診察室からコンニチハ(158)

同業者として、この久徳医師のような人を見ているとただ恥じ入るばかりです。この医師は男は外で仕事を、女は内で家庭全般を守るべきと云う古い倫理観しか持ち得なかったのでしょう。
そんな固定観念で、医師と云う権威の上に胡座(あぐら)をかき、自己の独善を世間中に撒き散らしていたのでしょう。現在でもまだ同じような医師はそれなりにいるので、患者さん方は重大な疾患の時にはかならずセカンドオピニオンを求める必要があるかもしれません。
久徳が「母原病」と名付けた傷跡は、今でも社会の片隅で残骸のように見え隠れしています。
確かに、育児に関わる上で母親の責任は重いのですが、その母親の精神を安定させるには父親も大きな役割を担っている事を忘れてはならないと思うのです。それを、母親にだけ育児に関わる多くのトラブルを押しつけてしまうところに論理の矛盾を感じてしまうのは、私だけなのでしょうか?
話を小児の精神障害に戻します。
実は昨今になって、「母原病」と言われていた小児の精神障害の多くには*自閉症スペクトラムの部分が数多く見落とされている事が分かって来ました。
*自閉症スペクトラム
自閉スペクトラム症の子どもは人に対する関心が弱く、他人との関わり方やコミュニケーションの取り方に独特のスタイルがみられます。相手の気持ちや状況といったあいまいなことを理解するのが苦手で、事実や理屈に基づいた行動をとる傾向にあり、臨機応変な対人関係を築くことが難しく誤解されてしまいがちです。対人関係でのこのような特徴的な行動は幼少期からみられ、年齢とともに現れ方が変化します。
また世界保健機関(WHO)作成の『IDC-10』(『精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン』第10版)では、広汎性発達障害を以下のように分類しています。
F84:広汎性発達障害
84.0 : 自閉症
84.1 : 非定型自閉症
84.2 : レット症候群
84.3 : その他の小児期崩壊性障害
84.4 : 知的障害(精神遅滞)と常同運動に関連した過動性障害
84.5 : アスペルガー症候群
84.8 : その他の広汎性発達障害
84.9 : 広汎性発達障害、詳細不明
 以上ですが、
一体何の事を言っているのか分かりません。専門家の多くも未だ混乱していて、小児期の精神障害の多くは正しく理解されていません。
ですから精神障害の子どもを抱えた両親は、次から次へと専門医の診察を仰ぎに行くのですが、その専門医自体が病状の全体像を十分に把握していないのですから、問題の結論は何時まで待っても出て来ません。もちろん根本的な治療方針が出て来る訳はありません。
それは高齢者の認知症患者さんに繰り返されている試行錯誤的な治療の混乱と同一視されるような、それ以上かもしれない統一性のない治療が続けられているのです。自閉傾向の強い児童には…
次回に続く
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