診察室からコンニチハ(136)

1998年-マスター・スレーブマニピュレータの開発によって、*手術ロボットの臨床利用が始まりました。
*手術ロボットで既に実績を残し、最も期待されているロボットと言えば「da Vinci」(ダビンチサージカルシステム)の名を挙げる人が多いでしょう。2017年にダビンチを使って行われた手術(症例)は世界で約87万5000件。前年比16%増と大きく伸びています。
こんなダビンチですが、医療従事者でなければ名前は知っていてもどのようなロボットで、どんなメリットや課題があるのか、導入や活用事情を詳しく知る人は未だ少ないのでしょうか?
☆2011年頃からダビンチを導入し、2018年5月末時点で1,000件の手術を行ってきた聖路加国際病院では。ロボット手術の実状と実態にせまっています。
世界的に見ると、外科手術ではお腹や胸などを縦や横に大きく切って開き、手を入れて施術する「開腹手術」(開胸手術)が多く用いられています。開腹手術ではケースによっては手術による傷跡が大きく残ったり、手術による傷が回復するのに時間がかかることもあります。
手術による傷の大きさを最小限に抑え、術後の回復期間も短くできるという利点はあるのですが「腹腔鏡手術」(胸腔鏡手術)です。内視鏡手術と言った方が解りやすいかもしれません。腹腔鏡手術ではお腹に複数の比較的小さい穴を開け、内視鏡と鉗子やピンセット、尖刀等のアームをその穴からお腹などに入れて、カメラとアームを使って手術を行います。
なお、傷口が小さく身体にやさしい、早期に社会復帰できる手術を「低侵襲手術」と呼びます。
しかし、低侵襲の腹腔鏡手術には特別なスキルが必要とされます。鉗子や尖刀等の手術用の器具は真っ直ぐな棒状。内視鏡カメラで見えるモニターの限られた視界の中で、基本的には真っ直ぐな棒のアームを駆使して、血管など大切な周囲の組織を傷つけずに患部を切ったり縫ったりするのは繊細さが必要です。そのため、腹腔鏡手術を行ったものの、状況によって手術の続行が困難だと医師が判断した際は、開腹手術に移行するケースもあると言います。
こうした背景もあり、細かで繊細なスキルが必要な医師の手による腹腔鏡手術は(手先が器用な)日本や韓国がリードしてきました。海外では腹腔鏡手術のメリットは理解されていながらもその難易度から一般的とは言えない状況だったのです。
そこに登場したのがダビンチです。最新型のダビンチXiは4本の腕を持ち、内視鏡と3つのアームを入れることができます。更にはそのアームの先端部分にいわば手首のように曲がる関節があって、医師の操作によってお腹の中で先端の向きを比較的自由に変えることが出来るのです。
ダビンチのITを使った最新技術はほかにも多々ありますが、概要から言えばロボットを活用することで難易度の高い腹腔鏡手術の際の自由度が格段に向上しています。手術の正確さを上げることができて医師の負担も減ります。また、患部の周辺が狭すぎるなど、従来の手術では困難だと考えられていたケースであっても手術ができるなど、多くのメリットが注目されるようになって来ました。
次回に続く
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