診察室からコンニチハ(95)

では、どの様にすれば病院経営は健全になるのか?…良質な医療サービスを提供し続けたいと願っても、時には願えば願うほど悪循環に陥る危険性が増します。現在の様に医療費抑制政策が加速している時代では、総合病院や大病院の運営と云うものは極めて不利です。何故かと言えば規模が大きくなる程、不採算部門が多くなるからです。単科もしくは数科を専門的に特化して行く方が経営効率が高まります。さらに重要な事は、どれだけ優秀な医師が集められるかに病院の評価が大きく左右されてしまうと云う事実です。それでも高度な医療と患者本位の医療を追求した総合病院の幾つかは巨大な赤字経営で破綻の苦しみに喘いでいます。ある大病院は海外から有能な医師を何人も引き抜き看護体制も日本の基準をはるかに超える素晴らしいシステムでした。日本の大学病院より一歩進んだ最先端医療にも率先して取り組んでいました。テレビでもその医療設備の凄さと、病室の快適さは度々放映されました。経営者の親は地元の大地主で遺産額は数百億円以上と言われていました。そんな病院でも開院40年を超えた頃から、銀行の負債総額が500億円を超えたと噂されています。
病室の殆どが個室で、室料差額が最低でも6万円以上だったのです。ベッド数が900床もある大学病院クラスでは、如何に最先端の医療を目指しているとはいえ、それだけのベッドを高額の室料差額で埋める事は不可能だったのでしょう。その例外としては東京都心にある有名な病院ですが、室料差額は10万円以上なのですが、ベッド数が100床未満なので芸能人専用の病院として大幅な黒字決算を継続しています。他にも都心にある総合病院で、ベッド数が400床を超えると高額な室料差額を求める病院経営は赤字決算に見舞われるケースが多くなっています。
それでは私の病院は、どの様にして黒字化が出来るようになったのでしょうか?それは多くの幸運が重なっていたのです。
先ずは平成16年頃から、私の病院近くに老人ホームが開園され始めました。平成21年から23年には5つもの老人ホームが開園され、それらの全てが私の病院を配置医に指定しました。その内の3ヶ所に私が毎週の様に往診に通っていました。1つの老人ホームで入居者が平気100人前後でした。つまり5つの老人ホームと関連している事は500人もの院外患者さんを抱えている事になるのです。この平成21年頃から私の病院は一気に黒字化へと邁進して行きました。
次回に続く
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