診察室からコンニチハ(98)

それからも平均寿命の伸びと出生率の低下が続き、我が国の高齢化率は驚異的に上がって行きました。1960年代の高齢化率は、わずか5.7%でした。それが2000年には17.3%、2015年には26.7%まで上昇しました。これにより医療費は膨らみ続けます。
この医療費の膨張に対応する為に、政府は平成元(1989)年ついに消費税の創設(3%)に踏み切ります。さらに平成9(1997)年には消費税が5%に引き上げられました。
そして平成12(2000)年には介護保険制度が実施されました。これまでの税金に加えて、40才以上では介護保険料の徴収が始まったのです。これにより国は老人医療費の増大を医療保険と介護保険とに区分して社会福祉の効率化を目指しました。
しかし、この効率化は介護保険制度の実施に伴い逆に高齢者の介護需要の増大を招き、医療保険と介護保険は共に収支バランスを悪化させて行きました。そこで国は平成26(2014)年4月1日より消費税を5%から8%に引き上げました。それでも加速化する少子高齢化の勢いに国の財政負担は増すばかりでした。
さらに日本経済は平成の時代に入って、長い不況のトンネルから抜け出せずにいます。これ以上の医療費と介護保険費の増大に歯止めをかける為、種々の施策を実施して来ました。医療費の個人負担も徐々に増やし、薬価は2年毎に引き下げています。
また特別養護老人ホームの入居条件を厳しくして、在宅ケアを推進しています。その結果、「介護難民」と云う言葉さえ出始めました。「老々介護」の問題も深刻化しつつあります。
種々の病気で一度寝たきりになってしまうと、家庭崩壊の危機さえ出て来ました。病院に入院させるにしても、老人ホームに入居させるにしても自己負担額は増える一方です。
「在宅介護」と一口に言っても、核家族化された現代社会では、在宅介護が可能な住宅環境も整っておらず、それを支える人手もありません。介護保険制度でホームヘルパーを利用するにしても、それだけでは足りません。家族の支え無くして在宅介護は成立しないのです。
「寝たきり老人」にとって、その置かれた状況は経済的にも厳しいものとなっています。日本経済が低迷する時代が続く中で、各個人の年収は右肩下がりに減っています。自分たちの生活が精一杯で親の面倒は見られない世帯が確実に増えています。生活保護受給者も20年前に比べて倍増しています。
次回に続く
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