診察室からコンニチハ(5)

ピック病について
ピック病とは前頭側頭型認知症の一つで、前頭側頭型認知症の約8割は、ピック病だと言われています。
前頭側頭型認知症とは、主に前頭葉、側頭葉前方に委縮が見られる認知症ですが、その中でも脳の神経細胞に「Pick球」が見られるものを、ピック病とよぶことが多いのです。
一方で「Pick球を認めたものすべてを同じピック病として扱うべきか」については、現在でも議論が尽きません。
以前は、前頭側頭型認知症は全て「Pick球」があると考えられており、前頭側頭型認知症そのものを別名:ピック病としていました。
しかし、研究が進むにつれ、「Pick球」が見られなくても前頭葉や側頭葉前方に委縮が見られる認知症があることがわかり、現在では「ピック病は前頭側頭型認知症の一つ」として、分類されるようになりました。
ピック病は40~60代と比較的若い世代が発症する「初老期認知症」の代表的疾患であり、若年性アルツハイマー病とよく比較されます。
そして、本人は全く病識がありません。
ピック病にみられる特徴的な症状として、以下の症状があげられます。
・情緒障害
さっきまで笑っていた方が突然泣き出してしまうなど、情緒が病的に不安定となります。
・人格障害
温和だった方が怒りっぽくなるなど、今までみられなかったような人格になります。この人格症状はピック病以外の認知症でも見られますが、ピック病で特に強くみられる傾向にあります。
・自制力低下
相手の話は聞かずに一方的にしゃべる、短絡的な行動をとるなど、自制することが難しくなります。
・異常行動
万引きを繰り返す、他人の家に勝手にあがるなど、社会生活を送るうえで逸脱した行動をとるようになります。
・対人的態度の変化
人を無視・馬鹿にしたような態度をとる、ひねくれた態度をとるなど、相手に対しての態度が病的に悪くなります。診察に協力を依頼しても拒否したり、不真面目に答えたりもします。
・滞続症状
意味もなく同じ内容の言葉や行動を繰り返します。
「治療方針」
多くの場合は、その対応だけで治療方針についての詳細は記載されておりません。ですから、ここから先は私の個人的な治療体験です。少量のウィンタミン散を徐々に増やしながら、後は患者さんのプライドを重んじながら「脳トレ」を併用して行くと、思った以上の効果が見られたりします。どの様な認知症であろうとも、最後まで「感情は残る」と、言われています。その感情の良い部分を引き出しながら脳神経細胞の活性化につながる対応を色々と試みています。一口に認知症と言っても、やはり患者さん特有の個性もあるのです。絶対なる正解はないのです。
全ての鍵は患者さんの問いかけの中に隠されているのです。
次回に続く
関連記事

コメント