診察室からコンニチハ(181)

ジェネリック医薬品への疑問?(Ⅰ)
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に発売される薬ですが…有効成分は新薬と同じで、価格はずっと安い医薬品をいいます。しかし、その安全性には多くの疑問が出始めています。
2011年10月11日に東京都保険医協会が作成した、「ジェネリック(後発医薬品)は医者に相談して」
と、題したポスターに対して議論がわき起こっています。このポスターではジェネリックは「新薬と同じ成分効能か?」と問いかけています。そして「ジェネリックの効能にはばらつきがあります」「効能格差は最大40%」と続き、「ジェネリックの中で効くものを医師と相談しましょう」と締めくくっています。
これに対して、日経新聞は2012年4月22日「医療界は後発品普及を促せ」と題した社説を掲載。「医療費削減のために(ジェネリックを)主体的に普及を促すべき医療界が、一部の医師の意識改革の遅れにより、誤解させる文言を含んだポスターを作成した」と、このポスターが『患者の正しい理解を助けない』と論じました。
さらに、日本ジェネリック医薬品学会も東京都保険医協会に対して、内容の変更や回収を求める質問状をホームページに掲載しています。
特許が切れた医薬品をより安く提供するジェネリックの役割は十分に分かります。しかし、ジェネリックを「先発品と同じ薬で値段が安い」と説明することこそ、逆に患者の正しい理解を助けないばかりではなく、事の本質を見えなくしてしまうのではないかと思うのです。
なぜ医師団体は「ジェネリックの使用は慎重に」と呼びかけたのか?
新しく施行された「一般名処方」の加算20円を算定している医療機関においては、処方された薬が商品名ではなく成分名で記載されます。
例えば、今まで発行される処方箋に「ガスター」(胃酸を押さえる胃薬の商品名)と記載されていたものが「ファモチジン」(ガスターの成分名称)となります。今までとは違う名称が処方箋に記載されていて戸惑われた方もいらっしゃるかもしれません。
医師が“商品名“でなく“成分名“で処方箋に薬を記載するようになると、実績重視で先発医薬品を選ぶのか、値段を考えてジェネリックを選ぶのか、のアドバイスは、薬の調剤を行う薬剤師に委ねられることになります。 ですから、「一般名処方」制度の本質は、これまで医師が独占してきた「処方権限」の一部が薬剤師に委譲されることに他なりません。
もしも、先発医薬品とジェネリック医薬品の効果が同じであれば、医師と同じ6年間の教育と実習を受けた薬の専門家である薬剤師が調剤できるようになるのは、効率が良い制度だと言えるでしょう。
しかし、欧米の例を見ても、血圧の薬やてんかんの薬などのジェネリック医薬品の中には、効果が不十分または不安定で、使用が推奨されていないものが存在するのはまぎれもない事実です(参考:メルクマニュアル医学百科 http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec02/ch017/ch017c.html )。
「ジェネリック=価格の安い薬」と説明されていることが多い現状では、治療の最終的な責任を背負う医師団体が「ジェネリックの使用は慎重に」という呼びかけを行うのは、決して“意識改革が遅れている“からではありません。 
次回に続く
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