診察室からコンニチハ(57)

今回は「嚥下障害」について考えてみましょう。種々のリハビリでも一番遅れている分野といっても過言ではないでしょう。専門医の記述が著しく少ないのも、この分野です。何故かと言えば、彼らの多くは中枢性でしか「嚥下」の問題を捉えていないからです。
もっと末梢的に口輪筋を鍛えたり、顎関節の活動性を向上させる事により「嚥下障害」が改善するのではないかと、何故か考えてはいないのです。
さらに老人性うつ病やレビー小体型認知症に伴う「うつ症状」から発生する食思不振にはオランザピンのような非定型抗精神病薬やセルトラリンみたいな抗うつ薬の使用も思った以上に効果のみられる事も多いのですが、一部の精神科医でしか使用されていない様です。
また余り知られていない事実ですが、シチコリン製剤の点滴静注が予想以上に食欲改善に効果を上げています。神経内科医の多くは否定的というよりは関心さえ示していません。シチコリン製剤は1974年に発売承認された、かなり古い薬剤で「今更の薬」という意識が多くの医師の頭の中には根ざしているのかもしれません。しかし、どんな古い薬剤でも効果のあるものはあるのですが…私の病院では入院患者さんの75%に明らかな食欲亢進作用を認めていますのに。
次に「嚥下障害」の予防もしくは、リハビリについてご説明しましょう。これは知り合いの言語訓練師から学んだ事が大半です。この女性は日本の医学教育から学んだのではなく、海外で「言語訓練の基本は下顎や舌筋を鍛える事にある」との、指導を受けたらしいのです。
「あ」~「ん」を10数回繰り返すだけでも、嚥下機能の訓練にはかなり効果的である事が、日常の外来診療を通じて多くの体験が得られています。
次回に続く
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