診察室からコンニチハ(21)

今回は認知症に対する介護について考えて行きたいと思っています。
先ず注目すべきは数年前にフランスから伝えられて来ました「ユマニチユード」です。
優しさを伝える介護の基礎と解釈されている手法です。つまり「認知症」への純医学的な解明に糸口を見出せぬまま、今度は社会心理学的なアプローチを求め出したのです。
それは、かつての精神医学が医学的な解明が出来ぬまま、フロイトやユングに社会心理学的な解釈を試みさせたのと似ているかもしれません。
しかし、その後クロルプロマジン系薬剤の発見で精神医学は飛躍的に治療効果を上げて行きました。それに伴いフロイトやユング的な解明方法は下火になって来ました。
だからと言って、心理学的な効果が全く否定出来るものではありません。現にプラセボ(偽薬)効果と言って、薬として本来の作用が全くないにもかかわらず、臨床実験では何十%かの患者さんは
「とても良く効く薬でした」
と語っている事実もあるのです。
格言に
*「鰯の頭も信心から(いわしのあたまもシンジンから」*
と言われる様に…
*一旦信じてしまえば、どんなものでもありがたく思えるということ。江戸期、節分に鬼除けのため、玄関先に鰯の頭を吊るす習慣があり、それに由来するという説が有力。*
つまり人間の心理学的な側面は、完璧な医療体制が出来上がるまでは(完璧な医療体制などあり得ないのですが、旧い病気の克服と新しい病名の出現が永遠のテーマなので…)、それなりに有効的な部分もあるのです。
また心理学的な側面は、脳内ホルモンの分析によっても説明は可能です。心のバランスをプラス志向に持って行く事でエンケファリン(脳のほか脳下垂体・脊髄・副腎髄質などに分布し、モルヒネ受容体と結合して鎮静作用を生じるペプチド)やβ-エンドルフィン(中枢性にも末梢性にも存在し、鈍い痛みに対する鎮痛作用がありヒトが受傷した時、まだ傷が残っているにも関わらず、すぐに痛みが引き始める根拠)はその為です。痛みが鈍くなる理由は、この物質がオピオイド受容体(モルヒネ様物質の作用発現に関与する細胞表面受容体タンパク質)と結合して、活性化するためなのです。モルヒネと比べて、鎮痛剤としての作用が約80倍強いと実証されている脳内ホルモンです。
つまり心の問題は脳内ホルモンのバランスを保つ上でも重要なのです。
また飲酒により鎮静作用が認められたり、覚醒あるいは興奮作用が増強されたりする事実は昔から知られています。もっとも飲酒量によっては逆の面が強く出る事もあります。常習性の飲酒癖は脳内ホルモンのバランスを乱しやすいと云うのは、医学的にもすでに実証されています。
次回に続く
関連記事

コメント