青田さんへの回答(再々)

私の認知症外来での、「脳トレ」はそれなりの効果が見られます。長谷川式テストで言うなら14→18点ぐらいまでアップするケースも稀ではありません。問題は「脳トレ」の実施の仕方により大きい差が出ます。
焦らず、笑みを絶やさず、間違いを否定せずに地を這う様に続けて行く努力です。ある82才のご婦人は毎回外来に訪れる度に、私が何時も宿題の様に手渡す「脳トレ」用紙を、
「こんな物は一度も見た事がない」
と、半年以上も言い続けていました。それが1年以上かけた現在では、着実に「脳トレ」の効果を上げてご家族も喜んでいます。最初の半年ぐらいはご家族の不信感も顕著で、私も幾度か断念しかかった事実があります。「脳トレ」に即効性はまるでありません。ただ努力あるのみです。青田さんの仰った医師は、どの程度の時間をかけて「脳トレ」を実施しているのですか?
私の場合は初診から数回までの診察では、30分以上はかけて、ご家族を中心に「脳トレ」の実施方法と意欲向上のテクニックを理解して頂いております。この様な診療行為を実施しているドクターは稀だと私の娘(医師ですが)も言っておりました。
「認知症の公開質問にしても、日常の外来診察にしても大学病院で、こんな事をやっていたら上の先生に叱られてしまう」
とも、娘から皮肉を言われる事があります。
確かに長谷川式テストで10点以下だと、脳トレの成功例は余り見られません。
「認知症は、癌の進行と同じで、脳トレをしたくらいでは、止まらないと断言していました」
と、話された医師は認知症の何を勉強しているのでしょうか?世界的な認知症治療の流れを知らないのでしょうか?フランスで大反響を呼び起こされている「ユマニチュード」の理論を知らないのでしょうか。
医師も介護者も、もちろんご家族も色々な工夫を重ね「脳トレ」に励んでいるのです。「短期記憶」が悪ければ、写真や言葉かけを活用して何十回ともなく、脳に刺激を与え続けるのです。決して感情を出す事なく笑顔で刺激を与えるのです。時にそれは気の遠くなる様な努力と写るかもしれません。
いま、内科の私の外来に「うつ病」とか「統合失調症」の様な患者さんも数名通っています。何度か精神科の受診をお勧めしているのですが、また私の外来に来てしまいます。それは、私が長い時間をかけて彼等の話を聞くからです。長時間のカウンセリングとお考え下さい。一般外来の時間帯では、どうしても他の患者さんを長く待たせてしまいますので、外来診察以外の夕方とかに時間を割いてお話しを聞いています。その結果、1年以上かけて精神科領域の薬を大幅に減量させたりもしています。
「脳トレ」も全く同じです。その方に合った方法を常に探しています。
ある意味では、試行錯誤の繰り返しです。「認知症」と云う学問は未だ分からない事が多いのです。分からないからこそ、色んな角度から治療法を探し続けているのです。
現実には「脳トレ」に確実な成果を上げた病院も知っています。ほとんど薬に頼らず、「脳トレ」「音楽療法」「行動療法(自由な徘徊やダンスなど)」で、患者さん方は皆んな生き生きしてました。徘徊を自由にさせるなんて、どんな病院のどんな医師が思いつきますか?
そうなんです。認知症治療には未だ無限の可能性があるのです。日本で脳トレといえば、川島隆太教授が有名です。
ニンテンドーDSの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」が大ヒットしたのも、記憶に新しいかと思います。海外でも大ヒットしています。
しかし、私の実施している脳トレとは、かなりイメージが違います。懐メロ「歌謡曲や童謡」などで、ご本人の好きな物を覚えたり生活スキルを向上させたりするには、どうしたら良いのかなどの工夫を重ねています。
【ご質問】
成川先生
脳トレについてですが、
母親は、デイサービス(脳トレ中心)を週3回利用していますが、
① 計算問題は、50点中(48点)掛け算、割り算、引き算、足し算。
② 間違い探しは、全問正解。
洗濯、料理、買い物(一緒に同伴)は、完璧なのですが、
もう、亡くなった兄弟がまだ、死んだことを忘れています。
それと短期記憶は、忘れます。
本当に脳トレが効果が出ているのか、
(脳トレをしているから、この程度で抑まっているのか、それとも効果ないのか、考えてしまっています。)
知り合いの医師は、脳トレ全面否定者で、
認知症は、癌の進行と同じで、脳トレをしたくらいでは、止まらないと断言していました。
成川先生は、実際、脳トレを実践されて、
驚異的な改善症例は、ありましたでしょうか。
もし、あればお聞かせ頂けないでしょうか。
少しでも、希望があれば、最善を尽くしたいです。
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