診察室からコンニチハ(134)

医師である私が、現代医療を否定して徒らに精神主義に頼っているわけではありません。ただ科学万能主義に頼って、延命治療に邁進している人たちに僅かばかりの疑問を投げかけているのです。この地球上で最悪の生物はホモ・サピエンスだとはかなり以前から言われています。
「万物の霊長」
と、豪語して多くの動物を実験材料にして多くの薬物を開発して来たのです。誰がそれを許したのです。自分たちホモ・サピエンスだけが生き残れば良い。他の如何なる生物を犠牲にしても、ただ自分たちの延命治療を目指しているのです。そして多くの抗生剤、抗ガン剤、避妊薬、アレルギー薬は河川を通じて、世界中の海に垂れ流されているのです。その結果、環境汚染は極端に押し進められ、人類の滅亡の近さを予告しているように思えます。。そこに経済や政治的バランスが妙に絡まってホモ・サピエンスの最終日が迎えつつあるのかもしれません。ゲノム編集、遺伝子操作を通じて人類の平均寿命はもう少し伸びるのかもしれません。しかし、膨大な薬剤の副作用と環境汚染によりホモ・サピエンスが終末の次期を迎える時期が必然的に来るのでしょう。
医学的な進歩で我々の平均寿命は、20世紀後半から飛躍的に伸びて来ました。1945年頃の日本人の平均寿命は50歳前後にしか過ぎなかったのです。それが今や、男女共に80歳を超えているのです。
この圧倒的な伸び率を見て、一部の学者の中には平均寿命は120歳まで行くかもしれないと主張する人たちさえいます。しかし私は、そんな楽観主義的な意見に同調する気にはなれません。これまで汚泥の様に蓄積されて来た環境破壊が、癌発生率の増加と更なる奇病や新たな免疫疾患の出現で、我々の寿命は後退傾向に突入する危険性さえあると、個人的には悲観しています。人類(ホモ・サピエンス)の限りない欲望、かつて秦の始皇帝が不老不死の秘薬を国の内外に探し求めたにもかかわらず、多くの人民の血を流して…それは果たせぬ夢でした。地球上の多くの生物を絶滅状況に追い込んだホモ・サピエンスに、それでも限りない欲望を満たす明日はあるのでしようか?
ただ、そんな素朴な疑問を抱くだけです。
次回に続く

青田さんへの回答

一口に認知症と言っても、アルツハイマー型の単独ケースもあれば、レビー小体型認知症が合併している事もあります。さらにピック病の合併だって起こり得ます。さらに別に「老人性うつ病」の併発だって起こりますし、脳血管性(動脈硬化性)認知症の合併だって考えられますし、甲状腺機能低下症も高齢者には比較的に多い病気で、この場合ですと気力低下も起こります。一見、認知症に見えてもその裏には多彩な病状が隠れていたりします。だからこそ、専門医というものが存在するのです。
ですから青田さんの質問だけでは、お答えしにくいです。ただ何を一番に考えるかと言えば、先ず最低限に甲状腺機能低下は否定しておくべきでしょう。甲状腺機能の検査をして…そこに問題がないのならレビー小体型認知症の合併もしくは始めからアルツハイマー型認知症ではなく、レビー小体型認知症であった疑いも当然あります。レビー小体型認知症についてはネットで調べられますので、私のブログでも幾度ともなく記載していますので、お読み頂ければ幸いです。
今日は以上です。 2019.07.28. 
追伸
どの病状により気力低下が発生しているか、先ずその診断を明確にしなければ、気力低下の改善策はお答えしにくいです。症状により、甲状腺の薬かもしれませんし、抗うつ剤かもしれません。他にも病状によっては考えられる選択肢は幾つもあります。
【ご質問】
成川先生、ご無沙汰しております。
実は、今日は、母親の認知症のことで、ご相談したいことがあり、投稿させて頂きました。
現在、母親は、要介護2のアルツハイマー病ですが、
虫垂炎で、1カ月間入院しました。
当初、医師は、『退院すると元に戻るだろう。』と話してましたが、現在、退院10日目ですが、
〇 食事拒否。(入院中は食べてましたが)
〇 入浴拒否(入院中はしていました。)
〇 服用拒否(入院前から、時々、ありましたが)
〇 常に無表情で、怒っています。
現在、デイサービスに週4回通っていますが、
ヘルパーに朝の30分間、ディサービスまでの準備をしています。
デイサービスでは、食事は、完食で、普通に過ごしているそうですが、
入院前と比べて、気力低下が著しいと感じます。
私は、認知症とは、単に記憶が無くなるだけだと思っていて、気力低下が認知症の症状だと知りませんでした、この気力低下を改善する方法などありましたら、ご教授頂ければありがたく存じます。

診察室からコンニチハ(133)

もう少し薬剤耐性の話をさせて下さい。免疫力が極端に落ちた癌末期の患者さんや、超高齢者を除けば入院して肺炎の治療ををする機序はどうなっていると思いますか?
通常に考えて行けば医療サイドでの治療効果は60%ぐらいでしょう。それ以外は個人の免疫力が40%ぐらいはあるのではないかと私は推測しています。それを無視していたずらに抗生剤に頼るところに耐性菌の問題が発生するのかもしれません。
むかし抗生剤の無い時代、1928年ペニシリンをフレミングが発見する以前、結核は国民病と言われ現在の癌に匹敵する「死に至る病」でした。それでも結核にかかった人たちの全てが亡くなった訳ではありません。サナトリウムなどの転地療養で免疫力のアップに努め、死病と言われた結核から生還した人たちもいたのです。*中村天風の有名な話もあります。
*中村天風は帝国陸軍で高等通訳官を務めていましたが、1906年(明治39年)に奔馬性の重篤な疾患にかかりました(結核の症例で、急速に症状が進むもの)。現代では「急速進展例」と呼ばれる重篤な肺結核です。北里柴三郎の治療を受けたものの病状は思わしくなく、その後1909年(明治42年)にキリスト教の異端的潮流ニューソートの作家オリソン・スウェット・マーデン(英語版)の『如何にして希望を達し得るか』を読んで感銘を受け、病気のために弱くなった心を強くする方法を求めて、アメリカへ渡る決意をしました。しかし、結核患者には渡航許可が下りず、親交のあった孫文の親類に成りすまして密航したのです。
アメリカに渡った天風は、結核の治療を探し求めました。しかし、治療の効果は果たせず親戚筋にあたる当時アメリカ公使館に勤めていた芳澤謙吉の勧めで、哲学者のカーリントン博士に面会しました。華僑の学生に代わって授業に出席したのをきっかけにコロンビア大学に入学し、自らの病の原因を尋ねて自律神経系の研究を行ったと言われています。その後は多くの著名人に会い、ひたすら結核の治療法を追い求めましたが、いずれも納得の行く答えを得ることが出来ませんでした。
こうして天風は、1911年5月25日に日本への帰路に就きましたが、その途中経由地であったアレキサンドリアにてインドのヨーガの聖人であるカリアッパ師と邂逅し、そのまま弟子入りしてヒマラヤ第3の高峰カンチェンジュンガ山麓にあるゴーク村で2年半修行を行ったと言われています。この修行を通じて結核は治癒し、さらに悟りを得るに至ったといわれています。
これなど、如何に精神力で免疫機能を高め結核に打ち勝ったかの有名な話です。
次回に続く

青井さんへの回答(再)

お話を聞く限りは、失礼ですがMCIというよりは限りなく認知症(アルツハイマー型もしくはレビー小体型のいずれか?)に近いかもしれませんね。長谷川スケール21点というのはMCIの定義に当てはまりますが、お父様の入院だけは理解ができていないというのやは重要な所見であると思います。
また腰痛(脊柱管狭窄症)もあって、昼夜逆転しているとのご説明ですが、私としてはレビー小体型認知症の疑いを強く抱きます。ただ一般医ですと、アルツハイマー型認知症の前状態と診断される危険性が大きいと思います。(多くの医師はこれまで安易にアルツハイマー型との診断が多かったのですが、実際はレビー小体型認知症の方が多いのです)それぞれの認知症で治療の仕方に大きな違いがあるのです…認知症状の出かたや経過にも、著しい違いが認められます。
例えば、アルツハイマー型であると「もの忘れ」が圧倒的に初発症状ですが、レビー型であると「うつ症状」に「幻覚症状」さらに「パーキンソン症候群」が加わった病状が多く見られ「もの忘れ」は遅れて出ることが知られています。また通常のMIC画像診断ですと、アルツハイマーに比べ画像的な変化がかなり遅れて出現しますので、レビー小体型認知症は見逃されやすいのです。大きな病院でも、この様な誤診はかなり多いものです。それでアルツハイマー型認知症と誤解されて、ドネペジルの様な薬を安易に出され病状の悪化する例が多かったのです。もちろんレビーでもドネペジルの使用は差し支えないのですが、問題はその使用の仕方です。アルツハイマーに比べて、極めて少量から処方されるのが理想です。剤型的には3mgが最小量ですが、これを1/2錠から処方するのであれば認知症について十分な知識を持った医師と判断して良いでしょう。1/2~1錠(3mgの)までなら、「せん妄」などの副作用が出る心配はありません。レビー小体型認知症では、脳血流Spectなどの検査が有効であるとされています。その意味ではご心配の通り、安易な薬に頼るのではなく前回にも記述しました様に「脳トレ」や「生活療法」で経過を見て行くのが良いのですが…。お父様が入院中であるから余計にお母様の精神的不安感が、強くなっているとも考えられますので、出来る限り家族の支えが必要になって来ます。今の時期が最も重要で基本的にはお母様を一人にしておく程、認知症は進行する例が多いのです。
あと腰痛の事ですが、薬など使わなくても「トリガー・ポイント注射」や「腰痛体操」などで、かなり効果を上げている例もあります。近くの整形外科で相談して下さい。私は内科の医師ですが、この「トリガー・ポイント注射」を知り合いの整形外科医から学び、今は亡き自分の父親にも実施してみて良い効果がありました。
現在は「認知症外来」をやりながら、腰痛には「トリガー・ポイント注射」、変形性膝関節症には「ヒアルロン酸」の関節腔内注入で、それなりの効果を上げています。もっとも、私の様な内科医が整形外科領域や皮膚科領域(爪白癬やアレルギー湿疹)にまで手を出す医師も稀ではありますが…。
ともかく、腰痛に対して薬でなく、「トリガー・ポイント注射」などをしてくれる整形外科医を探すべきです。面倒臭さがって、やってくれない医師も多いと聞きますが…。
以上、何か参考になれば幸いです。
【ご質問】
早速ご回答頂き、ありがとうございます。
長谷川スケールは22点MMSEは25点でした。
認知の程度ですが、カレンダーで確認すれば日にちはわかります。置き忘れ、物忘れ、短期の記憶があいまいです。
実は、父も脳出血で倒れ現在リハビリ病院に入院中です。
母は父が入院したことを何度伝えても、「お父さん仕事から帰ってこない」「お友だちと旅行に行ってしまった」と言います。
他のことは、忘れていても説明すればそうだったと言って思い出すのですが、父の入院だけは理解ができていないようです。
腰痛もあり(脊柱管狭窄症)すぐに腰がいたいと言って横になってしまい、眠ってしまうので夜起きてしまうようです。
昼は、一人で家にいることになるので、デイサービスの利用もしたいのですが、本人がいきたがりません。折り紙や塗り絵なども勧めてみたのですが、「腰が痛かった」といって横になってしまいます。
クスリを飲むことで、進行を遅らせることができても、副作用(特にせん妄)を考えると何が良いのか迷ってしまいます。いずれ施設にお願いしなければならないと思うのですが、何からなにまで、不安です。

診察室からコンニチハ(132)

ここで少し感染症の問題に話を戻す事をお許し下さい。それは抗生剤と耐性菌の因果関係について考えてみたいのです。さらには免疫力の問題にも関係してくるのです。
1928年ペニシリンがフレミング(英)により発見されて以来、耐性菌の問題は常に我々に付き纏っています。
抗菌薬(抗生剤)は、われわれにとってそこまで大きな毒性はありませんが、細菌にとっては猛毒です。そのため、細菌はあの手この手でその毒から逃げ延びようとします。
細菌の立場から考えてみると、身に降りかかる抗菌薬という猛毒から逃れるために例えば、分厚い服でガードして毒が入ってこないようにするかもしれません。または入ってきた毒を外に吸い出したり、解毒剤を使って毒物を分解したりするかもしれません。
細菌も同じような方法で、入ってきた毒、すなわち抗菌薬を無効にしようと試みます。以下に、細菌の薬剤耐性メカニズムの例を挙げてみます。
【薬剤耐性のメカニズム】
①細菌自体を覆っている膜を変化させて、薬が入って来づらくする(外膜変化)
②細菌に入ってきた毒を外に汲み出してしまう(排出ポンプ機能)
③細菌の中で抗菌薬が作用する部分を変化させ、いざ抗菌薬が入ってきても効果が出ないようにしてしまう(DNAやRNAの変異)
④細菌に届く前に化学反応で分解してしまう(ベータラクタマーゼ作用)
⑤大量のネバネバ液で細菌自体を覆い、薬から身を守る(バイオフィルム)
などがあります。
このような耐性機構は、細菌が本来もっていたり、他の細菌から譲り受けたり、抗菌薬投与により誘導されたりします。
そもそもすべての細菌が病気を引き起こすわけではなく、また人間には非常に数多くの細菌が住み着いているのですが、お互いにバランスを保ち、病気をひき起こすことなく一つの社会を形成しています(これをマイクロバイオームといいます)。
その中で、耐性を獲得しようとする細菌は、自分が持っている本来の能力を一部変化させることにエネルギーを費やすため、細々と生きていることが多いのです。ほかに多数派の細菌が活躍している場合には、少数派の細々とした活動は目立ちにくい、つまりそのような少数派の細々とした細菌の活動が、私たちの体にすぐに病気を起こすわけではないのです。
しかし、多数派がある日突然なくなってしまったらどうでしょうか。この「多数派が突然なくなる」という状況が、「抗菌薬投与」なのです。多数派の細菌には、抗菌薬が効きます。抗菌薬投与により大多数の細菌がやられてしまうと、抗菌薬に対する耐性を得ていた少数派の細菌は、のびのびとどんどん増えることができるようになります。 このように、抗菌薬の投与により抗菌薬の効く菌が減少し、耐性菌が増殖しやすくなる状態を、専門用語で「選択圧がかかる」といいます。
生き残った薬剤耐性菌が増えるのです。
ここで大切なのは、投与される抗菌薬がどのくらいいろいろな菌に効果があるかと、どのくらいの量が投与されるかです。抗菌薬がいろいろな菌に効けば効くほど、耐性菌の活躍を抑えてくれる菌がいなくなってしまいます。幅広い菌に効く抗菌薬は一見優れているようにみえますが、ときに必要な菌たちも殺してしまうのです。
また、例えば5日間飲むべき抗菌薬をよくなったから1日でやめてしまった、本当は1日3回飲まなければいけない抗菌薬を1回でやめてしまったなど、抗菌薬が中途半端に効いた状態になると、さらなる問題が起こります。しっかり使っていればやっつけられていたはずの耐性菌が生き残り(耐性菌の中には全く薬が効かない菌だけでなく、十分な量を使えば倒せるものもいるのです)、薬に弱い菌だけがいなくなるという、「耐性菌に甘く、耐性をもたない菌に厳しい」環境が体にできあがります。
「幅広い菌に効く抗菌薬」を「不十分な量や期間」服用することがいかに薬剤耐性菌にとってよいことか、想像に難くないのではないでしょう。
このようにして、薬剤耐性菌は発生し、ときに体を飛び越えて人から人へ、また、人から環境へと拡散していきます。
次回に続く

青井さんへの回答

一般に、せん妄とは意識障害が起こって頭が混乱した状態を示します。高齢者に多く見られ、15~50%は、入院中にせん妄を経験すると言われています。お母様も入院中に見られたとのお話でしたね。もちろん全身麻酔の影響は避けられませんが…。
せん妄は認知症とは違い、症状が急に発生し、数時間から数日間かけて進行するのが特徴です。認知症の方がせん妄を発症することもありますが、その場合でもせん妄の症状は、一時的なもので治療が可能です。
せん妄症状には主に以下のものがあります。
・幻視や妄想
・興奮状態(大声を出す、そわそわと動き動き回る、暴力など)
・認知症のような症状(最近の出来事を忘れる、どこにいるのかが分からなくなる、会話が噛み合わなくなるなど)
・睡眠リズムの生涯(昼夜逆転や、睡眠中も落ち着きがないなど)
『せん妄が起こる原因』
1)体調が悪い事や環境の変化で起きる事もあります。
脱水や酷い便秘などが原因となる事があります。脱水になると意識障害が出るのは、お年寄りだけではありません。便秘なども酷くなると苦痛を伴う事になり、せん妄を引き起こす場合があります。
2)環境の変化 : 同居の為の引っ越しや介護施設入所、入院などの環境の変化でも起こり、環境が変わった事で睡眠不足となり、せん妄が見られる場合もあります。
3)昼夜逆転が原因
日中に寝て夜起きるという昼夜逆転が起きていると、夜に起きた時に暗い事や誰もいないと思ったりする事で、不安が大きくなってしまい、夜間せん妄が出やすくなります。
4)飲んでいる薬の副作用でせん妄が出る事もあります。お年寄りに多いパーキンソン病の薬や、認知症でうつが見られた時に処方されるうつ薬・向精神薬にも、せん妄が出やすいものがあります。
さて、MCIと診断を受けたお母様ですが、現在の認知機能はどの程度なのでしょうか?
長谷川スケールやMMSEの結果が知りたいと思います。もし長谷川スケールが23点以上なら認知症の薬は必要ないと思います。それよりは「脳トレ」「懐メロの練習」や朝の規則正しい散歩や睡眠リズム(昼夜逆転を防ぐ)の是正などの「生活療法」だけで経過をみていくのが良いと思います。
さらに家庭で
『せん妄が起きた時の対応』
についても記載しておきます。
1)暴力がある時は離れて様子をみましょう。
興奮して暴れたりしますが、噛みつく、殴る蹴るなど、普段からは想像出来ないような行動に出る事があります。暴力が出ている時は離れましょう。止めようと対抗すると余計に興奮したり、転んで骨折するなど危険がありますので注意が必要です。
>> 暴力・暴言が出た際は?
ゆっくりはっきり穏やかに話しかける。
言葉をかけても落ち着かないのは、聞こえていないからかもしれません。興奮で暴力が見られている時でも、頭の中はぼーっとしている状態だからです。はっきりゆっくりご本人の顔を見ながら話しましょう。怒るのではなく「大丈夫だから」と諭すように。
2)また、おかしいと感じる内容でも幻覚を見ているせいかもしれませんので、否定はせず話を合わせながら聞いてあげてください。
『せん妄の改善策』
1)体調管理をしてください
お年寄りは水分補給が少なくなる事で脱水症状になりやすい為、お茶などが飲めているか、お通じがきちんとあって便秘になっていないかなどを、チェックするようにしてください。またお年寄りは夏場、冷房を使わない人が多く、これが元で脱水になる事があります。暑過ぎたり、寒過ぎたりならないように気をつけましょう。
2)部屋の環境を変え過ぎないのも重要です。環境の変化に弱いのも高齢者の特徴です。
睡眠不足が続くと、認知症のお年寄りではなくてもイライラしてしまうものです。同居となって住み慣れた家から離れてしまった時などは、環境が変わり眠れなくなっている場合があります。畳に布団を敷いて寝ていたのが、ベッドにした為眠れなくなったという話もよく聞きます。出来るだけ同じ様な環境になるようにしましょう。引っ越しで元々使っていた寝具を新しく交換する事がありますが、元の寝具の方が良いです。残っていればそれを使う。残っていなければ枕などを変えて、眠りやすい環境にしてください。
3)睡眠時に配慮したいこととは?
日中に起きていられるように工夫をする。
昼夜逆転が起きている場合は、お昼に眠り過ぎてしまっているので、夜眠れなくて起きてしまうのです。日中に起きている時間を増やすのが一番です。部屋を暗くせず、カーテンを開けましょう。日中に話しかけたり、散歩に一緒に出かける、テレビを一緒に見るなど、関わる時間を増やしてみてください。認知症で介護度が出ておられる方であれば、日中活動出来るデイサービスなどの利用を、考えられても良いのではないでしょうか。
4)危険な物を部屋に置かない
また良い悪いなどの判断なく、手の届く所にあるもので暴力行為が見られる場合がありますので、危険だと思われるものは、部屋に置かないようにしてください。家族だけでなく、物を叩いて壊す事でご本人もケガをする場合があります。
以上、せん妄についてまとめて見ました。
【ご質問】
成川先生 はじめまして
78歳の母がMCIと診断されました。
MCIといっても、初期の認知症に近づいているという感じです。
クスリを飲もうと思うのですが、副作用を見るとせん妄とか下痢など、いろいろ書いてありました。
7月3日に直腸脱の手術をして、全身麻酔のため、やはりせん妄がありました。
クスリの副作用でせん妄がでるということで、クスリを飲むことに不安を感じています。
それについて、教えていただけないでしょうか。

診察室からコンニチハ(131)

では、免疫力を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?インターネットには色々な方法が推奨されていますが当てにならない情報もたくさんあるので注意してください。世の中には商業主義な宣伝広告も多いのです。
免疫力を上げたり、がんを予防したり出来る事が証明された特定の食べ物やサプリメントは未だありません。
常識的に考えるならば、バランスの取れた食生活とか、無理のない運動とか、ストレスのたまらない生活、規則正しい睡眠などが挙げられます。しかし、そのどれもが科学的に十分な証明がされた訳ではありません。
ただ喫煙の習慣には、かなりの発癌性が認められるとの統計学的なデータは国立がんセンターでも報告されています。喫煙習慣の本人だけではなく、同居している家族の受動喫煙も大きな問題になっています。
また常習性の飲酒は、大腸癌との因果性もありそうです。さらに現在わが国では100歳以上の超高齢者が7万人を数えていますが、この中で何とか自立で生活の出来ている人は1%前後、つまり700人程度なのです。
さらに興味深いことに、この1%の超高齢者は、生涯を通じて殆ど(皆無に近い状況)で、喫煙や飲酒をした事がないと云うデータもあるのです。もちろん普通に言われている俗説、飲酒も2合まではとか、赤ワインなら大丈夫だとか言った話は統計学的には何の証明もされていません。私の知る限り、90歳ぐらいまでは何とかこの根拠のない俗説もある程度は支持されるかもしれません。
私の医師としての経験上の考えに過ぎないのですが…
以上の事から推察して行けば、やはり喫煙や飲酒の習慣がない健康的な生活が、癌にはなりにくい長寿の要因だと言えるのでないかと思えてなりません。
規則正しい睡眠、適度な運動、バランスの取れた食生活、円満な家庭生活(つまりはストレスのない生活)などが、免疫力を高める生活であると考えても、医学的な証明は未だないものの、それほど的外れな見解ではないと思うのです。
私自身がそれほど健康的な生活をしているのかと云う話は置いて、喫煙だけはさすがにしておりませんが、飲酒については人様にとやかく言える立場でない事は正直に告白します。
次回に続く

診察室からコンニチハ(130)

レジオネラは日本の感染症法では*四類感染症に指定されており、全数把握対象疾患となっています。年間1,000件以上の発症例があると報告されています。この数字は日常生活を送るなかで発症する肺炎の頻度としては、看過できるものではありません。レジオネラ症はときに重篤になり死につながることもあるため、注意が必要な病気です。
【全ての医療機関が報告すべき疾患】
は《一類感染症》から《五類感染症》まであります。《一類》が最も重症で入院の強制や隔離が伴なう例もあります。それ以外にも《指定感染症》など、新型インフルエンザなどで世間の耳目を集めたりする例は、マスメディアを通じて皆さま方もご存知かと思います。
さて、これら感染症ですが自然治癒するものと重症化しやすいものがあります。その差は何でしょうか?
それは免疫機能の違いと言っても過言ではないでしょう。では免疫機能の違いとは何でしょうか。簡単に言えば個別の体力の違いとか、環境要因の差でしょうか。
一口に感染症と言っても免疫機能を傷つけやすいエイズ(AIDS :acquired immunodeficiency syndrome、後天性免疫不全症候群)とか、免疫機能をあまり傷つけないインフルエンザウイルスとかによって自然治癒の可能性は大きく違って来るのです。
さらには年齢による基礎体力によって免疫機能に大きな違いが出て来るのは、すでにご存知の通りです。通常の成人では直ぐに治ってしまう肺炎などでも、高齢者では重症化しやすいと云うのは加齢による免疫力に差が出て来るからです。
例えば感染症とは違いますが、なぜ私たちが癌にかかるのか?
かかりやすい人と、そうでない人がいるのかを考えてみましょう。癌家系となどと云う言葉もありますが、本当にそうなのでしょうか?
そこには家系と言うよりは環境的な要素が大きく作用するような気がしてなりません。家族の誰かが喫煙習慣があるとか、偏った食生活に家族全員が陥っているとかも考慮する必要があるのではないでしょうか。
また幾つかの学説によれば、
「健康成人でも、がん細胞は1日に5000個以上は発生している」という報告もあるのです。その後に、がん細胞ができても、通常は免疫系によって排除されてしまうものの、免疫の攻撃からすり抜けるとがん細胞が成長して命を脅かしてしまうのです。ですから免疫力を上げる努力が必要なのです。
次回に続く