診察室からコンニチハ(193)

先のマイクロソフトによる「レンブラントの新作」に学習させた画像では、わずか350枚ほどのデータで適切な診断名にたどり着いたと説明しましたが、ほかにもゼロショットラーニング:注)を利用し「これまで見た画像とはちがう特徴量を持つ」といった判断をさせ、希少疾患を検出することも理論上は可能であり、数千枚もの画像が必要だった時代はもはや数年前の話となっています。
注) : ゼロショットラーニングとは、訓練データのない(1度も学習したこともない)カテゴリの画像を、補助情報を頼りに分類するディープラーニングの手法で、今後は医療分野でのAI活用範囲がより広がっていくでしょう。
つまり、「医療AIは効率化を進めるフェーズから、人を超える精度、成功率を実現するフェーズに差しかかっているともいえます」
またCT、MRI画像から病状を診断する機能の向上やレントゲン画像から骨折を感知するAI、エコーから臓器の状態を点数化するAIなどの開発も進んでいくでしょう。
さらに、膨大な非構造化データから効果的な知見を導き出す医療分野で高い注目を集める、ワトソンがあります。IBMが開発した「コグニティブ・コンピューティング・システム」(認知コンピュータ)です。
ワトソンでは自然言語で記述された非構造データを大量に読み込み、学習。医学情報を大量に学習させることで、治療や創薬に繋がる知見を導き出すことが期待でき、医療の質向上、医療費の削減効果に繋がる可能性があると考えられられています。
既に活用が進んでいる分野の1つが創薬です。『Watson for Drug Discovery』を用いて、シリコンバレーのIBMアルマデン研究所と製薬会社との共同研究が始まっています。これには、医薬品の特許情報や医療の論文約4000万件がコーパスとして読み込まれている。
37兆個にも及ぶと言われるヒトの細胞における遺伝子の発現状況、その加齢に伴う変化については分かっていないことが多い中で、既に公開された論文も膨大にあります。人が読める量をはるかに超えた膨大な量の論文や特許等の情報を、人に代わってワトソンが読み込み、そこから新たな洞察を引き出して、創薬のヒントを得るという試みに幾つかの成功事例が出てきています。(日本アイ・ビー・エム/ワトソン事業部部長・溝上敏文氏)
次回に。続く
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