新しいウイルスと闘う人類(号外5)

新型コロナに打ち克つために、人類ができる3つのこと【グテーレス国連事務総長 寄稿】新型コロナウイルスに感染した人が、世界で230万人以上(米ジョンズ・ホプキンズ大学集計)に達した。死者も15万人以上に上る。
今後、世界はどうなるのか。
仮に、ある国がこれから感染を抑え込めたとしても、別の国で感染者が増えれば、そこから再びウイルスは流行し、経済も止まり、めぐりめぐって、自国の国民も打撃を受ける。
もはや途上国も先進国も、国内も海外も、あなたも私も、区別はなく、ありとあらゆる国・地域と個人が「当事者」になった。
こうしたグローバル危機の中、国連のアントニオ グテーレス事務総長がハフポスト日本版に「未曾有のパンデミックと闘うために全員の力が必要 ( All hands on deck to fight a once-in-a-lifetime pandemic) 」という題名で寄稿し、人類が危機に立ち向かうための「3つのポイント」を示した。
以下に紹介する(寄稿は4月2日時点のデータや情勢などを元にしている)。
未曾有のパンデミックと闘うために 全員の力が必要。


COVID-19(編集部注:新型コロナウイルス感染症)のパンデミックと、パンデミックがもたらす破壊的な結果を封じ込めるための唯一の方法、それは私たちによる連帯です。
3月26日に開かれた緊急オンライン会議で、G20の首脳たちは正しい方向へと歩み始めました。
しかしながら、私たちが直面している「経験したことのない巨大な危機」に立ち向かうためには、調和のとれた明確なグローバル対応が必要であり、それは依然として不十分なのです。
感染者の数を示すグラフの上昇曲線が平坦になる見通しは立っておらず、私たちの道のりはまだ長いと言えます。
この感染症は、当初、10万人が感染するのに67日間を要していました。しかし、今後は10万人、もしくはそれ以上の人たちが、1日で感染することになるでしょう。
一致団結して、思い切った行動をとらない限り、新規感染者数は何百万人にも達する可能性があります。こうした状況によって、医療システムが崩壊し、経済は急激に悪化し、人々は困窮し、特に貧困層が最も大きな打撃を受けることになります。
最悪の事態に備え、それを避けるためにあらゆる手段をとることが肝要です。そのために、科学的な根拠、連帯、賢明な政策に基づいた3つのことに取り組むべきです。
まず1つ目は、COVID-19あるいは新型コロナウイルス感染症の感染を抑え込むこと。
感染を抑制するためには、積極的な早期検査や感染経路の追跡に加えて、隔離や治療、初期対応を行う方々の安全の確保、さらに人の移動や接触を制限するための措置が求められます。
こうした措置は(社会に)混乱を引き起こすかもしれませんが、治療法とワクチンが見つかるまで継続する必要があります。
重要なのは、この徹底した取り組みと協力が、国連システム内の機関である「世界保健機関(WHO)」主導の元で行われるということです。独自の行動をとる国(当然、自国民のためには尽くすべきですが)では、全ての人のための成果を得られません。
2つ目は、COVID-19あるいは新型コロナウイルス感染症がもたらす、社会的および経済的な打撃に対処することです。
ウイルスの感染は、山火事のような速さで広がっています。今後は開発途上国の国々にも、あっという間に感染が拡大するでしょう。
こうした国々では、医療システムに限界があり、人々はより脆弱な立場に置かれているうえ、何百万もの人たちが、人口が密集したスラム地域や、難民や国内避難民がひしめき合う居住地で暮らしています。
こうした環境では、ウイルスが開発途上国を壊滅させ、一度感染を抑えた地域での再流行を招く可能性があります。
相互につながり合う私たちの世界においては、私たち全体の強さは、最も弱い医療制度の水準で、決まってしまうことを意味します。
人類のためにウイルスと闘わないといけないことは明らかです。人々、特に、最も影響を受けやすい女性、高齢者、若者、低所得者、中小企業、インフォーマル・セクター(非公式経済)、脆弱な立場に置かれている人々を中心として取り組む必要があります。
「原状回復」だけでは足りません。
そして3番目は、かつてより良い状態にまで、復興することです。
COVID-19あるいは新型コロナウイルス感染症が襲ってくる前の、危機に対して脆弱な世界に単に戻るわけにはいきません。
医療システム、社会的保護あるいは社会保障、公共サービスが脆弱であれば、私たちが多くの代償を支払わなければならないことを、このパンデミックは極めて明確に示しています。
さらに、今回のパンデミックによって、世界の不平等、とりわけジェンダー間の不平等が浮き彫りになりました。(COVID-19あるいは新型コロナウイルス感染症以前の)かつてのフォーマル(公式)経済は、可視化されず、無給で育児や介護、看護をしてきた人たちに支えられてきたこともさらけ出しています。
女性に対する偏見や暴力を含めた今日の人権問題も同様に、あぶり出されました。
パンデミック、気候変動およびその他のグローバルな課題に対してもより強靭な「包摂的」で「持続可能」な経済と社会を作るために、これまで以上の努力を私たちはいまこそ行う必要があります。
復興にむけた取り組みは、新しい経済システムの構築へと繋がらなくてはいけません。
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