中沢家の人々(34)

それからも里美と清吉は週2度の割合でゴルフの練習に励み週1度は男女の関係を結んだ。
里美との関係が深くなるにつれ紀子への後ろめたさも薄らいで行った。
里美と初めて関係してから10ヶ月後、清吉は彼女に5千万円でマンションを買い与えた。清吉の子供を作ると云う条件で…
そして晴れて子供が出来たら紀子と別れ、里美と入籍するとまで誓った。
里美とゴルフの練習を始めてから3ヶ月後には始めてコースデビューとなった。散々なスコアであったが、ゴルフ場を懸命に走り回る里美が愛おしくてならなかった。ゴルフに対する熱の入れ方が紀子とはまるで違う。
その頃から里美には店を辞めさせた。他の男とグラスを交わしている里美の姿を想像するだけで我慢が出来なくなって来た。
里美が店を辞めてからは毎週の様に彼女とゴルフコースに出掛けた。彼女もコースデビューを初めてから半年後には100以下のスコアでコースを回れる様になっていた。
紀子のコースデビューとは大違いである。清吉は益々里美にのめり込んで行った。その結果、当然の如く紀子との実家には帰らなくなっていた。
最初のうちこそ、あれやこれやの言い訳をしていたが、数ヶ月もする間に言い訳する材料もなくなって来た。誰がどう考えても夫に女が出来たのは紛れもない事実であろう。
それだけではない。クリーニングに出そうと清吉の背広のポケットを点検すると中から指輪や腕時計の領収書が出て来たりする。
この一年以上、清吉からそんなプレゼントを紀子は貰った覚えがない。となると誰か知らない女性へのプレゼントになる。
あれだけ自分以外の女は決して抱かないと誓っていた清吉だが、やはり子供の出来ない自分に愛想が尽きたのかもしれない。一度は、
「他で子供を作っても良いわよ」と、
紀子自身が清吉に言ったりもしたが…それが現実の話となると心の中にぽっかりと穴が出来てしまった様な寂しさは隠しようもない。
これまでにも2~3日のゴルフ旅行で自宅を留守にする事はあったが、この半年前からは1週間以上も平気で自宅に帰って来ない日も多くなって来た。
何の言い訳もなく、朝出掛け夕方に戻って来た様な顔で帰って来る。
「1週間も何処で何をしていたの?」と、
紀子の方から詰問したりする事もない。そんな質問をすると逆に自分がより惨めになりそうだ。もはや夫婦と云うよりは同居人に近い状態になっている。
もちろん夜の営みも半年以上は皆無である。
次回に続く
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