診察室からコンニチハ(154)

❺地球温暖化 : このまま気温が4度C上昇を続けた場合のリスクを、大きく次のように示しています。
(1)高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク。
(2)大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク。
(3)極端な気象現象によるインフラ機能停止
(4)熱波による死亡や疾病の増加
(5)気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
(6)水資源不足と農業生産減少
(7)陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失。同じく海域の生態系、生物多様性への影響。
そして、これらのリスクは、温度の上昇の度合いによって、さまざまな影響を引き起こす可能性があると指摘されています。
❻海洋汚染 : 海洋汚染により起こる影響は (1)富栄養化による赤潮、青潮の発生 (2)珊瑚礁の白化 (3)生物濃縮 (4)生態系の変化 と言われています。
また、赤潮、青潮、生態系の変化、珊瑚礁の白化も生態系の変化を招くので、漁業に影響を与えます。そして、人体にもっとも影響を与えるのが、生物濃縮です。現在では生物濃縮による人への影響が世代を超えて起きることが予想されることから深刻な問題として考えられ、有機系化合物の製造や使用は禁止されています。実際、北アメリカ大陸の五大湖における魚食性鳥類や北海・バルト海のアザラシなどで観察された大量死、繁殖障害、奇形、免疫機能の低下などに、流出した有害化学物質が深く関与していたことがわかり、野生生物への影響が世界で注目されているところです。一方これらの有害化学物質による人間への健康被害に関しては、直接の影響を検証することが難しいため、当初予測された生物影響が過大予測だったのではないかという批判もあります。特に、産業界からは規制が厳しすぎるとの声もあがるようになっています。しかし、この内分泌攪乱物質による生物影響は世代を超えて起きる可能性が高いことから、大規模な健康被害が起きることが予想されます。
❼水質汚濁 : 水質汚染(すいしつおせん、water pollution)とは、人間の行動によって引き起こされた湖、河川、大洋、地下水対する一連の有害影響のことです。具体的な例として、水道法で定める飲料水の基準を悪化させる(細菌の増加、化学物質や有機物増加、色度や濁度の変化など)ことが挙げられます。主に、生活排水と産業廃棄物が原因となりやすく、現在の水質汚染の原因の約70%が生活排水です。生活排水のうち、汚染は台所からが最も多く、油や醤油、米のとぎ汁といったものの負荷も大きく、河川・湖沼などの公共用水域は水質汚濁、海水や海域は海洋汚染として別に分けられています。
汚染には有機化合物のケースと無機化合物のケースがあります。
次回に続く

診察室からコンニチハ「臨時」

小泉進次郎の問題発言について、
小泉環境大臣:「日本は1997年に京都議定書を採択したが、リーダーシップを発揮してこなかった。きょうから我々は変わります」
一方、この演説の前の記者会見での小泉大臣の発言が海外メディアで報道されました。
小泉環境大臣:「気候変動のような大きな問題は楽しく、かっこ良く、セクシーであるべきだ」
ロイター通信はこの発言を取り上げ、「日本の新しい環境大臣が『気候変動との戦いをセクシーに』と発言した」と大きく報じました。ロイター通信はまた、日本が23日の気候行動サミットで発言しないことや火力発電を増やしていることを指摘し、日本政府の地球温暖化問題への取り組みに懐疑的な見方を示しています。
小泉発言は、何を意図しているのでしょうか?
環境大臣に任命されて10日ほどしか経ていないとは言え、あまりにお粗末なコメントとしか言い様がありません。ただの受け狙いのパフォーマンスとしか言い様のないと、感じるのは私一人ではないでしょう。
それよりは、スウェーデンの16歳グレタ・トゥンベリさんのスピーチは現実を直視した心に響くスピーチでした。それを一部紹介しましょう。
「私たちは、あなた達を、注意深く見ている。あなた達は空虚な言葉で未来の子ども達の人生を奪っている。
多くの人々が、苦しんで死にかけているのに、生態系の全体が崩壊しかかっているのに、あなた達が話すのは、いつも金のことと、永遠の経済成長という、おとぎ話だけだ。
まだ必要な政策も解決策も見つかっていないのに、あなた達は地球温暖化の緊張度を、理解したと言う。でも、どれだけ悲しみと怒りを感じても、私はあなた達を信じることは出来ない。
10年間で地球温暖化を抑制するCO2の排出量を半減させるという考え方では、気温上昇を1.5度に抑えられる可能性は50%でしかない。それでも、このCO2排出量の半減計画は現実的ではない。
世界のCO2排出許容量は、2018年1月1日で4千200億トンだった。現在の最新のデータでは3千500億トンを下回ったとの報告がみられる。つまり、この地球が3億トン以上のCO2排出を、これ以上出し続けてしまうと、私たちの生存自体が危機にさらされてしまうのだ。
それでも、CO2排出量を半減させるという思惑は、従来通りの取り組みと、技術的な解決策では全く到達し得ない。、今のレベルと技術力では、残されたCO2排出許容量は8年半という時間しかないという事だ。具体的に言えば、2030年以前に、人類の生存権が奪われてしまう危機が迫っているのだ。
私は、世界のリーダー達に懇願しているのではない。失望しているのだ。そして、この様な状況に追い込んだ、あなた達を決して許さない」
スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんの演説は過去にも、各地でなされていますので、私が部分的に整理しています。
もしかすると、地球温暖化の影響は不可逆的になっているのでしょうか?
それは、地球という生態系が末期ガンに陥っているという意味と考えるべきなのでしょうか?
ガン細胞が全身に転移しているのに、市場経済がどうのとか馬鹿騒ぎを繰り返しているのだとすれば、この人類という生物はあまりに愚劣な存在としか言いようが無いのでしょう。
次回に続く

診察室からコンニチハ(153)

【光化学オキシダント(Ox)】
自動車や工場などから排出された窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)が、紫外線を受けて光化学反応を起こすことで生じる物質です。高濃度の光化学オキシダント(Ox)が大気中に漂う現象を光化学スモッグといいます。近年では、海外からの影響も指摘され、注目されています。
人体への影響…目の痛みや吐き気、頭痛などを引き起こします。
粒子状物質[ P M ]
【粒子状物質(PM)】
固体および液体の粒を指します。工場などの煙から出るばいじんや、鉱物の堆積場などから発生する粉じん、ディーゼル車の排出ガスに含まれる黒煙などのほか、土ぼこりなど自然現象によるものもあります。高度経済成長期には、洗濯物や室内の汚れなど生活環境への被害が発生しました。
人体への影響…高濃度の粒子状物質(PM)は呼吸器疾患やガンなどと関連があると考えられています。
浮遊粒子状物質[ S P M ]
粒子状物質(PM)のうち、粒径10マイクロメートル以下の小さなものが浮遊粒子状物質(SPM)と呼ばれます。粒径がより小さいため、吸い込まれると肺や気管などに沈着しやすく、人体への影響が心配されます。都市部の自動車交通量の急増に伴い、浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染が深刻化したため、さまざまな規制が実施されています。
人体への影響…呼吸器に悪影響を与えるだけでなく、ガンや花粉症などのアレルギー疾患との関連が指摘されています。
微小粒子状物質[ P M 2 . 5 ]
浮遊粒子状物質(SPM)のうちで、さらに小さい粒径2.5マイクロメートル以下のものを微小粒子状物質(PM2.5)と呼びます。浮遊粒子状物質(SPM)よりさらに肺の奥まで入りやすく、健康への影響も大きいと考えられています。日本では2009(平成21)年に環境基準が設けられ、対策が急がれています。
人体への影響…気管支や肺の奥深くまで入りやすく、通常の呼吸器疾患だけでなく、肺ガンなどを引き起こす危険性があると言われています。
【その他の大気汚染の原因物質】
塗料やインク、接着剤などに溶剤として含まれる揮発性有機化合物(VOC)は、揮発しやすく大気中で気体になる物質で、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどがその代表です。揮発性有機化合物(VOC)は、光化学スモッグを引き起こす光化学オキシダント(Ox)や浮遊粒子状物質(SPM)の生成原因となることから、法律による規制だけでなく、事業者による自主的な排出削減への取り組みが行われています。
次回に続く

診察室からコンニチハ(152)

【酸性雨の歴史的建造物への影響】
酸性雨はコンクリートや大理石の床、さらには歴史的建造物などである彫刻や銅の屋根までも溶かしており、銅像にはサビを発生させます。
【人体への影響」
酸性雨による人体への影響は、目や喉、鼻や皮膚を刺激したり、髪の色を緑色に変色させたりします。金属は酸に溶け出しやすいので、土壌に固定などで使われているアルミニウムなどを酸性雨が溶かしてしまいます。溶け出した物質が、河川や海などに流れ出ることによって、飲料水などに混ざり、アルミニウムなどの化学物質が、私たちの体に蓄積することによって、アルツハイマー病などの病気の原因のひとつになっています。
【酸性雨発生の原因は】
その原因は石炭、石油、天然ガスなどの、いわゆる化石燃料の燃焼によって生じる硫黄酸化物や窒素酸化物にあります。これらの酸化物は、大気の移動によって非常に長い距離を移動し得るため、ある地域で降っている酸性雨の原因となる酸化物がどこで発生しているかが特定しにくくなっています。日本では、二酸化窒素について厳しい環境基準を設けて規制しています。二酸化硫黄についても同様な環境基準を設けて規制した結果、排出抑制の効果が上がっているのですが、先進大国には、未だこの環境基準を国家として批准していない国もあります。
❹大気汚染 : 大気汚染物質とは一般的に、これまで規制の対象とされてきた窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)などをはじめとする、大気中に存在する有害な物質および物質群の総称です。ここでは戦後から現在にかけて社会問題化してきた主な大気汚染物質を見ていきましょう。
戦後~現代
硫黄酸化物[ S O x ]
【二酸化硫黄(SO2)】などの硫黄酸化物(SOx)は、石油や石炭などの化石燃料が燃える際に発生します。日本では高度経済成長の時代に、工場からの煙などに含まれる硫黄酸化物(SOx)による大気汚染が進行し、大きな社会問題になりました。また、酸性雨の原因にもなります。さまざまな対策や規制の結果、その濃度は現在、減少しています。
人体への影響…気管支炎やぜん息の原因になると言われています。
窒素酸化物[ N O x ]
【窒素酸化物(NOx)】は、燃料を高温で燃やすことで、燃料中や空気中の窒素と酸素が結びついて発生します。工場や火力発電所、自動車、家庭など発生源は多様です。都市部の自動車から排出される窒素酸化物(NOx)による大気汚染が問題となり、現在も排出ガス規制などにより排出量を減らす努力が続けられています。
人体への影響…高濃度の二酸化窒素(NO2)は、のど、気管、肺などの呼吸器に悪影響を与えます。
次回に続く

診察室からコンニチハ(151)

この圧倒的な科学の進歩を目の当たりにすると、やはり私たちホモ・サピエンスの未来は永劫に輝いているのかと錯覚してしまいます。
しかし、世の中の現象面には常に裏と表があるものです。
この飛躍的な科学の進歩が表の部分だとすると、そこから生じる環境破壊等の問題は副反応の部分でしょう。しかし現実の世界では輝かしい表舞台に多くの人たちが目を奪われ、陰の部分に十分な視点を向けようとはしていません。その様な陰の部分に注意を払っているのは極めて限られた少数派でしかないのです。あるガン細胞が身体を静かに蝕んでいるのに、自覚症状が感じられないまま暴飲暴食に明け暮れているのと同じかもしれなません。
先ずホモ・サピエンスが原因で、この地球上から消し去った絶滅種について記述してみましょう。
2006年、国際自然保護連合(IUCN)の地球上の生物の状況に関する評価によりますと(植物は除く)、絶滅の恐れのある種は7729種で、そのうち地球上のほ乳類5416種の23%が絶滅の危機に直面していることが明らかになりました。さらに、両生類では31%、魚類では4%、は虫類では4%が絶滅の危機にさらされています。
一方、日本においては20世紀以降に絶滅、もしくはその可能性が高いと思われる動物は鳥類が11種と最も多く、ほ乳類4種、魚類3種の合計18種となっています。その代表的な動物としては、
北海道のエゾオオカミ 、本土でのニホンオオカミ、対馬 のキタタキ 日本海のニホンアシカ 、京都・兵庫の河川本土 ニホンカワウソ、
また本土コウノトリの国内繁殖野生個体群が絶滅した話は、未だ私たちの記憶もに残っているでしょう。
さらに2003年-佐渡トキ日本産野生種の絶滅のニュースも新しいところです。
話を環境破壊の定義に戻します。
一般に環境破壊と呼ばれるものは次のように分類されます。
環境破壊の例としては,❶森林破壊や❷酸性雨❸大気汚染,❹地球温暖化,❺土壌汚染,❻海洋汚染,❼水質汚濁などがあげられています。
❶森林破壊 : 開発などによって森林が失われていく現象。森林破壊は乾燥地域では水不足と林地の砂漠化を引き起こし,降水量の多い地域では山崩れや洪水を頻発させます。また先進国の工業活動による酸性雨も原因の一部とされています。発展途上国での森林破壊が年々急速に増大しています。ことに熱帯林地域での森林の減少は著しく,国連食糧農業機関 FAOの『生産年鑑』によれば,熱帯地域の天然林は 1981~85年の間に毎年 1100万 ha減少したと推計されています。その原因は森林の乱伐と焼畑移動耕作にあります。先進国の木材需要をまかなうため森林が乱伐され,また人口増による農地不足から山を焼き払って焼畑耕作を始めるが,収穫が減少すると耕地を2,3年で放棄し,別の森林に移動していき,さらに森林が失われていきます。また砂漠に隣接した乾燥地域などでは家畜の過放牧と薪炭材採取による森林の焼失と砂漠化が深刻化しています。日本では山岳地帯にスカイラインやスーパー林道を建設することによる森林破壊も問題になっています。
❷酸性雨 : 酸性雨による影響はさまざまで、土や湖沼を酸性にすることにより、森を衰退させたり、川や湖沼に住む生物に被害を与えるといった自然への影響のほか、コンクリートの成分のカルシウムを溶かして道路を傷めたり、大理石の彫刻などをとかすなど、建造物や文化遺産への被害ももたらしています。
また湖や沼に酸性雨が降ることで、そこに生息する生物が減少、または死滅する。「死の湖」とも呼ばれ、生物 が生息できない湖も多くなります。
さらに森林に酸性雨が降ることで、森林が枯れ土壌も汚染され、砂漠化する。そこに生息する生物もまた減少し死滅する。「黒い森」とも呼ばれ、立ち枯れの状態も見られます。
そして土壌に酸性雨が降ることで酸性化し、栄養分が酸と反応して流出してしまい、栄養不足の土壌になり作物の成長が止まったり、収穫物が減少して被害がでます。
地下水に酸性雨が流れ込むことにより、普段私たちが飲んでいる水が汚染されます。さらに、その汚染された水を飲むことによって、さまざまな病気が引き起こされます。
海に酸性雨が降ることによって、大量の有害プランクトンが発生します。また、海の生物も減少、死滅し、私たちが食べている魚なども汚染され、食べることによってさまざまな病気が引き起こされます。
海や川・湖沼などに酸性雨が降ることで、水生生物は生息できない状態となり、産卵もできなくなります。他には、異常な遺伝子ができることで、雌雄同体などの異常生物が増加します。
次回に続く

診察室からコンニチハ(150)

さらに通信手段の飛躍は進みます。
1930年代 - アメリカ、ヨーロッパなどでテレビ放送が始まります。
1940年代 - 情報理論の基礎が確立される。デジタル通信の基盤となる科学が開発されました。
1953年 - 日本ではテレビ放送の開始。
1956年 - 日本、太平洋横断ケーブルを使った電信サービスが開始されました。
1963年 - 日米間の衛星中継に成功。同年にケネディ大統領暗殺のニュースが流されました。
1960年代 - 日本、カラーのテレビ放送が始まり、徐々にカラー放送の番組が増える。1970年代に完全にカラー化しました。
1968年 - 日本、ポケットベルサービス開始。
1970年代後半 - 300bpsの音響カプラが登場。
1979年 - 日本、首都圏で自動車電話サービスが始まっています。
セルラー方式のアナログ携帯電話でしたが、後に軽量化され携帯電話となりました。
1980年 - G3 ファクシミリの規格が定まりました。
アナログモデムを使ったデジタル画像通信で、現在(2005年)の電話用ファクシミリの規格です。
1980年代 - 世界的に通信自由化の流れが起こっています。
1985年 - 日本、通信自由化。電電公社がNTTに民営化されました。
通信開放によりパソコン通信サービスが始まっています。これ以前は規制されていたインターネットの電子メールの交換が行えるようになりました。
1980年代後半 - 1200bps~2400bps の電話モデムが登場。
1988年 日本、ISDNサービスを開始。デジタル通信サービスを開始されています。
1989年 - 日本で衛星放送の本放送を開始。
1989年 - WWWの登場。
1990年代前半頃からインターネットの世界的な普及がはじまっています。
1990年代前半 - 9600bps~14400bps の電話モデムが登場。
1990年代後半 - 日本、携帯電話の普及が本格化。
1990年代後半 - 世界的にデジタル携帯電話の普及がはじまっています。
1990年代後半 - インターネットのホームページが急速に増加。
1995年 - ヨーロッパでDAB方式によるデジタルラジオ放送を開始。
2000年12月1日 - 日本、BSデジタル衛星放送を開始。
2000年代前半 - 日本、ADSL方式によるブロードバンドインターネットの家庭への普及がはじまる。
Mbps級の通信環境が業務用だけでなく家庭でも使用されはじめました。
2000年代前半 - 世界でインターネットラジオ放送局が出現しています。
2003年 - IEEE 802.11を用いた無線LAN機器が本格的に出現しはじめました。
2003年10月10日 - 日本、地上デジタル音声放送の実用化試験が、東京地区・大阪地区ではじまる。
2003年12月1日 - 日本、地上デジタルテレビジョン放送が大都市圏ではじまる。
2000年代半ば - 中国で携帯電話の爆発的な普及が進む。
2000年代後半 - インターネットを用いた動画配信サービスが本格的に出現。
2006年 - この頃、世界の携帯電話の出荷台数が年間10億台近くになり、世界人口の約1/6の規模にまで拡大しています。
2006年4月 - 日本、ワンセグメント放送の開始。
次回に続く

診察室からコンニチハ(149)

この驚異的な世界人口増大を許しているのは、これまでの所は科学万能主義のお陰かもしれません。遺伝子操作を中心とする食物の品種改良、交配の効率化(当然のごとく遺伝子操作も内在しているでしょう)による畜産量の増大、医学の進歩、農工業の効率化による労働時間の短縮。
例えを上げれば、1951年では10a(アール=1000平米=303坪=田んぼ1反)で333kgの米の収穫を上げる為には204時間の労働時間が必要とされていました。
それが農工業製品の開発で、2001年では10a(アール)の土地で518kgの収穫量を上げ、その為の労働時間は33時間と、実に1/6にまで減少しているのです。別の例を上げれば、河やタライで衣類の洗濯をしていた時代と自動洗濯機に洗剤を入れボタン一つで洗濯済ませてしまう様な科学の進歩の凄まじさです。
さらに交通手段の飛躍は言葉に尽くせません。いわゆる江戸時代の東海道五拾三次では東京都日本橋から京(三条大橋)まで495.5kmありましたが、江戸時代の徒歩による旅行日程は14~16日間と言われていました。それが新幹線「のぞみ」で行きますと、2時間余りです。海外への交通手段もかつての船舶なら東京からアメリカのサンフランシスコまで2週間くらい、最近のジェット機なら10時間くらい(偏西風の違いで往路と復路では数時間の違いは出ますが)と、格段の差があります。
さらに通信手段の歴史を振り返ると、一つの物語が出来そうです。
煙りの狼煙(のろし)で合図をしあった時代からトーキングドラム(太鼓を使った遠隔コミュニケーションでアフリカ、ニューギニア、南アメリカの先住民社会で使われていた)そして手旗信号、腕木通信
*(うでぎつうしん、semaphore )とは、18世紀末から19世紀半ばにかけて主にフランスで使用されていた視覚による通信機、およびその通信機を用いた通信網です。望遠鏡を用い、腕木のあらわす文字コードや制御コードを読み取ってバケツリレー式に情報を伝達していました。
1832年 - シリングが電信機を発明。
1837年 - モールスがモールス符号を考案。
1850年 - イギリス・フランス間で海底ケーブルを使った電信サービスを開始。
1870年 - 日本、東京・横浜で電信(電報)サービスを開始。
1875年 - アレクサンダー・グラハム・ベルが電話機を発明。
1895年 - マルコーニが無線電信機を発明。
1905年 - 日本、日本海海戦で無線通信が使用される。
1925年 - 日本がラジオ放送を開始。
1920年代 - ファクシミリの実用化。
アナログ通信による画像伝送。日本でも1930年に実用化。
次回に続く

診察室からコンニチハ(148)

われわれ人類がこの様な科学万能主義に陥ったのは、一体何時からだったのでしょうか?
人類こそが万物の霊長類と慢心して、地球の崩壊を省みる事もなく、食物の生産量増大、工業生産量の拡大、医療の進歩による平均寿命の伸展などの急激な変化は、イギリスの産業革命にその起源があると言われています。この産業革命は1760年代から1830年代までという比較的長い期間に渡って漸進しました。またイギリスに限らず西ヨーロッパ地域では「産業革命」に先行して*プロト工業化と呼ばれる技術革新が存在しました。
*プロト工業化は、経済史家のF・メンデルスおよびP・デーヨンが1960年代末~1970年代前半の研究で概念化した定義によれば、それは単なる農村工業化ではなく、以下の3つの条件が結びついた歴史現象とされています。すなわち、第一に自給自足的な経済活動や地域内市場のための商品生産ではなく、特に国際貿易市場を志向する域外市場向け手工業生産である事です。第二に、多くの場合都市部の問屋商人によって組織された問屋制家内工業の形態をとった、農村部で小農によって営まれる家内手工業です。そして第三に同一の地方経済の内部で、一方では農村工業、他方では生産性の高い大規模な商業的農業へと特化する、2つの地域間の分業として展開されました。この現象はイギリスの場合は17~18世紀、その他の大陸諸国では18世紀~19世紀初頭に進行しています。
プロト工業化論の登場以前、産業革命以前の生産形態として重視されていたのは、主としてマニュファクチュア(工場制手工業)でしたが、この学説においては問屋制家内工業が重要な役割を果たすものと考えられていました。
プロト工業化は、インド、中国の長江流域、日本などでも起きていたとする研究もあります。プロト工業化が起きた地域の共通点には人口の急増があり、プロト工業化に従事する人口が増えるにつれて、製品単価の値下げと生産増、そしてさらなる単価の値下げという現象が発生しています。北西ヨーロッパが他の地域と異なり経済成長を続けたのは、アフリカとアメリカ大陸における土地、鉱物、プランテーションの生産物でした。アジアでは、大西洋世界のようなブレイクスルーをもたらす要素がなかったため、生態環境の限界によって北西ヨーロッパより工業化が遅れたといわれています。
1920年代、人口統計学の権威レイモンド・パールは世界20億人が人口の限界だと言っていました。それが今や約77億人。地球オブザーバーの多くは意識改革を迫られているかもしれません。一時は世界人口が30億人を超えたら、世界規模の飢餓が起きるという説が有識者の間では支配的でした。それが77億人となっても、この世界は今まで以上の食料飽和を享受しています。もっとも数多くの最貧国では、未だ食料事情に困窮している国はありますが。
次回に続く