診察室からコンニチハ(15)

肺結核の根本治療がない時代には、栄養を付け、出来る限り安静を保って自然治癒力を高めると云うのが一般的でした。現在の「認知症」治療も同じ様な状況にあるのかもしれません。生活習慣病に注意して、脳トレを頑張って少しでも「認知症」にならない様に努力して行くと云うのが基本的な考え方ですから…
認知症の根本治療とは、脳神経細胞に生じた異物(変性細胞)を除去するか、あるいは薬物で消去させるのが目標となります。現在、世界中の研究者がその為の薬剤開発に懸命な努力を払っていますが、成功例の報告は未だ一つもありません。それでも近い将来には、それらの異物を除去出来る薬が見つかるかもしれません。しかし、それらの異物はアルツハイマー型認知症の原因物質としては、アミロイドβやタウ蛋白と呼ばれていますが、これら異物も仮説の域を出てはいません。さらにレビー小体型認知症の原因物質は、レビー小体と云う神経細胞の内部に見られる異常な円形状の構造物(封入体)であると言われていますし、同様にピック病は、ピック球と呼ばれる神経細胞内に形成される好酸性および好銀性の球状物であるとされています。
この様に書いて行きますと、ただ難解な医学用語の羅列に過ぎなくなりますが、それは顔の表面に例えればシミやソバカスあるいはホクロみたいなものです。顔のシミやソバカスを綺麗に除去するのも大変ですが、脳細胞の異物を除去すると云うのは、それ以上に困難でしょう。ましてや、その異物が出来る原因さえ医学的には解明されていないのですから…
それでは私たち医師に何が出来るかと言えば、先ず病型分類と特徴づけです。ともかく認知症と言えば、アルツハイマー型認知症と安易に考えていた時代から、レビー小体型認知症もあればピック病もあるし、さらには混合型も存在する。また脳血管性認知症には、ピック病の合併する頻度が多いとかの臨床例を詳細に観察する事により、病気解明の糸口も見えて来るものでしょう。
それでは多くの患者さん方には、何の意味もないとの批判が噴出するかもしれません。そんな隙間を突くかの様に多くのサプリメントが莫大な売り上げを謳歌しています。
サプリメントの効果は医学界では、否定的です。殆んどがプラセボ(偽薬)効果と言われています。医薬品とされていないので、大きな副作用が出ない限り厚労省としては、取り締まる法律がないのです。製薬会社とは関係ない多くの中小メーカーが、テレビなどを使って巧みな宣伝を繰り広げています。
効果など無くても、副作用さえ出さなければOKなのです。多くの言い逃れが用意されています。今や全サプリメントの売り上げは年間で2兆円を超えているとの報告もあります。
次回に続く
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