診察室からコンニチハ(113)

☆1935年-ラディスラス・J・メドゥナ (Ladislas J. Meduna) が、精神病治療に*メトラゾール・ショック療法を提唱しました。
*メトラゾールmetrazol
カルジアゾール,ペンテトラゾールとも言います。シクロヘキサノンからつくる無色の単斜針状の結晶で,水,有機溶剤によく溶けます。中枢興奮薬剤に用いられていました。
このメドゥナ(ハンガリー)が1937年に薬物(メトラゾール)を用いて人工的にけいれん発作を作ることで統合失調症患者の治療に成功しました (カルジアゾール・ショック療法ともいう)。
☆ウェンデル・スタンリーが*タバコモザイクウイルスの結晶化に成功しました。
*タバコモザイクウイルス
tobacco mosaic virus
植物ウイルスの一種で,タバコやトマトなどの葉に濃淡緑色の斑点を生じさせたり,ちぢれさせたりします。 TMVと略記しています。 1935年にウェンデル・スタンレーがこのウイルスを結晶として単離することに成功しました。RNAウイルスであってデオキシリボ核酸 DNAは含まず,リボ核酸 RNAの細長い芯を蛋白質サブユニットが多数囲んで筒状となり,全体は長さ 280nm,径 15nmの六角棒状をなしています。 (→モザイク病 )
☆黄熱病の最初の*ワクチンが開発されました。
*このワクチンの歴史は、キューバで開業した医師カルロス・フィンレーが蚊による媒介と伝染を提唱し、アメリカ軍の軍医だったウォルター・リードがパナマ運河建設に際し蚊の駆除を中心とした防疫対策を行い効果を挙げたことから、フィンレーの蚊媒介説の正しさが証明され、更に野口英世によって黄熱の研究が手がけられるものの、その中途で野口は感染し死亡してしまいました。その後、南アフリカ出身のアメリカの微生物学者マックス・タイラー(Max Theiler、サイラーとも)が黄熱ワクチンを開発。このワクチン開発の功績によりタイラーは、1951年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。
☆1936年 - エガス・モニスが、精神病治療に*ロボトミー手術を提唱しました。
*ロボトミー手術【欧米】
1935年、ジョン・フルトン(John Fulton)とカーライル・ヤコブセン(Carlyle Jacobsen)が、チンパンジーにおいて前頭葉切断を行ったところ、性格が穏やかになったと、ロンドンで行われた国際神経学会で発表したのを受け、同年、ポルトガルの神経科医エガス・モニスが、リスボンのサンタマルタ病院で外科医のペドロ・アルメイダ・リマ(Pedro Almeida Lima)と組んで、初めてヒトにおいて前頭葉切截術(前頭葉を大脳のその他の部分から切り離す手術)が行われました。
その後1936年9月14日、ワシントンD.C.のジョージ・ワシントン大学でも、ウォルター・フリーマン (Walter Jackson Freeman II) 博士の手によって、アメリカ合衆国で初めてのロボトミー手術が、激越性うつ病患者(63歳の女性)に行われています。
当時に於いて、治療が不可能と思われた精神疾病が、外科手術である程度は抑制できるという結果は、注目に値するものであって、世界各地で追試され、成功例も含まれたものの、特にうつ病の患者の6%は手術から生還することがありませんでした。また生還したとしても、しばしばてんかん発作・人格変化・無気力・抑制の欠如・衝動性など、重大かつ不可逆的な副作用が起こっていました。
しかし、フリーマンとジェームズ・ワッツ (James W. Watts) により術式が「発展」されたこともあり、難治性の精神疾患患者に対して、熱心に施術されました。1949年にはモニスにノーベル生理学・医学賞が与えられました。しかし、その後、抗精神病薬の発明とクロルプロマジンが発見されたことと、ロボトミーの予測不可能な副作用の大きさと人権蹂躙批判が相まって規模は縮小し、精神医学ではエビデンスが無い禁忌と看做され、廃止に追い込まれています。
また、モニス自身もロボトミー手術を行った患者に銃撃され重傷を負い、諸々の施術が(当時としては)人体実験に近かった事も含め、医学倫理上の槍玉に挙げられ、外科手術が廃れる事になりました。
次回に続く
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