青空を求めて(50)

10月11日(月)沢田由美子さんから口頭ではなく正式の退職届けが出される。数ヶ月前から彼女の退職希望は聞かされていたし、個人タクシーとの連結もスムーズに流れていたので、私の送迎に支障を来たす事もなかった。ただ彼女とは相性が良いと言うか、人間同士の繋がりをもっと大切にしたかった。男女の性別ではなく一人の人間として彼女から学ぶ事も多かった。
彼女には失礼であるかもしれないが、わたしの7才年上の叔母と似ている所があって、彼女の単調な物言いからも教えられる事は多かった。
40数年間の生きて生きた人生には、それなりに学ぶべき事は幾らでもある。
男と女では性別の違いだけではなく日常生活上の役割り分担も違う。その分担の違いから思考方法にも差が出て来る。共に分かり得ない部分が必然的に出て来るのは当然なのだ。
それが夫婦同士だと日常生活に埋没され、なかなか時間をかけた会話とは成り得ない。
「今更、何だ」と言う思いが、
先行してしまうからだ。
その意味では沢田さんと私の関係は男女間を離れたバランスの取れた良好な人間関係であった。そんな沢田さんに正式な退職届けを出され、私は一抹の寂しさを隠し切れなかった。
「もう少し、まとまった仕事が欲しい」
と言われれば、私に返す言葉は思い当たらなかった。
それまでは断続的に個人タクシーと沢田さんの車で送迎してもらっていたが、翌日からは磯辺と云う個人タクシーが送迎の専属になって行った。
10月16日(土)深大寺
昼の12時半に私の車で深大寺に向かう。絶好の行楽日和で人出も多かった。「雀の宿」で昼食、ざるそばを食べる。味は以前より明らかに落ちている。
「名物に旨いものなし」とは、
亡くなった父親から散々に聞かされた言葉であった。
観光地で常に多くの人が溢れていると、努力の必要もなく客は幾らでも入って来るので味も接遇も落ちて来るのであろう。
10月17日(日)
午後3時半から5時まで悠真と公園で散歩する。ブランコだけでも30分以上は漕がされた。紅葉の季節には未だ早いが、秋は確実に深まっている。落葉の時期になると悠真は決まって落ち葉の山の中に入って着ている服を目一杯汚して妻を困らせる。
午後5時過ぎ自宅に戻ると悠真がお尻をモコモコさせているので私は急ぎトイレの便座に座らせる。直ぐに大量のウンコが
出てきた。私が付き添ってウンコをさせたのは今日が初めてで少し嬉しかった。これで3日連続トイレでウンコをしていると妻は得意気に話していた。
また一歩成長の記録が塗り替えられて行く感じだ。
明日に続く
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