青井さんへの回答

一般に、せん妄とは意識障害が起こって頭が混乱した状態を示します。高齢者に多く見られ、15~50%は、入院中にせん妄を経験すると言われています。お母様も入院中に見られたとのお話でしたね。もちろん全身麻酔の影響は避けられませんが…。
せん妄は認知症とは違い、症状が急に発生し、数時間から数日間かけて進行するのが特徴です。認知症の方がせん妄を発症することもありますが、その場合でもせん妄の症状は、一時的なもので治療が可能です。
せん妄症状には主に以下のものがあります。
・幻視や妄想
・興奮状態(大声を出す、そわそわと動き動き回る、暴力など)
・認知症のような症状(最近の出来事を忘れる、どこにいるのかが分からなくなる、会話が噛み合わなくなるなど)
・睡眠リズムの生涯(昼夜逆転や、睡眠中も落ち着きがないなど)
『せん妄が起こる原因』
1)体調が悪い事や環境の変化で起きる事もあります。
脱水や酷い便秘などが原因となる事があります。脱水になると意識障害が出るのは、お年寄りだけではありません。便秘なども酷くなると苦痛を伴う事になり、せん妄を引き起こす場合があります。
2)環境の変化 : 同居の為の引っ越しや介護施設入所、入院などの環境の変化でも起こり、環境が変わった事で睡眠不足となり、せん妄が見られる場合もあります。
3)昼夜逆転が原因
日中に寝て夜起きるという昼夜逆転が起きていると、夜に起きた時に暗い事や誰もいないと思ったりする事で、不安が大きくなってしまい、夜間せん妄が出やすくなります。
4)飲んでいる薬の副作用でせん妄が出る事もあります。お年寄りに多いパーキンソン病の薬や、認知症でうつが見られた時に処方されるうつ薬・向精神薬にも、せん妄が出やすいものがあります。
さて、MCIと診断を受けたお母様ですが、現在の認知機能はどの程度なのでしょうか?
長谷川スケールやMMSEの結果が知りたいと思います。もし長谷川スケールが23点以上なら認知症の薬は必要ないと思います。それよりは「脳トレ」「懐メロの練習」や朝の規則正しい散歩や睡眠リズム(昼夜逆転を防ぐ)の是正などの「生活療法」だけで経過をみていくのが良いと思います。
さらに家庭で
『せん妄が起きた時の対応』
についても記載しておきます。
1)暴力がある時は離れて様子をみましょう。
興奮して暴れたりしますが、噛みつく、殴る蹴るなど、普段からは想像出来ないような行動に出る事があります。暴力が出ている時は離れましょう。止めようと対抗すると余計に興奮したり、転んで骨折するなど危険がありますので注意が必要です。
>> 暴力・暴言が出た際は?
ゆっくりはっきり穏やかに話しかける。
言葉をかけても落ち着かないのは、聞こえていないからかもしれません。興奮で暴力が見られている時でも、頭の中はぼーっとしている状態だからです。はっきりゆっくりご本人の顔を見ながら話しましょう。怒るのではなく「大丈夫だから」と諭すように。
2)また、おかしいと感じる内容でも幻覚を見ているせいかもしれませんので、否定はせず話を合わせながら聞いてあげてください。
『せん妄の改善策』
1)体調管理をしてください
お年寄りは水分補給が少なくなる事で脱水症状になりやすい為、お茶などが飲めているか、お通じがきちんとあって便秘になっていないかなどを、チェックするようにしてください。またお年寄りは夏場、冷房を使わない人が多く、これが元で脱水になる事があります。暑過ぎたり、寒過ぎたりならないように気をつけましょう。
2)部屋の環境を変え過ぎないのも重要です。環境の変化に弱いのも高齢者の特徴です。
睡眠不足が続くと、認知症のお年寄りではなくてもイライラしてしまうものです。同居となって住み慣れた家から離れてしまった時などは、環境が変わり眠れなくなっている場合があります。畳に布団を敷いて寝ていたのが、ベッドにした為眠れなくなったという話もよく聞きます。出来るだけ同じ様な環境になるようにしましょう。引っ越しで元々使っていた寝具を新しく交換する事がありますが、元の寝具の方が良いです。残っていればそれを使う。残っていなければ枕などを変えて、眠りやすい環境にしてください。
3)睡眠時に配慮したいこととは?
日中に起きていられるように工夫をする。
昼夜逆転が起きている場合は、お昼に眠り過ぎてしまっているので、夜眠れなくて起きてしまうのです。日中に起きている時間を増やすのが一番です。部屋を暗くせず、カーテンを開けましょう。日中に話しかけたり、散歩に一緒に出かける、テレビを一緒に見るなど、関わる時間を増やしてみてください。認知症で介護度が出ておられる方であれば、日中活動出来るデイサービスなどの利用を、考えられても良いのではないでしょうか。
4)危険な物を部屋に置かない
また良い悪いなどの判断なく、手の届く所にあるもので暴力行為が見られる場合がありますので、危険だと思われるものは、部屋に置かないようにしてください。家族だけでなく、物を叩いて壊す事でご本人もケガをする場合があります。
以上、せん妄についてまとめて見ました。
【ご質問】
成川先生 はじめまして
78歳の母がMCIと診断されました。
MCIといっても、初期の認知症に近づいているという感じです。
クスリを飲もうと思うのですが、副作用を見るとせん妄とか下痢など、いろいろ書いてありました。
7月3日に直腸脱の手術をして、全身麻酔のため、やはりせん妄がありました。
クスリの副作用でせん妄がでるということで、クスリを飲むことに不安を感じています。
それについて、教えていただけないでしょうか。
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コメント

早速ご回答頂き、ありがとうございます。

長谷川スケールとMMSEの結果ですが、私自身が母の認知症に呆然としてしまい、数値をしっかりと聞いていませんでした(反省)ただ、どちらも境界値より1点良かったことは、たしかです。23点以下が認知症であれば24点というかんじです。
認知の程度ですが、カレンダーで確認すれば日にちはわかります。置き忘れ、物忘れ、短期の記憶があいまいです。
実は、父も脳出血で倒れ現在リハビリ病院に入院中です。
母は父が入院したことを何度伝えても、「お父さん仕事から帰ってこない」「お友だちと旅行に行ってしまった」と言います。
他のことは、忘れていても説明すればそうだったと言って思い出すのですが、父の入院だけは理解ができていないようです。
腰痛もあり(脊柱管狭窄症)すぐに腰がいたいと言って横になってしまい、眠ってしまうので夜起きてしまうようです。
昼は、一人で家にいることになるので、デイサービスの利用もしたいのですが、本人がいきたがりません。折り紙や塗り絵なども勧めてみたのですが、「腰が痛かった」といって横になってしまいます。
クスリを飲むことで、進行を遅らせることができても、副作用(特にせん妄)を考えると何が良いのか迷ってしまいます。いずれ施設にお願いしなければならないと思うのですが、何からなにまで、不安です。