診察室からコンニチハ(211)

さて、感染が疑われる場合は迅速検査キットを使用して、先ず簡易検査を行います。
迅速検査キットは複数のメーカーから提供されており、ウイルスの型を担う、核タンパクに対する抗体を用いたイムノクロマト法(抗原抗体反応を利用した迅速検査の手法の一つ)によるものが主流です。
核タンパクに対する抗体を使用していますので、感染ウイルスの型を簡便、迅速に観ることができます。しかし確定に至る訳ではありません。
また、HA、NAの亜型は分かりませんので、季節性、新型など最終確認のためには、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)で、DNAを増殖させた遺伝子検査が必要となります。
核酸を簡単に増幅、確認できるとは言え、対応する試薬、機器の使用と共に、結果を得るまで数時間は必要ですので、多数の検体を同時に処理することは難しいのが難点です。
ところで、まだ検査試薬としての提供には至っていませんが、遺伝子(塩基配列)レベルでの迅速検査法も確立されつつあるようです。
PCRとは異なる等温増幅による検出方法の一つで、変異による差も確認が可能ですので、迅速検査法の一つとして、今後の進展を注視したいと思います。
インフルエンザウイルスの感染に備えるためにはワクチンの投与が有効ですが、HAのエピトープ(抗体が認識して結合する抗原の特定の構造単位をエピトープとよび、6~10個のアミノ酸や5~8個の単糖の配列から成る)の変異が進むと既存ワクチンの効果が弱まるか、または全く効果の無くなる可能性があります。
ワクチンの効果が見込めない、また新型に対応するワクチン供給がなされない時の、感染時の対応として抗インフルエンザ薬の投与がなされますが、その効果は不明です。
ワクチン投与による感染への備え、感染を疑われる場合の簡便な確認方法、そして感染が明らかとなった場合の治療薬剤とわれわれは色々な手段を得ていますが、インフルエンザウイルスも変異、すなわち進化を止めていません。現に新型インフルエンザが世界に広がろうとしています。
これからもインフルエンザウイルスとの戦いは続きます。油断することなく、英知を絞ってこの危機に向かっていかなければならないことを、皆さんと再確認したいと思います。
次回に続く
【コロナウイルス時事情報】
一方国内では、2月29日に安倍晋三首相が、首相官邸で記者会見して、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し「保健所で必要な検査が確実に実施できるように国において仲介する」と語りました。
「いまから2週間程度、国内の感染拡大を防止するためあらゆる手を尽くすべきだと判断した」とも述べました。
2700億円の予備費を使って第2弾の緊急対応策を10日程度でまとめると表明していました。
ウイルス検査は現時点で1日4000件超を実施できる能力があると指摘し「一層の検査能力拡大に努めていく」と明言しました。検査に関しては「来週中に医療保険を適用する」と強調しました。緊急時に感染症指定医療機関で5000床を超える病床を確保するとも述べました。
3月2日から全国一律で小中高などに休校するよう要請したことには「感染リスクに備えなければならない。万が一にも学校で、集団感染を起こしてはならない」と、国民全般に理解を求めました。唐突だとの指摘には「判断に時間をかけているいとまはなかった」と釈明しています。臨時休校にあわせて「保護者の休職に伴う所得減少にも新しい助成金制度を創設し、正規、非正規を問わず、しっかりと手当てする」と強調しました。
観光業など影響を受けた企業への対応を巡っては「雇用調整助成金を活用し、特例的に1月までさかのぼって支援する」と指摘しています。外出自粛要請などができる新型インフルエンザ対策特別措置法を参考に「国民生活への影響を最小限にするために立法措置を講じる」と語たりました。法案成立に向け、自ら野党に協力を要請する考えを示しました。
トイレットペーパーなど日用品を買いだめする動きがあることに関しては「事実ではないうわさが飛び回っている。十分な供給量があるので冷静な購買活動をお願いしたい」と促していました。7月に開幕する東京五輪については「アスリートや観客にとって安全、安心の大会となるように万全の準備を行う」と強調していました。
「首相として国民の命と暮らしを守る大きな責任を果たすため、先頭に立ってなすべきことは決断していく」と訴えました。「政治は結果責任だと言ってきた。逃れるつもりはない」とも明言しました。
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