診察室からコンニチハ(23)

さて、「ユマニチユード」の実践編です。テクニックは見る、話す、触れる、立つという4つの柱を基本とし、150を超える技術で構成されています。そして全てのケアは、5つのステップを経て行います。
• [1]「出会いの準備」
• [2]「ケアの準備」
• [3]「知覚の連結」
• [4]「感情の固定」
• [5]「次回の約束」
 まずは「出会いの準備」というステップで声かけをしながら、患者さんのプライベートな領域に入る許可を得ます。それは他人の家に訪問した時、玄関のドアをノックするのと同様の行為です。それが4人部屋などの空間であっても、そこは患者さんのプライベートな領域なのです。当然のごとく
「こんにちは」とか、
「いま失礼しても良いですか?」
とかの許可を得る必要があります。
しかし、病院や施設ですと患者さんのベッドルームがプライベートな領域であるとの認識が乏しくなっている傾向が強いのではないでしょうか。何の断りもなく、さあオムツ交換の時間だからとかってにベッドルームへ近寄り、機械的に身体の清拭をしたりしていた例が、これまでは多かったでしょう。これでは人間同士の温かい介護の手とは言えないと思います。ですから先ずは「出会いの準備」から始めなければならないのです。そして患者さんの了解を得て次に入るのが「ケアの準備」です。このポイントは相手とともにいる時間が心地よいものであることを表出しながらケアの導入へと進めます。実際にケアをする際は、清拭する部位の順番にも心を配ります。清拭する部位の順番にも根拠があります。例えば認知症女性の場合、感覚が比較的鈍い足から拭き始めるのです。次に背中、そして前面へと拭いていきます。最も敏感な顔と手は最後に行います。車を洗うように、ただ患者を洗えばいいというものではないのですから。この清拭の場合も常に声かけが必要です。
「どう、気持ち良いですか?
タオルの温かさは大丈夫ですか?
どこか痒い所はない…汚れの気になる所はどうですか?」
通常の美容院で洗髪する場合、美容師は何時だってこの様な声かけをしながらお客様の洗髪をしていますよね。これが病院や施設だと、相手が認知症患者だと思ってしまうせいか、この様な声かけの少ないのが気になります。認知症患者さんだって感情は持っているのですから、少しでも気持ちの良い状態で清拭や洗髪をしてもらえる方が、心は開いてくれるでしょう。互いに心の接点を大切にする事が、この「ユマニチュード」の基本理念です。
次回に続く
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