診察室からコンニチハ(14)

一方、認知症治療薬の歴史を見てみましょう。私の知る限り最初の治療薬は【ホパテン酸カルシウム】ではないかと記憶しています。昭和53年(1978)に認可され、軽い精神発達遅滞や脳血管性認知症の治療薬として用いられましたが、実際には効果がなく深刻な副作用が報告され、平成10年(1998)に保険適用薬としては禁止されました。この間に1兆円規模の売り上げがあったと推定されています。
正に大手製薬会社の売り得です。
その間にも「ホパテン酸カルシウム」と比較検討で有効と認可された認知症治療薬が次から次へと現れましたが、
以下の4種類は1990年代の後半から販売され、これまでの売上総額は約8000億円になっていましたが「効果なし」の判定が下されました。
朝日新聞(98-04-18)からの引用は以下の通りで、
「臨床試験をして有効なはずの薬が、無効とは!
再評価の対象となったのは、以下の5種類(成分名で5種類、商品名で6種類)の薬。
   成分名 商品名 
1 イデベノン (アバン)
2 塩酸インデロキサジン (エレン)
3 プロベントフィリン(ヘキストール )
4 塩酸ビフェメラン (アルナート)
5 ニセルゴリン (サアミオン) 
厚生省は96年4月、5種類の脳代謝改善剤を製造・販売する各社に対し、有効成分が入っていないプラセボ(偽薬)と比較する臨床試験をして、効き目を検証するよう指示。
各社はそれぞれ数百人の患者を対象に臨床試験を実施した。関係者によると、その結果、ニセルゴリンを有効成分とする「サアミオン」以外の薬は、プラセボと比較して効き目に差が出なかったという」と、
同新聞には掲載されていました。
それ以降はドネペジルが1999年11月から認知症治療薬(アルツハイマー型認知症)として認可され、それに類似する薬剤も次々に認可され現在に至っていますが、再びドネペジルの効果には疑問視する専門医が多くなっています。既にヨーロッパではフランス保健省が▽ドネペジル(アリセプト)▽ガランタミン(レミニール)▽リバスチグミン(イクセロン/リバスタッチ)▽メマンチン(メマリー)の4剤を医療保険適用外としています(カッコ内は日本での製品名)。プレスリリースで今回の決断を「市民の健康のための措置だ」と強調しているのです。
これが事実だとすれば、この拡がりは何時の日か日本にも飛び火して来るでしょう。私たち医療の担い手は、こと認知症治療薬に関してこの試行錯誤を何時まで繰り返していれば良いのでしょうか?
恐らく医療不信の芽は、より拡がって行くのでしょう。善意のはずの医療が背徳の徒と、後ろ指をさされる日の来ない事を祈るばかりです。
次回に続く
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