診察室からコンニチハ(71)

これまで日本の医師や看護師の労働基準の過酷さについて述べて来ましたが、それはあくまで米欧諸国の基準によるものです。発展途上国と比較すると、まだ恵まれた状況にあるのかもしれません。私たちは職業人としてのプライドを高め、現段階ではこの国の医療を支えて行く方法しかないのでしょう。そう思う事により医療人は自らを鼓舞するしかないのです。何と言っても、民主主義国家形態の中で私たち国民が選んだ政治家たちが決めた事ですから…。古代ギリシアから始まった有史以降の私たち人類は、民主主義と云う名の衆愚政治と、その破綻から哲人政治を追い求め、それは独裁政治に舞い戻る運命となり、そしてまた民主主義に憧れると云った歴史を繰り返しているのです。昨今の日本の選挙時における投票率の低さを見ると、そんな衆愚政治的な考えが頭に浮かぶのです。真に求める事に積極的な行動を取ろうとはしないのです。
いや、求める事は何かさえ気付いていないのでしょう。自分や家族が不遇な状況に置かれるまでは…。ただ与えられた事のみに漠然とした満足感を味わっているのか、あるいは鈍麻しているのかは判断に迷うところです。それは自ら努力せず「宝くじ」を買い求め、当たるかもしれない幸運を待ち望んでいるのと同じ様な心境でしょうか。
この国の精神は、昭和20年8月15日の終戦以降GHQ管理下の基で「ミニアメリカ」となり果て、ハワイに次ぐ米国51番目の州と陰口を囁かれる程に独立心を失いかけているのでしょうか。憲法問題を一つ取っても、アメリカ製の憲法に何の疑義も抱かず、ただ感情的に反対のための反対をしているのです。
何故、国民全体が「この国のあり方」を真面目に議論しないのでしょうか、70年以上も憲法問題には思考停止が続いているのです。これで真に独立国家と言えるのでしょうか?
ただ一部の官僚が、医療経済にしても部分的な修正を2年ごとに繰り返しているに過ぎないのです。オピニオンリーダーとしてのマスメディアは権力者が流す情報を受け売りしているとしか思えません。
これまで一度でも米欧諸国と比べた医療のあり方を真剣に議論した事があったでしょうか?
次回に続く

診察室からコンニチハ(70)

日本の医師の平均労働時間は、週で約70.6時間。
アメリカの医師は、平均約50~55時間。EUでは、平均約45~50時間だそうです。世界の労働基準法によると週60時間が健康管理上の危機ラインなのに…。
日本の医者の労働時間はやはり圧倒的に長いのです。しかし、実際にはもっと長い可能性が高いのです。
その原因は、「当直」です。
この当直時間帯の勤務時間の換算が正確にはなされていないのです。
米欧では、当直明けの勤務は厳禁です。しかし、日本では当直明けにも手術室に入ったりしています。この為に睡眠不足から医療事故につながる危険性さえ出て来るのです。昨今では厚労省もこの事態を認識し始め、大学病院を中心に改善命令が出ています。それでも医師不足を理由に、この悪習は完全には改まっていません。何と言っても米欧に比べ医師の数が圧倒的に少ないのですから、ただ改善命令だけを出せば医師の過酷な労働条件が緩和されるはずもないでしょう。ともかく、医師も看護師も米欧並みの人員確保を目指せば医療費の増大を招くと厚労省は恐れているのでしょうか?
看護師に関してのデータでは、米欧諸国と比べ、実働時間、年収などで大きな変化はありませんでした。ただベッド100床あたりの配置基準が違い過ぎるので(前69話を参照)、医師ほどではないにしても過酷な労働条件にある事は間違いないでしょう。
この様な条件下で、我々医療従事者は低コスト、高品質な医療を求められているのです。それでいて、日本ほど医療不信に満ちている国もないと言われています。宗教観の違いなのでしょうか、それとも死生観の違いでしょうか。あるいはマスメディアの主観的な報道事情があるかもしれません。
次回に続く

診察室からコンニチハ(69)

海外先進国と日本での医療機器の保有台数から比較してみましょう。
先ずはCTとMRIからです。
2017年OECD (経済協力開発機構)のデータを基にしています。
人口100万人あたりの  CT保有台数 MRI保有台数です。
                CT               MRI
日本       110台             52台
米国         41台              36台
ドイツ      37台              32台
韓国          39台              28台
フランス   18台             12台
カナダ       18台              9台
と、なっています。
次にベッド100床あたりの看護師数と医師数の比較です。
               看護師             医師
日本        41.8                12.0人
ドイツ    92.9人             35.6人
米国        197人              63.9人
と、なっています。
質の高い医療の基本は人的資源です。低医療費政策の一環で、我が国は人的資源をここまで削減されているのです。ともかく大病院を中心に高度な医療機器を無制限に使用しながら、時には不必要な検査もしなければならない経済事情に追い込まれたりもするのです。それでいて治療の根幹を成す人手は、極端に少なく抑えられているのです。
この為に先進国では類をみない過酷な労働が医師を中心に看護師にまで及んでいるのです。
また看護師に比べて医師の人件費(時間あたり)極端に抑制されているのも日本の特徴です。開業医に比較して、優秀な専門医の収入が先進国の1/2(時間あたり)ぐらいまでに抑え込まれているのです。医師の技術料が低くしか評価されていないのです。胃内視鏡や大腸ファイバーなどの技術料が驚くほど低価格で設定されています。それらを補う為には数を熟すしかないのです。外来や入院診療でも、ともかく多くの患者さんを診て何とか経営バランスを保つているのです。それが医師や看護師の少なさに結びついているのです。そして何時も人手不足に悩まされています。それでいて医療水準の高さは世界のトップレベルにあります。しかし、最先端の医療水準は遅れを取っています。それは厚労省が、その様な医学の開発研究費に十分に必要な配慮を持たないからです。
次回に続く

診察室からコンニチハ(68)

私のブログを見て、また新しい女性患者さんが初診で来ました。何時もの様に問診と頭部CTを撮って、私手製の脳トレをやって頂き「レビー小体型認知症」と診断を付け、その旨を息子さん夫婦に説明しました。
さらに家族の接し方がどれだけ大切かを話しました。「ユマニチュード実践編」のパンフレットと「脳トレ初級」の用紙を手渡しました。
取り敢えず、2週間後にもう一度受診してほしいと伝えてお帰り頂きました。その翌日に、この患者さんの長男の方から電話を頂きました。
言葉こそ丁寧でしたが、どこかに横柄さが感じられました。
「先生は、どの様な根拠でレビー小体型認知症との診断を付けたのですか?」
との、質問でした。
その女性患者さんが、少し「うつ病っぽい」事と、筋強剛が見られた事、長谷川式スケールが20/30点と低い割りに頭部CTで脳細胞の萎縮が進んでいないなどが、その根拠であると説明しました。
「分かりました。それではセカンドオピニオンを求めて、別の専門医にも意見を聞きに行きたいので紹介状を書いて欲しい」
と言われたので、その通りに紹介状を書きました。それで、その事は忘れてしまいました。少しばかり後味の悪い気持ちは残っていましたが…
しかし、それから2ヶ月後にあの女性患者さんのご主人より突然の電話がありました。
「あれから、長男の言う様に大きな病院に行ってみたが、検査ばかりが続き治療も説明も何もしてくれず困り果ています。どうか、もう一度先生に診て欲しい」
と、言って来られました。ご主人のみならず患者さんご本人も私に診て欲しいと言って来ました。そこまで言われると、私に断る理由はありません。
翌日、やって来た女性患者さんとそのご主人に、
「あの長男の方にはどう説明して来たのですか?」
と、私は尋ねました。
「いや、あの長男には内緒でやって来たが、どうしても先生に診て欲しい」と、
お二人が揃って言われました。私は戸惑いながらも、もう一度…
「脳トレや規則正しい生活習慣と睡眠リズムの調整」
について丁寧に説明しました。彼等夫婦は幾度も頭を下げて診察室から出て行きました。すると、その翌日にまた長男から電話が入り、
「親の事は自分がやっているから、二人のボケ老人は相手にしないでくれ。でも新しい病院でもレビー小体型認知症だと言われたが、それなりの検査をしてからの診断なので安心だった」
と、少し皮肉な言い方をして来ました。
「分かりました。ともかく日替わりメーニユーの様に病院を変えず固定した医師に診てもらって下さいね」
とだけ私は言って、受話器を置きました。大病院の高度な医療機器だけが絶対だと確信している人には何を言っても通じないものです。前回(67)話の認知症診断のページを読んで頂ければ、賢明な読者にはお分かりになると思うのですが、診断後の治療をどうして行くかは何も考えられていないのでしょうか、あの長男の方は…
次回は医療機器も含め日本と海外先進国での医療現場の実態をご紹介しましょう。
次回に続く

診察室からコンニチハ(67)

今回は認知症における画像診断と臨床診断の差について考えてみます。
日常の外来診察で行う問診、長谷川式認知症スケールあるいはMMSE (ミニメンタルステート検査)そして血液検査(甲状腺機能障害や糖尿病などのチェック)さらに頭部CT(脳血管障害や脳全体の萎縮像を診る)ぐらいまでが一般的な臨床診断と言われるものです。
次に画像診断とは、どんなものがあるのでしょうか?
脳の形を見る「形態画像」にはCT(重複)やMRIがあります。MRIはCTに比べ脳の萎縮の程度や病変がどのくらいの範囲に及んでいるかなどを細かく確認することができます。一方、脳の働きを知るための「機能画像」があります。それがSPECTやPETと呼ばれるもので、脳血流を見ることで脳の局在的な働きを判断して、認知症の原因疾患により働きの低下する部分に違いを鑑別して診断をするうえの有効な情報が得られます。また、新しい画像検査として注目されている「MIBG心筋シンチグラフィ」は、とくにレビー小体型認知症の診断に有効で、今後の活用が期待されています。
次に剖検(解剖所見)による一般臨床診断と、レビー小体型認知症の最先端の画像診断と言われています
「123 I-FP-CITドパミン作動性神経画像検査」との比較を検証してみます。
『剖検された患者は55例で(DLB:33例,アルツハイマー病:22例)を対象としました。剖検による診断 に対して,123 I-FP-CITの診断精度は86%(感度80%,特異度92%)であり,臨床所見によ る診断精度は79%(感度87%,特異度72%)でありました。DLB患者のうち10%(3例)は,レビー小体病の病理学的基準を満たしていたが123 I-FP-CIT画像検査の結果は正常でありました。
結論:今回の剖検を用いた大規模な研究では,認知症における123 I-FP-CIT画像検査は, DLBの有効で正確なバイオマーカーであることが示された』
との内容でしたが、画像診断86%に対して臨床所見による精度は79%の結果です。つまり7%の差です。この診断精度の違いを皆さんは、どう考えますか?
次回に続く

診察室からコンニチハ(66)

ゲノム編集は認知症治療に繋がるのでしょうか?
多くの方が抱く疑問だと思いますので、私なりの見解を述べてみたいと思います。例えば遺伝子レベルに深く関与していると言われています「家族性アルツハイマー病」などは、割と早い時期に(早いと言っても10年単位だと思うのですが)治療法が見つかる可能性はあると思います。しかし、認知症と云う学問も進歩に伴って困難な問題が幾つも出ています。それは今まで言われていた単純なアルツハイマー病などは、殆ど無いのではとの疑問です。基本的には脳細胞の変性疾患ですから、アルツハイマーに脳血管性病変が混入していたり、レビー小体型が合併していたり、慢性アルコール中毒も考慮しなければならなかったりと、多種多様な病変像を疑う必要が出ているのです。確かに次の様な研究グループの発表もありますし、この様な報道が流れますと、マスメディアは単純にアルツハイマー病の根本治療が出て来た様な単純な書きかたをしますが、それ程に簡単ではないのです。一応は記載しておきます。
「理化学研究所・神経老化制御研究チームの西道隆臣チームリーダーらの研究チームは、モデルマウスによるゲノム編集技術を駆使した実験により、アルツハイマー病発症の原因となるアミロイドβペプチド(Aβ)の蓄積を抑制する遺伝的な欠失を発見しました。
アルツハイマー病は、認知症の半数近くを占める神経変性疾患であり、脳内のアミロイドβペプチド(Aβ)の凝集・蓄積、遺伝子変異が疾患発症の原因といわれています。しかし、その遺伝子はほとんど同定されておらず、治療法も確立されていません。また、症例は少ないものの遺伝的な要素の強いアルツハイマー病があり、その場合、30~50代と早期で発症する例が多くみられます」
との内容ですが、もしかすると家族性アルツハイマー病に限って言えば有効性を発揮するかもしれないと云った程度でしょう。
だからと言って未来永劫、ゲノム編集による認知症治療が困難だと言っている訳ではありません。未だ多くの時間と試行錯誤が必要なのではないかと懸念しているだけです。
次回に続く

診察室からコンニチハ(65)

今回はゲノム編集の危険性について考えてみます。
ゲノム編集技術は『ネイチャー・メソッズ』誌において2011年のメソッズ・オブ・ザ・イヤーに輝き、2015年にはCRISPR/Cas9の研究がノーベル賞候補と言われていました。
ゲノム編集技術の中で最も有望な、今日CRISPRと呼ばれる反復クラスターは、1987年に大腸菌で初めて石野良純らによって記載されました。その後、2002年にCRISPRと命名される事になりました。
このCRISPRがゲノム編集へと応用可能であると記載されたのは、2012年8月のことで、スウェーデン・ウメオ大学のエマニュエル・シャルパンティエらとアメリカ合衆国・カリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナらによるものです。
シャルパンティエとダウドナらは、CRISPRによるゲノム編集の可能性に気付くうち、当時用いていたレンサ球菌の2つのRNAをガイドRNAとして1つに集約できることにも気付いたのです。その試みは成功し、今日のCRISPR/Cas9による高効率のゲノム編集が可能となりました。
2015年にはCRISPR/Cas9を用いて、世界初のヒト受精卵の遺伝子操作が中華人民共和国で行われ、国際的に物議を醸しだしました。この実験を主導したJunjiu Huang(黄軍就)らが使ったのは、不妊治療の過程で体外受精により作られた受精卵でした。全ての受精卵について、2つの精子が受精した異常なもので、正常には発育しないため廃棄されるものであったのです。狙った遺伝子を思い通りに書きかえられたのは86個中たった4個で、望んでいない書きかえ、つまり*オフターゲット【ゲノム編集技術CRISPRで利用されている酵素Cas9は、標的外(オフターゲット)の部位も切断することが知られている】が、起きていた受精卵もみられました。そのため、Huangらの論文では技術的な改善の必要性を結論づけています。前年の2014年にCRISPR/Cas9によって世界初の遺伝子改変サルをつくることに中国では成功していました。倫理的問題はともかくとして、HuangはNature誌により2015年の10人に選ばれました。これにより2015年からヒト受精卵に対するゲノム編集技術の倫理的規制が新たな課題となっています。2016年にも世界で2例目のヒト受精卵のゲノム編集が中国で行われています。同年10月に世界初のゲノム編集の人体応用となる臨床試験、翌年2017年3月には世界初の正常なヒト受精卵へのゲノム編集も中国で行われています。
中華人民共和国では第13次5カ年計画で、ゲノム編集を政府が国家戦略と位置付けた2016年からゲノム編集の実施が相次いでおり、2018年時点で中国では86人の遺伝子がCRISPR/Cas9によって改変され、同年11月26日には南方科技大学の賀建奎(英語版)副教授が、ゲノム編集による世界初の*デザイナーベビー「露露と娜娜(英語版)」の誕生を発表して、世界的な波紋を呼んでいます。
*デザイナーベビー
『デザイナーベビーとは、受精卵の段階で遺伝子操作を行うことによって、親が望む外見や体力・知力等を持たせた子供の総称。親がその子供の特徴をまるでデザインするかのようであるため、そう呼ばれています』
2015年12月にワシントンで開かれた第1回ヒトゲノム編集に関する国際会議(International Summit on Human Genome Editing)では、現時点で受精卵にゲノム編集をして子どもを誕生させることは無責任だとして行うべきではないという考えを表明していています。2018年11月に中国科学技術省は、遺伝子編集実験への関与者に活動の中止命令を出しました。
2018年11月現在の各国のヒトの受精卵に対してゲノム編集することの規制状況は、
ドイツ、フランス - 法律により禁止
イギリス - 基礎研究は認め、母体に戻して子どもを誕生させることは制限されています。
正常なヒト受精卵に対するゲノム編集が世界で初めて実施可能になってはいますが、
米国 - 研究に連邦政府の資金を投入することを禁止、寄付などの研究資金では可能となって、国によって十分な統一見解は出されていません。
中国 - 国の指針で子どもを誕生させることは禁止となっています。
日本国内では、厚生労働省によるガイドラインで、生殖細胞と受精卵の遺伝子改変を着床の是非に関わらず全面的に禁止しています。しかし、さらにもう一歩踏み込んで、法的規制が必要との声もあります。2018年11月28日、生殖補助医療に役立つ基礎研究に限って容認する指針案が了承され、早ければ2019年4月にも解禁される見通しです。
実際に患者に対する臨床試験を行うにあたって、患者にオフターゲットによるがんなどのリスクを適切に説明して、インフォームド・コンセントを確立することができるかどうか、また、オフターゲットのリスクと患者の利益の関係の上で、適切な治療として成立しうるのかどうかが、課題となっています。更には、極めて高価な治療となることが予測されることも、課題となるでしょう。
また、遺伝子組み換え作物 (GMO) としての取扱いについても、問題を生じています。従来のGMOと異なって、ゲノム編集作物の場合は予想外の作物が育つてしまう危険性も捨て切れないからです。
さらにバイオテロリズムへの応用を危ぶむ声もあります。
ヒトの脳、つまりヒトと同等の意識をもった動物を作成できる可能性が、技術論として真面目に議論されているからです。
大学などの研究機関や企業に所属しない個人やグループが、自宅などでゲノム編集の実験や自らの肉体を対象とした遺伝子治療、ペットの遺伝子改変などを行う「DIYバイオ」「バイオハッキング」がアメリカ合衆国などで広がっています。ゲノム編集の技術や手法がインターネットを通じて広まり、必要な薬品や器材もネット通販で入手しやすくなっていることが背景にあるようです。
これからは、より強い法的な規制が必要となって来るのでしょうか?
次回に続く

診察室からコンニチハ(64)

2019年の正月です。
皆さん、明けましてお目出とうございます。さて、この新年にはゲノムとは何かについて考えてみたいと思います。
生物がもつ最小限必要な染色体の1組、あるいはその1組の染色体に含まれる遺伝子の全体をゲノムと言います。
ウイルスやミトコンドリアなどの核酸1分子をゲノムと呼び、このゲノム分析によって生物の進化経路が追求できるのです。
このゲノムを書き換えて編集する事により人間を含めた生物の遺伝子(DNAやRNAなど)操作が容易になります。その有効的な利用法としては、人間の難病を根底から治療したり、作物の遺伝子をピンポイントで組み換えて耐性を高め、世界の食料需要により応えられたりできる可能性があると思います。
この編集により、いまだ開発段階にあります技術や応用分野、医療(特に遺伝子治療) 等の研究開発が飛躍的に増えて行くでしょう。
その応用例としては、以下のものが研究途上にあります。
農作物の品種改良による増産、家畜の人工的養殖。例えば、イネ 、ブタ、ウシ、養殖魚の効率化、トマト、キュウリその他の増産増殖です。
さらにヒトの疾患の治療にも有効性を発揮出来るかもしれません。
筋ジストロフィー 、白血病 、AIDS 、冠動脈疾患、重症複合免疫不全症 その他にです。
それ以外には疾患のモデル動物の作成も可能になるかもしれません。
モデルマウス、モデルラット 、モデルメダカ、そしてスクリーニングによる遺伝子機能解析および創薬に続いて、遺伝子ドライブ(遺伝子工学による種の改変)を通じマラリアの根絶、デング熱の根絶、ライム病の根絶、住血吸虫症の根絶なども考えられます。
それ以外にも応用例は数限りなくあると思います。これらゲノム編集により人類は限りなく豊かになるかもしれませんが、どこかに落とし穴はないのでしょうか?
次回にはゲノム編集の危険性について考えてみたいと思います。
次回に続く