ(3)

次はレビー小体型認知症(DLB)についての記述です。DLBの発症数はアルツハイマー型認知症(ATD)より多いと、昨今では言われています。DLBは全認知症の40~50%の頻度で発症するのではないかと、指摘する医学者もいます。話は横にそれますが、夫々の病名を学会発表順に見てみましょう。何かの参考になれば幸いです。
学会発表の早さから言えば、アルツハイマー型認知症が1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーにより、嫉妬妄想・記憶力低下などを主訴とする女性患者の症例を南西ドイツ精神医学会に発表し、現在ではこの症例がアルツハイマー型認知症の基礎となっています。
またピック病は1926年、旧満洲医科大学の大成潔とドイツのミュンヘン大学のHugo Spatzが、病状の特徴をまとめ、「Pick病」の病名を発表しています。さらに1996年にはスウェーデンのルンド大学とイギリスのマンチェスター大学のグループによって前頭側頭葉変性症(FTLD)という用語が提唱されました。
一方、レビー小体型認知症(DLB)の学会報告は最も遅れ、1976年になって日本の精神科医、小阪憲司により初めて症例報告がなされています。その後もDLBの病状が多彩である事から、一般臨床医では判断が付かず、アルツハイマー型認知症と混同されている時期が相当長く続きました。
現段階で解明されている三大認知症が、ドイツ人と日本人によって学会報告されている事実に私は密(ひそや)かな感動を覚えています。少し思想が傾いているのでしょうか?…良いではないですか、多少の日本びいきは許して下さい。そうでなくても昨今の日本は元気がないのですから、少しばかりは日本人としてのプライドを持っても!
また横道が長くなって申し訳ありません。DLB(レビー小体型認知症)の話に戻ります。
この疾患の特徴を上げれば、先ずは薬剤過敏症状です。安易にアリセプトなど増量して行けば、易興奮性と消化器症状が増すばかりです。アリセプトの服用量は3~5mgが限界です。本当はアリセプトなどは服用して欲しくないと云うのが本音です。それでも3mgぐらいで少し効果が出ているのかなと考えさせる患者さんが、稀に存在するので医師としての悩みは尽きません。
次にDLBの特徴を申し上げれば、幻覚、幻聴です。
「隣の誰かが私の悪口を言っている」
あるいは、物取られ妄想などもあります。抑肝散7.5gの処方で軽減する場合もありますが、これでは効果が不十分な患者さんもいます。後は患者さん夫々のケースで注意深く観察しながら生活リズムの改善であるとか、脳トレとかで考えて行くしかありません。そこからは正に医師の技量が問われます。
さらに「うつ症状」、「パーキンソン症候群」、「自律神経失調症」、「認知機能の低下」など余りに多彩な症状を呈するのがDLBの特徴で、医師泣かせの病気とも言えます。
次回に続く
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