診察室からコンニチハ(171)

話をゲノム編集に戻します。
まず、ゲノムとは何かを整理してみましょう。
ゲノムの定義は、「遺伝情報の全体・総体」を意味するドイツ語由来の語いであります。古典的遺伝学の立場からは、二倍体生物におけるゲノムは生殖細胞に含まれる染色体もしくは遺伝子全体を指します。
もう少し分かりやすく言えば、人間の染色体は46本あります。この中の2本が性染色体と言われ、XX(X染色体が2本)が女性の性染色体で、XY(X染色体とY染色体が1本ずつ)が男性の性染色体です。性染色体を除いた44本が常染色体と言われ、人間の体細胞を形成しています。人間の精子には23本の染色体があり、卵子にも同様に23本の染色体があります。受精により、精子と卵子が結合して46本の染色体となるわけです。
ですから、人間は二倍体生物に属するのです。この精子か卵子の23本の染色体の総数をゲノムと言います。つまり、人間には二つのゲノムが存在しているのです。
それでは、遺伝子とは何でしょうか。
1本の染色体は1冊の本にたとえることができます。ということは、一つのゲノムには23冊の本があるという事になります。その1冊づつに書かれた文字が遺伝子なのです。
具体的には、人間の第一番目の染色体は2610の遺伝子でなり立っています。つまり、2610の文字で一冊目の本が出来上がっている事になります。ちなみに、二冊目の染色体には1748の遺伝子が、三冊目には1381の遺伝子があります。私たちが日ごろ手にしている本の中に、時々は誤字、脱字が見つかる事があります。二倍体生物にとっては、これが遺伝子異常となって疾患につながってしまうのです。遺伝子の編集と言われていますのは、これらの誤字、脱字を直すことなのです。あるいは、もっと美しい字を書いたり、分かりやすい文章構成をしたりする事で、農産物の品種改良に繋がって行くように、ヒトの遺伝子も操作して、疾患の治療に結びつけたり、糖尿病や高血圧などの遺伝子検索をして、その体質の遺伝子を書き換えることも将来的には可能となるのでしょう。こう書いていきますと、私たち人類は近い将来、全ての疾患から解放されるのではないかと大きな期待感で、胸を膨らませて行くかもしれません。
次回に続く

診察室からコンニチハ(170)

【後期高齢者の運転免許】(3)
専門医なら、認知症の深い臨床経験と診断能力で容易に書けるかというと、そうではないと思います。確かに長谷川スケールが30点満点中の20点以下だからとか、画像上で側頭葉の海馬萎縮が著明であったとかの理屈づけは出来るかもしれません。それ以外の知能検査も幾つかありますので、それらを丹念に実施して患者さんとご家族に納得してもらうというのが、一般的な考え方でしょう。
でも、それだけでは何か本質的な見落としがある様な気がしてなりません。昨今は高齢者の運転事故が相次いでいるので、それが認知症という病名に結びついたのでしょう。
でも、何か少し安易な発想に思えてならないのは、私だけでしょうか。何か大きな社会問題化する事故が多発すると、「認知症」であるとか、「睡眠時無呼吸症候群」が原因であるとか、マスメディアを通じて単純な発想が常に一人歩きしてはいないでしょうか?
もちろん、「認知症」や「睡眠時無呼吸症候群」が、交通事故を誘発しやすいのは事実でしょう。
それを否定するつもりはありません。しかし、問題の本質は「運転の適応性」があるのかを問うべきでしょう。医学的に「認知症」とは判断できなくても、適応性のない人は幾らでもいるのです。
例えば、「煽り運転」で事故を繰り返す人と、「認知症」の高齢者と、どちらが「運転の適応性」に欠けているかは簡単に結論づけられないと思うのです。
安易に高齢者だからと言って、「認知症」という概念で括りつける事に疑問を呈したいのです。
確かに高齢になると、瞬発力や身体機能が低下するのは自然のなりゆきでしょう。だからと言って、「認知症」という概念だけで、運転免許証の返納を論議すべきではないと思うのです。
基本的には、繰り返しますが「運転の適応性」に注意を払うべきなのです。「認知症」がなくても、運転すべきで無い人は幾らでもいます。何度も交通事故を起こす人は、若くても「運転の適応性」に欠けているので免許証は返納すべきでしょう。
「それでは、高齢者の運転免許証はどうするのだ?」
話の結論が全くわからないとの、ご叱責を受けることになるでしょう。高齢者の運転能力が低下しやすいという傾向は考慮しても、ただ認知症というだけでなく、それも視野に入れながら、一人の人格として人間性を重んじながら「免許証の返納」を、ご本人、家族を踏まえて相談すべきだと思うのです。医師が安易に診断書を作成するのではなく、あくまでも自主的にご本人と家族が返納するか否かの意思決定を行うのが最良かと思います。
それらの判断材料として、認知機能の診断がなされるべきだと思います。ただ私の考える簡単な判断材料として、多くの方に参考にして頂きたいのは、「車庫入れ」です。
年々「車庫入れ」時にハンドルの切り返しが多くなっているとか、接触事故の回数が頻回である事は、「免許証返納」の大きな基準になると思います。
次回に続く

診察室からコンニチハ(169)

【後期高齢者の運転免許】(2)
つまり本人が一人で来ても、家族と来ても、認知症診断にとって要(かなめ)と言っていい「生活の困りごとを包み隠さず話してもらう」ということは、期待できないことがよくあるのです。唯一の例外は、「お願いだから、危ないからもう運転しないで...。」と家族が切に 願っている時で、この時は、かつてあった色々なエピソードを伝えてくれるのでスムーズです。
逆恨みされやすい。
時に書類を発行した患者さんから後に「免許ダメになっちゃったよ。先生、悪く書いただろう!」とすごまれたり、逆恨みをされることは、実は珍しいことではありません。
はっきりと認知症の診断を受け、数年前から認知症の薬を飲んでいる方でさえ、免許を取り上げられることに納得ができず、頻繁に医院を訪れては恨みつらみを言う方がいるのです。事故を起こしてしまった際の責任の重さなどの正論を懇々と説くのですが、理解力が低下することが認知症の症状の一つであるため、糠に釘という心境てす。その場では渋々納得され たように見えても、数日後に忘れてもう一度来院...電話が何度もかかってくる...ということが起きており、医療機関としても対応にかなりエネルギーを費やすこととなっています。
どちらとも言えない...というあいまいな項目に丸をつけると、その時点では一応免許は 更新されますが、なんと半年後に再び同じ書類が来て、患者さんとお会いすることに。問題 の先送りに過ぎないのです。
免許更新のための認知症診断は、上に書いたような事情でいたって不完全で心もとないのが実情。医師は、限られた情報しかない中で、頭を悩ませながら書類を作成します。本人から車という貴重な交通手段を取り上げてしまうことの心苦しさ。判断力が落ちている方が人身事故を起こした時には取り返しがつかないという恐れ。不十分な情報の中でどちらか一方を選ばなければいけないということは、書類作成をする医師にとってかなりストレスフルな作業です。これを初めて会う医師に丸投げすることは、システムとしては問題です。
そういった意味から考え合わせると、一般内科医は【後期高齢者の運転免許】の診断書には、かかわるべきでは無いと思います。すなおに専門医に紹介状を書くべきでしょう。
では、認知症専門医ならどうするかは、次回のブログで書いていきます。
次回に続く

診察室からコンニチハ(168)

突然ですが、しばらく臨時講演をさせて下さい。今や社会問題化している
【後期高齢者の運転免許】(1)
についての話です。
「認知症が疑われますので、診断をお願いします」という依頼を受ける医師は、一般内科でも、時にはみられます。認知症専門医は当然として、神経内科、精神科などでも、この様な依頼の書類を受ける事が多くなりそうです。
高齢者が免許更新のために免許センターに足を運んだ時に簡単なチェックを行い、そこでひっかかった場合、後に本人のところにこの書類が送られてきます。もしくは一時停止違反などで警察と接点があっても、やはり送られることがあります。
 この書類作成業務、いくつかの点で問題ありありです。
1) 本人が一人で来るとお手上げ。
2) 家族が来ても診断に協力的でないとお手上げ。
3)逆恨みされやすい
などです。
一概にMRIや長谷川スケールだけでは、医師としては判断に迷う事が多いと思います。
世間一般では、検査や診察をすれば、認知症かそうでないかをクリアカットに判別できるものだと思われています。一般の方も、そして公安委員会もそう考えているのでしょう。やむを得ないことではあります。
ここで認知症の定義を見てみましょう。 「記憶障害に加えて、失語・失行・失認などの障害があり、生活に支障をきたすようになった状態」
年相応のもの忘れだけでは、認知症とは言えませんし、記憶力などは長谷川式でおおむね判断できるとして、ネックは後半にあります。生活に支障をきたしているかは、診察室ではまずわかりません。これまで継続的に通っていて接触頻度が多い方であれば、最近薬の飲み忘れが多いよねとか、この間は検査を忘れてドタキャンしたとか、「生活に支障をきたし ていることがうかがえるエピソードを拾い上げられる確率」が高まります。でも実際には、この書類をもらって初めて受診しましたという方の方が圧倒的に多いのが実情です。
本人に聞いてみますか?
でも、考えてみて下さい。認知症の患者さんはしばしば病識(自分が病気であるという認識)がありません。生活に支障がないと思っているのは本人だけで、 実は周りに支障があり大変ということは少なくないのです。運転ミスも、周りに支障がでる典型ですね。
そしてもし本人が「最近ちょっともの忘れするな...」と自覚したり、生活の中で困っていることがあったとしても、診察室で正直にそれを申告するでしょうか。免許を更新したくてわざわざ免許センターに行って、更に面倒くさい思いをして慣れないクリニックを受診しているのです。それもこれもすべて「免許を取り上げられると困るから」わざわざ自分に不利になるようなことを言わずに口をつぐむ方が、普通ではないでしょうか。
かくして一人で来院した場合、一切の外部情報がない状態で診断を迫られることになるのです。これは難しいというか、正確な判断は不可能と言わざるをえません。
付き添いの家族がいれば万々歳かと言うと、そうとも言えません。夫婦は同年代だから、 来院患者と同じくらい認知症らしい連れ合いだった場合どうしましょう。 「じいちゃんは、私なんかよりよっぽどしっかりしています」とおばあちゃんに言われて、 生活に支障なしとしていいものか。
娘さんなどそれなりにしっかりした付き添いでも別の問題が生じます。免許が欲しくて家族が同行受診しているのに、本人に不利益になる情報をきちんと言ってくれるかということです。夫婦 2人のどちらかが運転できれば何とか生活は回るが、免許返納となると特に地方 では一大事。生活パターンをガラリと変えざるを得ません。日々の買い物から医療機関受診まで、運転をできる子供世代が全面的にサポートしなくては生活が回らなくなるため、子供世代の生活にまで影響が及ぶのが実情です。そうなると共犯で「もの忘れは年相応くらいだと思います」と言ってしまっても、おかしくないのです。
次回に続く

診察室からコンニチハ(167)

これらゲノム編集の革新的な解明で、これからの私たちの身体や精神は、限りない健康を保つ事ができるのでしょうか?
まずは、最先端の「ゲノム編集の概要」から説明してみます。
 今から10年ほど前に登場した「ゲノム編集 (genome editing)」は、旧来の遺伝子組換え技術とは原理の異なった新しい遺伝子改変技術です。
【旧来の遺伝子組換え技術とは】
人類は農業開始以来、効率良く食糧を確保するために様々な育種技術を駆使してきました。その結果、今日栽培されている作物のほとんど全てが、原種(野生種)とは程遠いものとなっています。従来の育種では、10年ほどかけて、多収性、高品質、矮性、耐病性、耐虫性、除草剤耐性、耐冷性、早晩性といった優良な形質を持つ新品種が生み出されてきました。これらの新品種は、当然、新たな組み合わせの遺伝子を持ち、遺伝子産物として新たなタンパク質を持っています。つまり、従来の育種においても遺伝子組換えにおいても、本質的に、新品種が元の品種と比べて「何らかのDNAが変化したもの」である点では違いはないのです。
これら旧来の遺伝子組換え技術では、遺伝素材は同一の生物種か、特定の近縁種に限られていました。この技術では、改良された表現型(形質が現れる遺伝子)しかわからず、遺伝子の変化については未知でした。しかし、新しい遺伝子改変技術では、導入遺伝子の機能と表現型の関係が明確になってきました。この点はむしろ、より正確でかつ幅広い改良を計画的に進める上で有利に働くと考えられます。
つまり、生物の種に関係なく遺伝子の素材となりうるということです。
結論から言えば、表現型を人間が変えていくことに関しては、本質的に従来の育種(農産物では)と変わりはなく、遺伝子組換え技術に固有のリスクが生じるものではないと考えられます。リスクとして検討すべき点は、遺伝子組換え技術そのものではなく、どのような生物にどのような遺伝子を導入し、その結果、何が新たに作出されたのかということにあります。場合によっては、その結果を予測することが非常に難しいことがあることも考慮しなければなりません。
米国では、「バイオテクノロジー規制は、製品を作製するプロセスではなく、製品そのものの特性とリスクに注目して実施すべきである」という考え方が表明されています。ここでの製品そのものの特性とリスクの判断には、OECDでいう「ファミリアリティー」の概念に基づき、遺伝子ごと、作物ごとの個別具体的な検討が必要であると考えられています。「ファミリアリティー」とは、安全性を判断するための十分な利用の経験と知識の蓄積のことです。例えば、ジャガイモなどの農作物の遺伝子組換え体では、長い食利用の経験に基づき、その特性やリスクについて把握することは容易ですが、これまで利用経験のない、例えば、環境浄化や有用物質の生産を行う新しい種類の遺伝子組換え体については、そのリスクについて慎重に判断していく必要があるとする考え方です。
次回に続く

診察室からコンニチハ(165)

これまで、自閉症研究の多くは、タンパク質を合成する遺伝子のみの変異を特定することに焦点が当てられていた為に既知のヒト遺伝子20,000個と、それらの遺伝子をコントロールする周辺領域に絞って分析されていました。その膨大な情報量でさえヒトゲノム32億の塩基配列のなかの1~2パーセントほどでしかありません。これらの遺伝子が突然変異を起こすと、うまく機能しない変異タンパク質が作り出されます。
その一方で、タンパク質に翻訳されることのない残り98パーセント以上のゲノム「非コードDNA」は、どんな機能があるのか全貌が明らかにされていませんでした。それが、かつて「ジャンク(故障して、使用不可)」と呼ばれていた理由です。
ところが近年、この膨大な「非コードDNA」には重要な発現調整機能があることが明らかになってきました。これらの領域にあるゲノムが突然変異を起こすと、遺伝子の発現調節機能が混乱します。それらは遺伝子の作り出すタンパク質自体に変異を起こすわけではなく、いつ、どのくらい作り出すのかといった制御機能に影響を及ぼすと言われています。
さらに研究チーム(プリンストン大学コンピューターサイエンス)は、1,790人の自閉症の子どもたちと、「正常」と診断された家族の全ゲノムをディープラーニング(深層学習)により分析しました。なお、この調査では遺伝的な要素を除外するために、当事者以外は自閉症の罹患歴のない家族グループが選ばれました。つまり遺伝性のない孤発性自閉症スペクトラムは、膨大な「非コードDNA」の中にある何らかの突然変異によるものかを突き止めためたかったのです。
その分析結果によると、自閉症患者の「非コードDNA領域」では、家族のメンバーと比べて多くの突然変異がみられたといいます。研究者らはこれらの制御機構の突然変異が、逆にどの遺伝子に影響するのかを調査しました。すると、そのほとんどがシナプス伝達およびニューロン発達に強く関連する脳機能の遺伝子であることが判明したのです。
なお、それらの突然変異のなかには、以前の研究で特定された自閉症関連の遺伝子もありました。しかしそれらの突然変異は、孤発性自閉症患者の30パーセント未満だったと同論文では報告されています。研究チームによると、今回新たに発見された非コード領域の突然変異は、より多くの自閉症関連遺伝子を検出するだろうとのことでした。なお、このような突然変異は、胚と同様、精子細胞と卵細胞で自然に起こり得るものでありました。
「これは非遺伝性の非コードDNA変異が、複雑なヒトの疾患または障害を引き起こすことを示した最初の研究です」
と話すのは、同研究チームのプリンストン大学、オルガ・トロヤンスカヤ博士です。この知見は、自閉症だけにとどまりません。
次回に続く

診察室からコンニチハ(164)

現在、厚生労働省の難病指定疾患は306になりますが、幾つか代表的なものを上げますと、
 ①筋萎縮性側索硬化症
 ②パーキンソン病
 ③重症筋無力症
 ④多発性硬化症/視神経脊髄炎
 ⑤全身性アミロイドーシス
 ⑥悪性関節リウマチ
 ⑦バージャー病
 ⑧全身性エリテマトーデス
 ⑨皮膚筋炎/多発性筋炎
 ⑩全身性強皮症
 その他、多数です。
 ここで、小児発達障害のひとつ
自閉症スペクトラム(ASD)の発症について、考察していきたいと思います。
ASDには、非常に幅広い症状があります。例えば、社会的行動や対人コミュニケーションの難しさ、学習障害、反復行動、強いこだわり、刺激に対する過敏な感覚などです。これらに効果的な治療方法を確立するため、これまでさまざまな研究機関が自閉症関連の遺伝子の特定を試みてきましたが、その症状の幅広さのために候補遺伝子は数百以上にも上り、その解明は困難な壁に突き当たっていました。またASDには、一卵性双生児の一致率の高さ、そして遺伝子の共有率が高いほど発症率が高いことから、遺伝的要因が強いと考えられていました。例えば両親が同じ兄弟は、母親だけが同じ兄弟、または父親だけが同じ兄弟と比べると、発症率が高くなる傾向にありました。この事から、自閉症は多くの遺伝的な要因が複雑に絡み合って発症するものだと思われていました。
一方で、自閉症患者は90年代から増加の傾向にあり、遺伝だけでは説明できない事実もありました。多くの遺伝子を共有しているにもかかわらず、家族のメンバーのなかで単発的に自閉症を発症するケースも多くあったのです。少なくともこのような孤発性自閉症の原因の一つは、「ジャンクDNA(ガラクタDNA)」と呼ばれる機能が特定されていないDNAにあるのではないかと推論されていました。つまり、DNA領域にある遺伝子発現調節機能の突然変異にあるのかもしれないとの考えかたです。
そしてプリンストン大学の研究チームにより、これまで「ジャンクDNA」と呼ばれていた膨大なゲノムのなかに、自閉症スペクトラムに関連するとみられる突然変異のゲノムが発見されたのです。途方もない量のゲノムから自閉症の機能的影響を解読することを可能にしたのは、人工知能(AI)の一種であるディープラーニングです。この手法によって、自閉症に限らずすべての疾患において「非コードDNA」の突然変異による影響を予測・検出するフレームワークとなり得る可能性が見出されたのです。
「非コードDNA」とは、
真核生物(動物、植物、菌類、原生生物など、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる細胞小器官を有する生物)のゲノムの大半はタンパク質をコードしていない非コードDNA領域で占められています。この領域には、遺伝子の発現、DNA複製の開始、遺伝子増幅や改変を引き起こす組換えのホットスポット、DNA脆弱部位、染色体凝縮、染色体分配など、染色体上で起こるすべてのイベントを制御、維持する機能を有しています。ゲノムの秘境でもあり、未だ詳細な解析がなされていません。
次回に続く

診察室からコンニチハ(163)

この様な脳形成の重要な時期に、母体内から新生児期や乳幼児期を経て、食生活を含む環境汚染に晒され続けている現状では、私たちの精神に重大な影響が及ばされいる危険性は大きいと考えざるを得ません。
身体的に例を上げれば、まず思いつくのは『アレルギー疾患』の増大です。
「日本ではこの十数年の間に花粉症の患者が飛躍的に増えていると言われています。特に本州では、杉の花粉症が多く、社会問題化しているほどです。
花粉は昔から人間のまわりにあり、杉の木も突然あらわれたわけではありません。どうして近年になって急に花粉症が騒がれるようになったのでしょう。
杉の花粉症が急に増加したのは、戦後盛んに杉が植林され、その杉が多量に花粉を出すようになったことが原因の一つといわれています。また、排気ガス中の窒素酸化物はアレルギーをおこし易くするので、車の増加にともなう環境の汚染も花粉症の増加に関係しているようです。
一方、私達の身体に変化がおこっていることも見逃せません。近年、食生活が欧米型に変化してきたことにより、栄養状態は良くなってきました。しかし、肉食中心の食生活は花粉症ばかりでなく、さまざまなアレルギーをおこしやすい体質にかえています。また、抗生物質の発達により皮膚粘膜がきれいになり、かえって抵抗力が低下していることも関係している」とも、考えられています。
事実、グルテンフリー(小麦をはじめとした穀物のタンパク質の主成分であるグルテンを除去した食事で、グルテン除去食とも言われています)の実施で、花粉症が治ったという多くの報告もあります。
なぜ、グルテンフリーで花粉症が治るケースが多いかと言えば、一説には農薬の影響があるのではないかと考えられています。日本では、米に比べ小麦製品は圧倒的に海外からの輸入が多いのです。小麦だけではなく、海外からの食料品は国内ものに比べ割安なのです。牛肉を取っても、わざわざ「和牛」というブランドがあるぐらい、日本では飼料にも気を配っていますが、海外のものでは飼料そのものに抗生剤や農薬がかなり含まれている危険性が大きいのです。
つまり、アレルギーのみならず、これらの有害物質が含まれた飼料は、多くの難病や精神障害を誘発しやすいのです。
環境破壊が、食生活にも大きな影を落としているのは確実でしょう。これら有害な食生活や環境破壊が、全ての人たちに健康被害や精神障害を起こしいる訳ではないとの、反論もあるでしょう。
それらの反論は、ある程度は事実かもしれません。それは、冬場の時期にインフルエンザがどんなに流行しても、全ての人がインフルエンザに罹る訳ではない、という事実を声高に叫んでいるのと変わりがないような気がします。
しかし、各種の難病は年々増えています。難病とは何かを、少し説明しておきましょう。
次回に続く