想い出は風の彼方に(55)

浩司は自分の体液を思い切り綾子の体内に吐き出した。避妊用具は一切使用しなかった。純血と純血の身体を打(ぶ)つけ合うのに、そのような避妊用具はいらないと綾子が拒否した。18才と云う綾子の身体は健康と若々しさに輝いていた。風呂から出て一休みをした。濡れた髪をドライヤーで乾かす間も浩司は待てなかった。ともかく自分の体液を一滴残さず、綾子の身体に注ぎ込みたかった。風呂から出ても浩司はひたすら綾子の身体に挑みかかつた。
一度抑制の取れた若い性は、留まる所を知らない。夜が明けるまで彼等は欲望の底まで突き進んだ。
綾子にとっては快楽とは程遠かったが、浩司の満足し切った顔を見ているだけで十分に幸福だった。さらに浩司から愛されている実感が彼女を甘くシビレさせていた。浩司にとっても自分が初めての女だと言う。この事実が彼女の満足度を、より強いものとしていたのかもしれない。
トイレに立ち上がった時に自分の顔をしげしげと見た。昨日までの自分と女になってしまった顔に、余り違いは見られなかった。でも幾らか大人の女の顔になった様な気がした。
朝食は駅近くの喫茶店でモーニングサービスのトーストと半熟の卵それにコーヒーを口にした。二人とも学校は春休みに入っていた。テーブルの下で二人の脚は絡み合っていた。共に身体の一部が触れていないと落ち着かなかったのである。周りに人が居ない瞬間を狙っては幾度となく唇を重ねた。喫茶店の2階で数時間以上も過ごしてしまった。
会話はなく、手だけは握り合い瞳だけを見つめ合っていた。身体は気怠(けだる)かったが…昨晩は殆んど寝ていなかったので…家に帰る気にはなれなかった。時刻は昼近くになっていた。
浩司の方から声をかけた。
「綾ちゃん、帰ろうか。今夜にでもまた電話をするから…出来たら明日も会いたいな」
「うん、帰りましょうか。明日は友だちと会う約束があるけど、そんな事はどうでも良いわ。どんな言い訳だって思いつくから…それより浩司さんと会う事以上に大切な事などないもの。私って悪い女なのかしら?」
「僕にとって君ほど素敵な女性はいないよ。綾子、死ぬほど好きだ。ご免、呼び捨てにして…」
「ううん、これからは綾子って呼び捨てにして…その方が嬉しいわ。私も浩ちゃんって呼ぶから、それで良いでしょう」
「そうだね、もう僕等は昨日までの関係ではない。人生最大のパートナーになっている。僕は綾子の全てに責任を取る必要がある。昨晩の僕は一時の快楽だけをを求めた訳ではない。親友の妹と知っての行動だ。君さえ嫌じゃあなければ僕は綾子を一生、僕のそばから離す積もりはない。僕の一人合点なのだろうか。
もしそうだとすれば僕は君に土下座するしかない」
「浩ちゃん、私が貴方をどれだけ好きなのか分かっていないのよ。もし、少しでも分かっているなら…そんな事を言うはずはないもん。浩ちゃんがしたいと思う事で私が、No.だなんて言う事なんかある訳ないじゃない」
次回に続く
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