診察室からコンニチハ(61)

若者の転職率が増大しています。特に低学歴では顕著です。3年以内の離職率が中学卒では65%前後で、高校卒では40%前後、短大卒でも40%前後です。大学卒では31%ぐらいです。
この30年間の推移として大きな変化はありませんが、基本的にはバブル崩壊後の時代背景です。
低学歴では若者の就職年齢が低く、将来に確たる目的も持ち得ず社会に出て行っていますので、迷いも多いのでしょう。15~18歳と云う年齢では未だ社会の何たるかも十分に理解は出来ていないのでしょうか。高校卒と短大卒での早期離職は20%も低下し40%前後となっています。
この18~20歳代の年齢は少年少女から大人になる過程です。将来に対する考え方も少し固まって来ます。そして大学卒となって行くのですが、この年代になりますと自分の将来に対する考え方はそれなりに定まっているはずですが、それにしては早期離職率が30%と云うのは幾らか高い気がします。
それでは何が彼等を早期離職へと駆り立てるのでしょうか?
職場の人間関係も大きいでしょうが、それ以上に新入社員の教育制 度も問題になっているようです。古い体質の社会では、「仕事は他人の技術を盗んで覚えるもの」との感覚が根強かったのですが、現在の学校教育では一連のカリキュラムに従った受け身の授業が一般化していますので、自ら積極的に技術を自己のものにすると云う意志は湧きにくいのかもしれません。さらにネット社会の普及で余りに多くの情報が氾濫し、職種にしても多彩な選択が用意され戸惑いが生じやすいのかもしれません。迷いが生じやすく、自分が将来このまま会社にいて魅力的な人材になれるかとの不安が付きまとって離れないのでしょう。
さらにバブル崩壊後、日本固有の「終身雇用制度」が崩れてしまい、世界的にも弱肉強食のグローバル化が突き進んでいます。その結果として、中小企業の倒産が相次ぎ大手企業の独占化が進んでいます。大手企業でも生き残りをかけて、リストラの嵐は時に季節風の様に吹きまくります。この様な環境変化の中では従来の様な職場人間になる様にと、若者だけを責めても仕方がないのです。こうして大手企業内でも、確実に「うつ病」を中心とする精神疾患が増えているのです。
次回に続く
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