診察室からコンニチハ(139)

☆2001年-分子標的治療薬*イマチニブがアメリカ合衆国で承認されました。
*イマチニブ: 抗癌剤(こうがんざい)の一つで、慢性骨髄性白血病・消化管間質腫瘍などに対して使用される分子標的治療薬。商品名グリベック。2001年にスイスの製薬会社ノバルティスファーマが発売しています。慢性骨髄性白血病の原因となるBCR-ABLという異常なたんぱく質や、消化管間質腫瘍の原因となる異常なKITたんぱく質と結びつく特定のチロシンキナーゼの働きを阻害することによって、骨髄造血幹細胞や腫瘍の増殖を抑えて、それまでは抗がん剤で38%、インターフェロンで53%、骨髄移植で63%だった慢性骨髄性白血病の5年生存率がイマチニブにより93%に上がったと報告されています。
☆2001年-カプセル内視鏡が米FDAから認可されました。
このカプセル内視鏡の最大の適応は、上部・下部消化管内視鏡など従来の検査法で原因が不明な 消化管出血であるCrohn病やNSAIDs(non- steroidal anti-inflammatory drugs)の 副作用の評価、他にも遺伝性ポリポーシスも適応になると考えられています。さらに、小児や難治性の*セリアック病も将来的には適応になるでしょう。
*セリアック病とは、小麦に含まれる「グルテン」と呼ばれる物質に対して、誤って免疫反応を起こしてしまうことから引き起こされる病気を指します。インターネット上では「小児脂肪便症」、「グルテン過敏性腸症」、「グルテン不耐症」と検索されていることも多いようです。セリアック病で免疫反応が生じる結果、小腸が障害を受けてしまい栄養の吸収に支障が生じることになります。
セリアック病の患者数は以前よりも増加してきていると考えられており、環境要因などの影響もあるのではと推測されています。
症状の出方は千差万別であり、セリアック病であってもほとんど無症状の人がいる一方で重度の栄養失調をきたす人もいます。治療はグルテンを食事中から除去するのが基本になります。しかし、食事療法のみでは治療効果が不十分なこともあるため、セリアック病に対する治療薬の開発が期待されています。
また、カプセル内視鏡の禁忌は、消化管閉塞・狭窄や瘻孔と診断された、あるいはその疑いが強い時や、嚥下障害がある場合などです。妊婦に対しての安全性はまだ確立されておらず、心臓ペースメーカーなどの電子機器を体内に埋め込んでいる場合も、通常は適応外とされています。
カプセル内視鏡の問題点は、カプセル通過の遅延と消化管狭窄部における滞留です。糖尿病などのために消化管の蠕動が低下している場合には、カプセルが食道や胃内に長時間とどまり、小腸全域 の画像撮影ができない事にあります。必要に応じて再検査を行い、右側臥位になるなどの体位変換をしたり、場合によっては通常の内視鏡を用いてカプセル内視鏡を十二指腸に誘導するような試みも行われています。カプセル内視鏡の消化管内での滞留は、Crohn病やアスピリンおよびNSAIDs(通常の痛み止でステロイドを含まない)を長期間内服している症例などで報告されています。
しかしカプセル内視鏡が体内に滞留してもほとんどの場合は全く無症状であり、カプセルが狭窄部につまって腸閉塞 を起こした とい う報告は今の所ありません。
次回に続く
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