診察室からコンニチハ(45)

途中から外来診療に来なくなる人たちが時々います。他の医療機関で診てもらっているのなら、それはそれで良いのですが…全く診療を拒否してしまう人もいます。特に高血圧の人など、まるで自覚症状がない場合は…。
「仕事が忙しい」
と云う理由で、2度ほど降圧剤を出した切りで後は2年以上も姿を見せなかった患者さんがいました。その人は40台半ばで一見健康そうな男性でしたが、血圧は190/110と、かなりの高目です。このぐらいの血圧になると「めまい」や「肩こり」を訴えたりするものですが、この男性には全く自覚症状と云うものがありませんでした。
それから2年後の紅葉の盛りも過ぎた頃、リハビリ目的で48才の男性が入院して来ました。右上下肢は完全麻痺で言葉も満足に出ませんでした。その男性は忙しさを理由に、2年以上も病院の診察を受けていなかった、あの高血圧症の男性でした。
私は慰める言葉もなく、変わり果てた彼の姿に人生の無常を感じるだけでした。
「忙しい」とは、
りつしんべんの「忄」で、こころを表します。それに「亡」くすで、「忙しい」となります。
つまり「忙しい」とは、こころを亡くしてしまったと、言い表せます。
正に、その男性を見ていると、そんな意味の言葉が私の頭に浮かんで来ました。
次回に続く
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