診察室からコンニチハ(145)

ここで、これら最先端医療はどの程度の有効率を示しているのでしょうか。国家経済が破綻しかねない超高額医療費、個人負担がどうのこうのと言う前に無制限とも言える医療費の増加に、国の経済そのものが耐えられるのか?
そんな危惧を抱く人も多いのではないのでしょうか?
さらに最先端医療とは何故そんなにも高額な医療費がかかるのか、何処かの企業だけが大儲けしているのではとの疑問さえ感じる人たちもいるでしょう。一部にその様な側面があるかもしれません。
しかし現実には、その開発には膨大な費用がかかっているのです。
かつて抗生剤や降圧剤などの開発費は、1つの薬品で100億円程度と言われていました。ですが最先端医療の開発には1千億円、時には兆円を超える桁違いのコストがかかっている場合があるのです。例えばアルツハイマー型認知症の根本治療薬の開発に世界中の研究者が、どれ程の開発費を使っているのか、多くの試行錯誤を繰り返しながら未だ根本的な治療薬は出ていません。そこに費やされた研究費用は、私たちの想像を超えた金額だと思うのです。最先端の生命科学は不老不死の薬を追い求める様な、人類の限りない知識の追求と云う本能(欲望)があるのでしょうか…。
ところで「免疫チェックポイント阻害剤」の代表薬と言われるオプジーボには、どの程度の治療効果が期待出来るのでしょうか。手術できない進行肺がん患者が「治癒」するかもしれないのです。
岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科の木浦勝行教授は「実際に使ってみるまで、これほど効果のある薬だとは思っていなかった」と驚きを隠しません。免疫を活性化してがんを撃退するオプジーボを投与した「IV期」の進行肺がん患者の中には画像検査でほぼ見えない程度まで腫瘍が消え、その効果が長期的に持続する人が現れ始めたと報告しております。
国内ではまだ日が浅いのですが、米国がん学会で昨年、「5年生存率16%」という衝撃のデータが報告されました。先行開発された「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」の投与を受けたIV期の肺がん患者129人を追跡調査した結果です。
この数値は、従来では考えられないほど高いものがあります。転移や組織への浸潤があるIV期の患者は、手を尽くしても「1年間で80%が亡くなり、次の1年間でさらに80%が亡くなる」(木浦教授)という厳しい状況が続いていたのです。昨今まで5年生存率は5%に満たなかったのです。米国で調査した患者も一般的な抗がん剤治療では効果がなかった人達が、まさに死の淵から生還したと言える数字です「5年生存率16%」と云うのは。
さらに木浦教授が目を見張るのは、長期生存患者16人中12人は調査時点でがんの治療を受けていなかったという事実です。もう治療しなくてよい。つまり、治癒した可能性があることを意味しているのです。
次回に続く
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