診察室からコンニチハ(176)

2003年のNEJM(New England Journal of Medicine)に掲載された米国のカルテの分析によりますと、医療の質の評価で、正しい臨床を行ったというカルテ記載は全体の50~80%のみに留まる[NEJM:2003;348:2635-2645 June]と、されていました。また、別の2016年の論文ではこのような医療の質の問題が米国の3番目の死亡原因とされ、約1割の死亡がそれに基づくとも説明され[Makary MA, Daniel M. Medical error-the third leading cause of death in the US. BMJ. 2016 May 3;353:i2139]て、いました。
以上のように、医師の代わりに確定診断をすることは不可能であるが、分かりにくい医療を分かりやすくするために「人工知能」は、役立つとの見解も多いのです。
その典型的な例として、Clinical Decision Support (臨床判断サポート)があります。新しい Clinical Decision Support は、古典的な紙?の教科書と異なり、自動的に患者情報を取り込み、複雑な計算をすることで、電子的なデジタルコンテンツを 適切に表示をすることで診療を支援するシステムです。
現在容易に想定される AI のユースケースとして、下記の 6つがあります。そのどれもがすでにある程度は「人力」で行われているものですが、今後は自動で低コストで行われる時代になるでしょう。
1:薬剤相互作用の検索
2:検査の必要性の評価 
3:入院期間の予想
4:手技の合併症の予想 
5:死亡率の予想
6:診断支援
などが上げられます。
AI のリスクとしては、下記のような事が想定されます。
1:過度の信頼
カーナビなどで、日常的に私たちは経験していますが、過度の信頼は遠回りになってしまう危険があります。
2:二つの異なる推奨
こちらのAIは、(A)という薬を、別のAIは、(B)という薬を推奨してしまう事例です。現実には高血圧などでも、医師により薬の使い方は異なりますから、AIでも薬や検査の指示は異なることが考えられます。
3:プライバシーのリスク
個人情報の漏洩も皆無でないでしょう。
4:プロフェッショナリズムの変化
医療の一部が代替えされ、医師の本質に変化の起きる場合もありえます。
以上のようなリスクを考慮しても、医療の一部分が自動化することにより、正確な医療を行うことができるようになると考えられます。医療の国民の人生に与える影響がより良くなる事は確実でしょう。
少なくても、米国と日本の最新のデータ(2017~2018年)を見る限り、AIの部分的な利用により誤診率を低下させている事実は、幾多の論文報告で検証されています。
ただし、現時点では臨床医の少数がAIを補助的(電子カルテなど)に使用しているに過ぎません。医療分野全体での本格的なAI普及率は、まだ低く、AIのみで医療が完全に成り立つかというと大きな疑問が残ります。それでも、将来的には大きな期待が抱けそうです。AIと医師の共同作業というのが現実の話となるのではないでしょうか。
次回に続く
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