診察室からコンニチハ(73)

一方人口が多い都市部では職種も多く、職業の選択肢も拡がります。その分だけ人口比率にして看護職を望む人が少なくなります。地方から流入して来る看護師も多いのですが、それだけでは需要を賄い切れません。それは圧倒的な売り手市場を招き、看護師の給与は上昇する一方となります。
病院全体では看護師の占める比率が高いので、人件費の高騰を招きます。当然の結果として病院経営は悪化して行きます。昨今、都内の大学を中心とする総合病院の赤字化が深刻な問題となっています。名門の大学病院も淘汰される時代となっています。救急医療の現場では、より深刻度が増しています。過酷な労働条件の中で看護師の離職率があまりに高いからです。大学病院附属の看護学校卒業者でも、平気在職期間は2年前後と言われています。
昭和の時代は好景気が続いていましたので、大学病院は室料差額の高額化で病院経営の悪化を防ぐ事が出来ていました。しかし平成の時代となって不景気の嵐が吹き出すと、高額な室料差額を支払える患者さんが激減して来ました。さらに厚労省の医療費抑制政策が追い打ちをかけ、病院経営の悪化は増大する一方となっています。それでも少子高齢化の時代では、医療費の自然増を抑え込む事は困難となっています。また医学の進歩に伴い高額な最先端医療の導入が、より以上に医療費の増大に拍車をかけています。
これらの事情により、日本の医療保険制度の疲弊が加速化されています。では、どの様な解決策があるのでしょうか?
先ずアメリカの医療制度ですが、先進国で唯一、医療費の基準に国が介入せず、市場原理に委ねています。そうなると、研究開発にかけてきたコストを回収する為に医療費が高騰して行きます。その結果、保険に入っていても自己負担が高額になってしまいます。
世界一の医療技術を持ちながら、国民が十分にその恩恵を受けられないアメリカの医療や保険の現状は、とてもいびつに思えます。
全ての国民経済に市場原理主義を持ち込んだ、大きな罠に苦悶しているかの様です。とても正常な医療制度とは考えられません。日本の医療制度の方が、はるかに利便性に優れているでしょう。次にヨーロッパの医療制度を見てみましょう。
次回に続く
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