レビー小体型認知症の父の娘さんへの回答(再)

先ずは血圧からの話です。一般内科で考える正常という認識では、認知症患者さんに当てはまらない事があります。と申しますのは、認知症患者さんでは日本高血圧症学会で定義されるよりは少し高めに設定する必要があるのです。70歳代だと140~160/80~90ぐらいで丁度良いのです。ある程度は血圧を上げて行かないと、脳血流循環が落ちて認知症が悪化する危険性があるのです。まあ、それでも170ぐらいが限度ですが。次に糖尿病の話ですが、やはり認知症患者さんでは血糖コントロールが少し高めに設定する必要があるのです。人間の脳の栄養分は糖しかないのです。H bA1c(1~2ヶ月間の平均血糖値 : 6.2%以下が目標)も7.0~7.5%ぐらいにコントロールする必要があるのです。さらに甲状腺機能検査は認知症診断には最重要な課題です。私自身の外来でも認知症で紹介を受けた患者さんで、甲状腺機能低下症の患者さんを何人か見ています。つまり認知症患者さんと言われているからと言って、一般内科を無視して認知症状の全体像は見えて来ないのです。特に精神科で認知症を診て頂いているケースでは内科の部分が見落とされている事が多々あります。ビソプロロールフマル酸塩錠も、時に認知症を悪化させる原因(全てでは無いですが!)となる場合がありますので、要注意です。
またクロチアゼパムの頓服では興奮を抑える事は出来ないでしょう。もっと根本的な治療方針が必要ではないでしょうか。内科的な問題が全く無いと仮定して、お父さまの病気を考えるならばレビー小体型認知症にピック病の合併ではないでしょうか。割と多いケースです。それならば現在お飲みになっている薬は全面的に変更すべきかもしれません。
しかし、一度もお父さまを診察していない状態で、これ以上の判断は困難です。他にも考えるべき原因は幾つか考えられますが、今お飲みになっている薬での医原性疾患は考えにくいと思います。薬の使用方法が不適切であるかもしれませんが、医原性疾患を招くほどの薬の量でないと思います。しかし、それは内科的な問題を全てクリアしてのお話であります。
【ご質問】
成川先生、今回も迅速に対応をして頂きありがとうございます。
ご多忙な中、本当にいつもありがとうございます。
先生、大変失礼致しました、
ご思案のお時間をお取りして申し訳ありませんでした。
分量、間違えておりました。
●ご指摘どおり、デパケン細粒とカルバマゼピン細粒は、0.075gでした。
●バルプロ酸ナトリウムSR錠も1日4回と書いてあり、デパケン細粒も1日4回と書いてあります。
同じ薬…なんですか?
併用して服用する事は良くない…?という事でしょうか?
●トラゼンタは糖尿病の為、服用しています。これは、認知症になる前にかかっていた内科に通院していた頃から処方されてます。
(退院してから健康診断をしておらず、数値は不明です、申し訳ありません)
●ビソプロロールフマル酸塩錠は不整脈があるらしく服用しています。
昔からお世話になっている内科の先生は、この薬は必要無い、というような事をおっしゃるのですが、今年3月まで入院していた病院ではなく、その前の病院(一昨年11月~昨年2月まで入院)で、『不整脈があるから処方した、脳に瘤もあるから、この薬を飲む事で転けたら危険だけど、服用した方が良い』と説明を受けました。
今年3月まで入院していた病院も、同じ見解だったので、服用した方が良いのかと思い、退院後も服用しています。
(こちらも退院後、健康診断をしていないので詳細が分からず申し訳ありません)
血圧は正常です。
前回、問い合わせをさせて頂いた時
先生から「医原性疾患」ではないか、
と教えて頂きました。
たぶんそうなんだと思います。
甲状腺については、最近、テレビの情報で知りました。そして、私が"もしかしたら…"と思っているだけなんです。
入院していた病院でも調べていないと思います。
薬で悪化していると考えると、
悔しいとしか言いようがありません。
でも、どうしたら良いのか…
詳しい検査結果などが不明で申し訳ありません。
詳細不明の状態ですが、先生の見解を教えて頂ければ、と思います。
宜しくお願い致します。
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