診察室からコンニチハ(192)

しかしMycin(マイシン)システムは、実際の医療現場では開発環境と実行環境が適応性に耐えられないといったハード面での問題、さらに誤診時の責任といった倫理・法律に関わる問題などのさまざまな要因により、実用化には至りませんでした。
その後のAIはしばらく、「冬の時代」を迎えました。やはり、AIの使用は医療面では限定的ではないかという考えが支配的になっていました。そして第三次人工知能ブームを経た現在、つまり「ディープランニング」のより高度な発達により、医療分野での適応範囲が広がって来たのです。
では、どのようにしてAIの適応が広がって来たのでしょうか?
最も注目され出したのは、画像認識による効率性改善により診断・検出精度が格段に向上でして来た事でした。
さらに、MRIは高価な医療機器のため、利用サイクルが長く10年以上前の機器を使う医療施設も少なくないのですが、長く使われている機器には鮮明な画像が撮影できないものも多くあります。こうした画質が悪い撮影画像をAIが変換し、変換後の画像を人間が見、診断に役立てる(医用画像処理と呼ばれる)という事例も出て来ました。
また、脳のスライスCT画像から脳出血を検出するAIの認識精度はAUC(認識精度を表す指標)が、0.948と向上し、人間がじっくり画像を見て判別するレベルに相当し、この検出AIによって医師の診断時間を80%削減できるとも言われ出しています。今でこそ医療現場に入りこみ、効率化に貢献しつつあるAIですが、かつては反対勢力の声が大きかったのです。医療では、世界に300人程度しかいないような希少疾患もあります。AIはビッグデータの集積なので、出現頻度が低い疾患のデータを得られなければ検出できない」というものが、その反対勢力の中心でした。
しかし、現在では少ない量のデータで学習できるメソッドが開発されており、少ない数の画像から特徴量を見出すことができるようになっています。たとえばマイクロソフトによる「レンブラントの新作」に学習させた画像は、わずか350枚ほどのデータで適切な診断名にたどり着いたと言われています。
次回に続く

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