診察室からコンニチハ(22)

話が少し脱線しているかもしれません。「ユマニチユード」優しさを伝える介護の基礎に戻りましょう。
根本は認知症患者さんの視点にどうすれば立てるかと云う発想にあります。視野狭窄や聴力障害、記銘力障害(もの忘れ) 、行動異常(普通の人にとって)そして味覚障害、自律神経障害(排便、排尿コントロールの困難さ)、そして睡眠障害など認知症患者さんの多彩な症状を介護者が充分に理解する事から全ては始まります。これらの充分な理解がない限り、優しさを伝える介護(ユマニチユード)の基礎は出て来ません。
無知や偏見からは介護の基礎が出て来るはずもないのです。
しかし、健康な人間が認知症患者さんの思考回路をどこまで共有出来るかが 問題です。
簡単に、この思考回路を共有出来るとは思えませんが、それでも疑似体験をする事は出来ます。例えば、紙に鉛筆で穴を開けてそこから自分の目で覗いて見て下さい。上下左右の視野が狭まり、周囲の状況がほとんど見えなくなってしまうでしょう。それが視野狭窄と云う意味です。これでは道路を歩いていても信号の点滅が分かりません。さらに車の動きさえ判断がつかないでしょう。だから認知症患者さんは交通事故に遭いやすいのです。一方の聴力障害は、認知症でなくても補聴器を付けている人は幾らでもいますから容易に想像はつきますよね。それでも難聴の人との会話は疲れます。微妙な言葉の意味合いを理解してもらうのに困難さを感じる事もあります。そんな困難さから、心の繋がりを深める努力を怠る場合があるかもしれません。さらに物忘れから、幾度も同じ質問が繰り返される事も多いでしょう。そんな時、介護者の疲労は増すばかりになるかもしれません。そして徘徊を含めた行動障害(異常)や、排便排尿の問題など介護者が理解しなければならない事は山ほどあります。それらの一つ一つを乗り越えるには介護者の大きな愛情と、よく訓練された学習能力が必要となります。ここまで、くどくど述べて来ますと、読者の多くは、余りに難解な話と感じるかもしれません。
しかし、それは一つの病気に対する知識であり日々の介護には慣れの部分も大きいですから、それほど尻込みする事はないと思うのです。
例えば育児で考えてみますと、新生児の不眠不休の哺乳やオムツ交換などは2時間に一度のペースですが、それも慣れてしまえば多くの人たちが普通にこなしている事です。
介護も同じで、苦痛と考えれば苦痛の部分も確かにあるでしょうが、慣れと知識の部分で乗り越えられるかもしれません。それに多くの福祉の利用の仕方もありますし…
次回に続く
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