診察室からコンニチハ(202)

このような科学文明の発展は、基本的には人類の本能に由来しているのです。「より利便性の高いものを」、「より豊かな食生活を」、「より豊かな富を」、「より速度の速い乗り物を」、『限りないものそれが欲望』という大流行した井上陽水の歌は人類の本能の本質を、見事にまで歌い上げています。
限りない欲望を持ち続ける生物、それは正しく絶滅すべき生物といっても過言ではないと思います。この限りある宇宙空間で、なぜ一つの生物種だけが「限りない欲望を持ち続ける事が許るされるのか?」
それは願望的な妄想に過ぎないのです。
あまりに小さな歴史的事実を例に挙げれば、西洋では「ギリシャ文明の崩壊」、「ローマ帝国の滅亡」、「秦の始皇帝」(不老不死の薬を追い求めながら49歳で死没)その他、枚挙に暇がないほど、人の一生も国家の滅亡も、その生存期間はただ時間の長さの違いがあるだけです。
それは人類の歴史も同じです。目には見えない多くの原子や太陽光線、快適な酸素濃度、水資源、大気の還流その他あまりに多くの偶発性によって、私たち人類はただ辛うじて生存を許してもらっているだけなのです。それらの全てを忘れてAIを追求しるにしても、原子の力を利用するにしても、限りない欲望を抱けば抱くほど、恐らく人類の滅亡を早める結果になぅてしまうのでないでしょうか。
「人は死すべきもの」
これは古今からの名言です。
AIについての考察 : 完
次回に続く
【お知らせ】
診察室からコンニチハ(206)からは、インフルエンザ特集となります。
インフルエンザの基礎知識から、歴史的な考察、ワクチンの意味、さらに何故インフルエンザは毎年流行するのか(206)~10話ぐらいにかけて、じっくり説明して行きたいと思っていますので、しばらくお待ち下さい。

診察室からコンニチハ(201)

これら精神障害の悪化は、単にAIによる情報量の氾濫によるものだけとは思えません。食生活や大気汚染、地球温暖化その他多くの環境破壊が寄与している事も間違いないでしょう。しかしAIやSNSの流す過度の情報量が多くの人たちを混乱に陥れている事実は否定出来ないと思います。またAIとは次元を事にしますが、この異常なサプリメントの氾濫は明らかに常軌を逸しています。
医師や専門職の人たちが、その効用性の無意味さ(少なくても90%以上は無意味であると検証されています)を如何に説明しても、まるで燎原の火の様にその勢いは燃えさかるばかりです。大手の企業も厚労省から度重なる警告を受けているにもかかわらず、法律の網の目をくぐるかのよに、新聞やテレビあるいはSNSなどを通じて、ともかく売りまくっています。一部には悪徳医師もからんでサプリの宣伝に、協力しています。市場経済のもっとも悪い標本みたいなものです。現在でもこのような状況ですから、もっと高度なAIによる悪質な情報量が世界中に拡散した場合、私たちが受ける精神や健康被害は想像を超えるものがあるでしょう。このようにAIの活用を一歩間違えば核ミサイル以上の破壊力を私たち人類にもたらすのではないのかという不安で私は一杯です。
次回に続く
【お知らせ】
診察室からコンニチハ(206)からはインフルエンザ特集となります。
インフルエンザの基礎知識から、歴史的な考察、ワクチンの意味、さらに何故インフルエンザは毎年流行するのか(206)~10話ぐらいにかけて、じっくり説明して行きたいと思っていますので、しばらくお待ち下さい。

診察室からコンニチハ(200)

さらにAIの発展による情報の拡大も危惧されます。氾濫する情報の波に私たちの精神が付いて行かれず、精神疾患が増大する傾向は現在でも認められています。膨大するサプリメント市場、喧伝される健康食品の推奨、認知症予防薬市場に蔓延する誇大広告など、余りの膨大な情報量に医師や薬剤師などの専門職の人間さえ振り回されてしまうのです。
これらサプリは、20世期後半から確実に増えていると言われています。一応「認知症患者さん」は、省略させて頂きます。認知症は年齢的な要因が色濃く反映されますので、統計的なデータから省略しておいた方が煩雑になりにくいと思いますので…
統合失調症の場合では、
患者調査(厚生労働省2015.01.28)によると、1999年の精神疾患の推計患者数(医療機関にかかっている患者数)は、1999年には外来170.0万人、今日入院34.1万人でしたが,2008年には外来290.0万人,入院33.3万人と、外来・入院の合計で1.6倍に増加しており、国民の40人に1人は精神疾患の治療のために医療機関を利用していると推定されます。
次にうつ病疾患数も見てみましょう。 これは厚生労働省が発表した、「平成23年度の患者調査」の「うつ病で医療機関を受診している患者数」の推移です。昭和59年(1984年)には11.0万人だった患者数が、平成11年(1999年)には33.5万人に、直近の平成23年(2011年)には70.1万人まで増えています。27年間で6.4倍です。
それでは、アメリカでの自閉症スペクトラムの調査結果を見てみましょう。
8歳児では1000人当たりの患者数は、2002年の6.67人から、2006年8.33人、2008年11.36人、2010年には14.71人になったと報告されています。
性別ごとの発生率には顕著な差があり、2010年の8歳児1000人当たりの患者数は、男子が23.7人、女子は5.3人となっています。
日本での自閉症スペクトラムの増加率はアメリカより更に悪化しているとの報告もあります。
次回に続く

診察室からコンニチハ(199)

高度の医療機器の発達は、私たちの平均寿命をこれからも延ばして行くのでしょう。100歳以上の人たちが世界中に満ち溢れる時代が来るのかもしれません。認知症の治療もずっと改善していくと考えられます。
そうなった場合、私たちの人口ピラミッドはどうなってしまうのでしょうか。若い世代が歪(いびつ)にすみの方に追いやられてしまうかもしれません。人類全体の新陳代謝は奇妙な変形を辿るのではないでしょうか。そこまで考察しているAIの専門家や医師を寡聞にして私はまだ知りません。
さらに新しい科学変化には、歴史的にみても大きな副次的問題が発生する傾向が強いものです。例えば、原子力発電による放射線障害のようにです。また高度な機器であればあるほど、必ずシステム障害が付きまといます。さらに高度化が進行するほど、そこから発生する障害もAI自身に診断と対策を委ねるしかなくなってしまいます。現在でも自動車などのトラブルはAIが診断し、メーカーはその診断に従って指示された部品を交換しているだげです。もう何十年も前から自動車の修理工はいなくなったと言われています。ただAIの指示に従った部品交換をしているに過ぎないのです。
次回に続く

診察室からコンニチハ(198)

多くの医師、AI開発の専門家たちのこれまでの意見を聞いていると、所詮は理数系の人間の発想でしかない様に思われてなりません。極論すれば、専門性の強すぎる偏った発想の羅列ばかりが感じてしまいます。
倫理観や宗教観の問題は一先ず置いたとしても、専門家の多くはその専門性ゆえに重要な人類の本能としての欠陥を見落としています。彼らはただ医学を通じた科学の利便性を強調しているだけです。社会科学の上に立つ哲学としての模索がまるで見えてこないのです。
画像診察の優位性や遺伝子生物学の飛躍的な解明、創薬開発の効率性、電子カルテの利便性など、確かにAIによる医学の進歩は一時的には目を見張るものがあるでしょう。
でも重要なデメリットに私たちの多くは気付いていないと思います。
先ず私が最も危惧するのはAIの活用で、医師の診断能力が低下して行くのではないかとの不安です。現在でも大病院では電子カルテや高度の医療機器に振り回されて、医師が患者さん本人を診察しない傾向が強くなっています。医師自身の目、耳、触診などの前に先ずは医療機器が優先しています。かつての時代であったら、聴診器や血圧計そして医師自身の訓練された診断技術で8割以上は診断が付けられていたのに、現在の若い医師は内科医であっても聴診器すら使えない医師が増えていると言われています。もちろん高度の医療機器により誤診率は大幅に軽減した事実は否定しません。それにしても余りに医療機器に頼り過ぎるのでないでしょうか。患者サイドも不必要と、思われる医療機器を使用してもらえないと何か病院に来た気がしないという側面もあります。そして、この様な高度の医療機器はより発展し、より高額化して行きます。
そんな医療の高額化の波に、国が世界が耐え得るのでしょうか?
次回に続く

診察室からコンニチハ(197)

話はAIと医療に戻します。そのようなAIの診療補助で、医師1人では情報処理や検索比較にかかる時間が大幅に短縮されれば1日で患者を診断・治療する速度は早まるでしょう。そして、AIにより診療時間が短縮されれば、その何倍の数の患者を診療できるだけでなく、その診断と治療には根拠のあるデータがあるので、自信もって診療することが出来るようになると思います。そうなれば医療はもっと先へ進化するでしょう。労働力不足解決だけでなく医療の質の向上にも、AI活用は今後必需品となるでしょう。
一般的なエコー機器にAIが普及すれば、専門医ではなくでもエコー機器の最低限の知識と経験がある人なら、内科医や助産師であってもAIが検知した画像から病気を持つ可能性のある胎児を見つけることが可能となります。AIが教えてくれた患者を専門の医師を紹介する判断も早くできるようになり、エキスパートのいない地域でも質の高い検査を提供することができるようになるでしょう。AIにより胎児の心臓異常を見つけることが出来れば、出生直後から治療がスタートでき、そうなると、生存率が劇的に向上するといいます。
それでは、AIは私たちに医療上の福音だけをもたらしてくれるのでしょうか?
次回に続く

診察室からコンニチハ(196)

臨時号『マスクと感染予防』 
中国発の新型コロナウイルスによる肺炎が流行し始め、日本国内でも大多数の人たちがマスクを着用し出しています。実際のところ、マスクでどの程度の感染予防が期待出来るのでしょうか?
一般的には、風邪やインフルエンザに罹らないためにマスクをつけてもその効果は限定的とされています。なぜなら、顔とマスクとの間に隙間がありウイルスを含んだ飛沫の吸入を100%防ぐことはできないからです。また、ウイルス自体の粒子径は0.1~0.2μmですが、咳やくしゃみではウイルスに水分やほこりが付着し粒子径は5μm以上とやや大きくなるためすぐに短い距離に落下し、空間をただようことはないからです。更に、環境や衣類に付着したウイルスが手によって呼吸器に運ばれ感染する場合もありマスクだけで風邪やインフルエンザのウイルスを確実に遮断することはできません。ただし、風邪やインフルエンザ患者の近くで看病するなど咳やくしゃみのしぶきを直接あびる可能性がある場合には予防効果があると考えられます。感染予防からのみ考えるならば、その効果の期待は乏しいのですが、身体の抵抗力増強面から考慮するなら、私は一定の効果力を期待しても良いのではないかと考えています。先ずはマスクの着用により口腔内の保湿が多少なりとも維持されます。それら保湿維持により、口腔内粘膜の感染予防(自己の免疫力増強)が高まっていく期待感は大きいのではないでしょうか。家族内に結核患者が同居していたとしても、同一家族の全てが結核に感染する訳ではないのです。各個人により感染予防力の強い人もいるのです。それらを総合的に判断していきますと、あまりに大きな期待は望めませんが、マスク着用の意義は否定出来ないと思います。しかし、最大の予防はその様な感染性の疑いが強い地域や人ごみへの接近は出来る限り出かけるべきではないでしょう。もちろん、「うがい」や「手洗い」などは帰宅時には必ず励行すべきです。
いずれにしても、この新型ウィルスがこれ以上は拡散しない事を願うばかりです。
次回に続く

診察室からコンニチハ(195)

医療におけるAI活用は、特にアメリカが進んでいるといいます。例えば、患者の細胞からガンなどの異常を判断する病理学の分野です。日本は、スライドグラスに乗っている細胞を顕微鏡で人が目で見て判断していますが、それでは経験に依存する部分が大きく、人によって判断の変わる可能性もあります。アメリカではAIの画像解析処理技術を用いて細胞からガンの有無を自動的に検知し、検査のプロセスを効率化させることで人の曖昧さや疲れなどによる判断の差を排除しています。しかし、AIが出した診断の最終的な判断は人が行っています。「それでもCTやMRI、レントゲンの画像診断でAIを活用するのは効率的でしょう。これまでは、レントゲン検診の所見などは、人がすべて見て判断していました。決まりきった画像による所見の診断には、AIによる活用の方が有効であるかもしれません」。
そのうえで、ルーティンワークのような部分を省略化できれば、医師は病気の原因は何か、どう治療するかというもっとコアな部分に専念できるのではないでしょうか。
医療業界はその特殊性から最新テクノロジーの導入が進んでいませんでしたが、近年、日本の労働力不足という問題からも効率化、省略化を推進する必要性に直面しています。国家資格が必要とされる医療人は簡単に採用することはできません。医療現場の働き手が不足している中で、「最初から最後まで、情報収集から何から何まで、それを人がやるのは効率的ではありません。AIに人が判断を下す手前までの情報整理や診断・治療候補の提示をしてもらうようなサポートあれば、医師は根拠を持って診断・治療を行うことができると思います。
次回に続く