診察室からコンニチハ(161)

(2)髄鞘形成と子どもの発達の続きからです。
②知覚系
知覚系の最も原始的な働きに対応する脊髄後根細胞に、まず胎生6ヶ月ごろから髄鞘形成が起こり、生後6ヶ月頃までに出来上がってきます。
【視覚系】の神経系には出生直後から髄鞘形成が始まり、生後4から5ヶ月頃までに完成します。従って、生後4ヶ月から5ヶ月頃には、視覚的な知覚の機能が高まります。
【聴覚系】の神経系には、視覚系と同じように、出生直後から髄鞘形成が始まりますが、出来上がるまでには少し時間がかかり、3歳から4歳頃にかけてまで続きます。
1歳前後に1語文が出始め、3歳から4歳にかけて急激に言語能力が高まることも、この聴覚系の神経系の髄鞘形成に対応するものといえます。
また、【触覚】などの体性感覚の神経系の髄鞘形成は胎生後期から始まり、1歳頃までに出来上がるといわれています。
③情動系
情動の中枢となる大脳辺縁系の帯状回に髄鞘形成が起こり始めるのが、出生後2から3ヶ月目ぐらいであり、10ヶ月目頃には髄鞘形成が完成します。この髄鞘形成に対応して、基本的な快・不快の感情としての喜び、満足や怒り、恐れなどが示されたりします。
この出生後2から3ヶ月目ぐらいからの髄鞘形成は、後述の情緒的発達の項で述べるように、乳児の情緒的コミュニケーションが起こり始める時期と対応しています。
④意識
意識という【覚醒系】に重要な働きをもたらすのが、大脳の奥底にある脳幹網様体の髄鞘形成です。この髄鞘形成は最もゆっくりとした時間をかけて起こるものであり、生後直後に髄鞘形成が起こりはじめ、早くて10歳頃に、遅いと12歳頃に完成します。10歳から12歳にかけて、自分で自分を反省的に意識できるようになるといわれていますが、それがこの脳幹網様体の髄鞘形成に対応するものといわれます。この脳幹網様体の髄鞘形成により子どもは大人の仲間入りをすることになります。したがって、早い子は10才頃、遅い子でも12才頃になると、大人の仲間入りとしての一人立ちの信号を色々と出してくるものですが、それらはこのような神経系の成熟に対応しているものなのです。
以上の例のように、人間の発達として観察する事ができる運動機能や言語機能や情動等の精神機能の発達は、次に取り上げるシナプス形成とともに、それぞれの中枢となる神経系の髄鞘形成に基づくものなのです。従って、このような研究を示唆を読み取ることができるのは、このそれぞれの神経系の髄鞘形成の時期に合わせて(適時)、その機能が発揮されやすいように(的確)、環境を整えて(適切)、教育を行うこと必要性が生じてくるのです。
次回に続く
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