診察室からコンニチハ(210)

新型インフルエンザは季節性インフルエンザと異なり、ほとんどの人が初めて直面するタイプであるため有効な免疫を持っていません。そのため、世界的な大流行を引き起こし、死亡率も高くなる可能性があります。
2009年に大流行した新型インフルエンザ(H1N1型)は、日本だけでなく世界中で猛威をふるいました。
発生源は豚の間で流行していた豚インフルエンザウイルスとされ、これが農場などで豚から人に直接感染し、それから新型ウイルスとして人の間で広まったとされています。新型インフルエンザ、豚インフルエンザ(swine flu)、A型H1N1亜型インフルエンザ、H1N1インフル(H1N1 flu)など幾つかの呼称があります。
この流行が大きな問題になったのは、流行初期にメキシコにおける感染死亡率が非常に高いと報道されたからですが、実際には重症急性呼吸器症候群(SARS)のような高い死亡率は示してはいませんでした。当時の日本では、感染症予防法第6条第7項の「新型インフルエンザ等感染症」の一つに該当すると見なされ、感染者は強制入院の対象となりましたが、2009年6月19日に厚生労働省が方針を変更してからはこの扱いはなくなり、季節性インフルエンザとほぼ同様の扱いとなっています。
A(H1N1)pdm09型に対するインフルエンザワクチンは既に完成しています。2010年 - 2011年冬シーズンから接種可能なインフルエンザワクチンは、通常の季節性インフルエンザワクチン2種に加えて、新型インフルエンザワクチンにも対応した3価ワクチンに、2015年 - 2016年冬シーズンからは、A型株2価とB型株2価の4価ワクチンになっています。
このインフルエンザウイルスはエンベロープ(ウイルス粒子をの外側を囲む膜のこと。その膜に存在し、ウイルス特異的な抗体を作る免疫反応を引き起こすタンパク質)で、直径80-120nm 『ナノメートル:nmは、国際単位系の長さの単位で、10億分の1メートル』に覆われた球形のウイルスで、粒子内部には直接メッセンジャーRNA(mRNA)とはならない8分節したRNA、及びA、B、Cの型を担う核タンパク(NP)、並びに膜タンパク(M1)などを持っています。
また表面には感染を担うHA(ヘマアグルチニン:「ヘマグルチニンとは、インフルエンザウイルス、およびその他多くの細菌、ウイルスの表面上に存在する抗原性糖タンパク質」で、感染細胞から離脱する際に機能するNA(ノイラミニダーゼ)がスパイク(突起)のように現われています。
A型インフルエンザウイルスのHA、NAには型があって、その抗原性の違いでHAは16種類(H1 ~ H16)、NAは9種類(N1~N9)の亜型に、分類されます。
さてインフルエンザウイルスは抗原変異を頻繁に繰り返すウイルスとしてよく知られていますが、変異には抗原連続変異(antigen drift)と抗原不連続変異(antigen shift)の2種類があり、特に大きく抗原性の変わる抗原不連続変異は大流行の原因となって問題視されることになります。
A 型インフルエンザウイルスは動物種ごとにHA、NAの色々な亜型の組み合わせを持っており(例えばトリ:H5N1、ヒト:H1N1など)、亜型によって動物種ごとの細胞への親和性、すなわち感染のし易さの異なることが分かっています。
例えばトリの主な亜型H5N1 はヒトに、またヒトの主な亜型で季節性インフルエンザを担っているH1N1 はトリに感染し難いと考えられます。
これは細胞表面に存在するウイルスレセプター(HAが結合)であるシアル酸の構造の違いに由来しトリとヒトでは構造が異なりますので、それが亜型ごとの感染のし易さ、し難さとなって現れます。ところが動物種によってはトリ型、ヒト型両方が容易に感染する場合があり、その問題となる種がブタと考えられています。
インフルエンザウイルスのゲノムRNA は8分節していますが、それぞれの分節RNA(1~8)で、コードされているウイルスタンパクが異なっています。
通常は一種類のウイルスしか感染しないので、RNA が複製に伴っての小規模な変異である抗原連続変異は起こり得ますが、大規模な変異である抗原不連続変異は起こりません。
しかし、同一の個体(ブタ)の同一細胞に亜型の異なる2種類以上のウイルスが重複感染すると体内(細胞内)で分節したゲノムRNAのシャッフルが起こり、RNAがランダムに組み合わさった全く新しいタイプのウイルスの出現、すなわち抗原不連続変異の可能性が高まることになります。
またブタはヒトのロシアかぜ、香港かぜに類似のブタインフルエンザH1N1、及びH3N2に感染し、これらが更にヒトへ感染を起こす可能性があります。そして、今まさに感染を引き起こしているブタ由来新型インフルエンザがこれにあたる訳です。
ところで、HA には5個(A~E)のエピトープ(抗体が結合する抗原決定基)があって、エピトープの変異が進むと、異なった亜型へ変わることになります。
変異を繰り返した結果、現在のような亜型(H1~H16)が獲得され、NA の変異(N1~N9)も相まって、A型インフルエンザウイルスの多くの亜型が種々の動物種に分布するに至りました。
多くの種々の亜型が存在すると言うことは、トリ、ヒト由来の共通の宿主になり得るブタが、新型の供給元になり得る可能性を常に秘めているということでもあります。
次回に続く
【コロナウイルス時事情報】
そんな中国の武漢から新型コロナウイルスが広がりました。どうしてなのか?…誰もが等しく疑問を抱きました。当初は武漢では酪農が盛んで、貧しい酪農農家では豚の飼育小屋で人間がそのまま寝る習慣があります。そんな飼育小屋での生活から、豚インフルエンザ(変異したウイルス)が人間に感染し、拡散して行ったと考えられていました。しかし、すぐに1956年に設立された中国科学院武漢ウイルス研究所からの変異ウイルスが漏洩したのでないかとの疑問が世界中で強く抱かれるようになりました。
その後、世界保健機関WHOによって新型コロナウイルス感染症の流行 (2019年-)と武漢華南海鮮卸売市場(生動物及び魚介類を扱う市場)の関連性があるとする声明がなされたことでメディアの注目が一気に集まりました。2020年1月1日には感染拡大の予防のために、この華南海鮮卸売市場は閉鎖されています。
いずれにしても中国政府の情報隠蔽政策では、世界中が徒らに推測と疑念を膨らませ行く結果となってしまいます。これからも中国がこの様な情報隠蔽政策を続けて行くなら、私たちは常に猜疑心の塊となってこの大国と接して行くべき不安定な状況に置かれた生活を余儀なくされるのでしょうか。

診察室からコンニチハ(209)

私たち人類を10数年から数10年の間隔で苦しめるのは、前述しました様にA型インフルエンザウイルスの突然変異です。
A型インフルエンザウイルスは、感染したものの体内でどんどん進化するので、新型のウイルスが次々にできてしまいます。
そのため、流行前に作られたワクチンが対象にしていたウイルスと、構造が大幅に異なる可能性があります。つまり、一度A型インフルエンザのあるウイルスに対してワクチンができても、ウイルスが他の個体や、ときには別種の動物から発生したウイルスと結合し、より強い病原性を持つ新しいウイルスになってしまう可能性があるということです。
毎年、厚生労働省指導の元、そのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて、インフルエンザワクチンが製造されています。予測技術は高まってきているものの、上記記載の通りウイルスはどんどん進化し、製造されたワクチンが対象にしていたウイルスとは別のウイルスに進化してしまうこともあるため、「今年は当たった」「外れた」のような話が出てくるのです。
特に近年話題になったもので、世界的に流行し、致死率の高さなどで非常に恐れられた「鳥インフルエンザ」「豚インフルエンザ」なども、A型インフルエンザウイルスに含まれます。
インフルエンザウイルスにはさまざまな種類があるため、一度かかっても同じ年度内でも、違うインフルエンザウイルスに感染することがあります。
その意味で、新型インフルエンザは季節性インフルエンザ以外に、どんな季節の時期にも世界的な大流行を引き起こしうるものが存在します。
新型インフルエンザとは、動物にのみ流行していたものが、突然変異的にヒトにも病原性を示すようになったものを指します。
次回に続く
【コロナウイルス時事情報】
新型コロナウイルスは中国でどのような状況になっているのか、誰も分からないと言っても過言ではありません。
中国政府発表では2020年1月30日の段階で感染者は7,800人でしたが、当時から現場は「10万人以上の患者がいる」と切実に訴えており、その乖離は壮絶なものがあります。(編注:2月24日現在、中国の保険当局によると感染者数は7万7,658人とされています)。
中国人ですらも中国共産党政権の発表など信じていません。中国共産党政権は、常に自分たちの都合に合わせて数字を歪曲し、情報を隠蔽してしまいますので、中国で真実を言ったら公安当局にすぐ連行されてしまいます。
日本でもアメリカでも政権に反対の人は堂々と反対運動を繰り広げて何事もなく日常生活を送っているのですが、中国では同じことをやったら無事に済みません。政権に不都合な人間は「みんな消される」危険性があるのです。
新型コロナウイルスが封じ込められなかったのも、中国共産党政権が当初は情報を隠蔽していたからでしょう。いや、最初から最後まで真実を隠し、今もインターネットにも強い規制を敷いています。
情報を隠蔽する。都合の悪い真実はねじ曲げる。それが中国なのです。
この情報隠蔽が世界中に、必要以上の混乱と不安を招いたのです。















診察室からコンニチハ(208)

次にインフルエンザは、それぞれの時代を通して何故これほどまでに流行ってしまうのでしょうか?
その原因について考察してみます。
インフルエンザウイルスには、人間に感染するA型、B型、C型の3つの型があります。このうち、冬に流行する「季節性インフルエンザ」を引き起こす型は、A型とB型です。
【A型インフルエンザ】
A型インフルエンザウイルスは、他と比べ症状が激しい型です。
「インフルエンザ」と聞いて皆さんが想像するような、強烈な症状が出やすい型だと考えられています。通常一度インフルエンザにかかると、回復の過程でそのウィルスに対する免疫が体内に作られますが、A型は全世界的なインフルエンザの流行として話題になることが多く、ウイルスの形をどんどん変えて進化し続けるため(突然変異を繰り返す)、今までに獲得した免疫が機能しにくくなり、ワクチンの予測も立てにくいインフルエンザウイルスです。
その症状も強く
・38℃を超える高熱
・肺炎を含む、深刻な呼吸器系の合併症
・ものを飲み込むのが困難なほどの、のどの痛み
・関節痛、筋肉痛
・脳炎、脳症の合併症を引き起こすことがあります。
【B型インフルエンザ】
B型インフルエンザウイルスは、以前は数年単位で定期的に流行しておりましたが、近年は毎年流行しています。A型インフルエンザのように、大きな流行を起こすことはあまりないと考えられています。
・お腹の風邪の症状に近く、下痢やお腹の痛みを訴える人が多いのが、やや特徴的です。
・人と人の間でしか感染しません。
【C型インフルエンザ】
C型インフルエンザは、いったん免疫を獲得すると、終生その免疫が持続すると考えられています。再びかかったとしてもインフルエンザだとは気づかず、ふつうの風邪と思ってしまうかもしれません。
・ほとんどの大人が免疫を持っているため感染しにくく
・かかるのは4歳以下の幼児が多いとされています。
・感染してもインフルエンザとしてはかなり軽症で済むことが多いようです。
・症状は鼻水くらい。ほかの症状はあらわれにくいのが特徴です。
次回に続く
【コロナウイルス時事情報】
新型コロナウイルスに限らず、ウイルスの遺伝子診断はありふれた検査で、クリニックでもオーダーできるはずです。看護師が検体を採取し検査を外注する。SRLやBMLなどの臨床検査会社の営業担当社員がクリニックまで検体を取りに来て、会社の検査センターで一括して検査する。そして翌日には結果が届く。新型コロナウイルスに対する検査はすでに確立しています。…この検査ツールは、感染研などが実施している研究レベルでなく、臨床レベルの厳しい規制、品質管理をクリアしています。
政府がその気になり、予算をつければ、民間の検査会社を活用することにより、近所のクリニックでも、検査ができるのです。
検査の結果が陽性であっても、無症状や軽症なら、自宅にしばらくの期間こもっていればいいのです。
その分、感染が一定以上に拡大するのを防げるし、限られた数しかない入院ベッドを、重症化してしまった人のために確保することもできます。
これまでの政府の「失敗」には、狭い視野、情報不足、日本の医療への過信などがあったように思えます。もちろん、中国との外交関係、経済界への配慮や、さまざまな政治的思惑もあったに違いないのです。
政府は一刻も早く大量検査体制を整え、各医療機関には院内感染を防ぐ十分な対策を整備するよう指導すべきです。

診察室からコンニチハ(207)

日本でインフルエンザの名称が使われ始めたのは、幕末に蘭学者よりインフルエンザの名称が持ち込まれ、流行性感冒と訳されていました。日本でインフルエンザと呼ばれる以前は、江戸の人気芝居「お染久松」の「染」に掛けて俗に「お染かぜ」と言ったりもしていました。惚れた恋風に見立てた。民家の玄関に「お染御免」「久松留守」といった張り紙をしたという伝聞もあったらしいようです。
インフルエンザの歴史そのものはとても古いですが、インフルエンザの流行が科学的に立証されたのは比較的近年で、1900年頃からになります。 近年に発見されたばかりにも関わらず、100年足らずの短い期間に 「スペインかぜ」「アジアかぜ」「香港かぜ」「ソ連かぜ」と、4度ものパンデミック(大流行)がありました。
このそれぞれで、多大なる犠牲者が出ています。
その中でも、最も古い1917年~1919年にかけて大流行した「スペインかぜ」においては、全世界で6億人が感染し、死者は4000万人から5000万人だったと言われています。この猛威は当然日本でもふるわれ、人口の約半数が罹患し、約 40万人の犠牲者が出たと推定されています。
世界的に猛威をふるった例に関しては多くの記述残っていますが、それらを除いた上での日本国内の記録となると、明治6年2月から関西で、8月~10月に掛けて関東で大流行した「稲葉風」がインフルエンザと断定できる最初の流行とされています。
その後、明治23年(1890年)にインフルエンザは広く一般に「流行性感冒」として知られるようになり、昭和26年(1951年)2月2日付けの官報において「インフルエンザ」を公式の用語として使用する事が決まりました。
それ以前はどうだったのでしょうか?
インフルエンザと断定できる記述は、残念ながら確認されていません。しかし、インフルエンザではないかと推測させる記述は数多く残されています。
最も古い記述は三代実録(862年) という一般の書物で、その中には『1月自去冬末、京城及畿内外、多患、咳逆(がいぎゃく)、死者甚衆…』と記されています。他には源氏物語・夕顔(1008年頃発刊)の 中に、『この暁よりしはぶき(風邪などのせきの出る病気)やみには侍らん』という内容があり、同時期の大鏡(1010年)では、『一条法王がしはやぶきやみのため37歳で死去された』とあります。
さらに増鏡(1329年)でも、『今年はいかなるにか、しはぶきやみはやりて人多く失せたまうなかに…』と記述されています。
このそれぞれに、『咳逆(がい‐ぎゃく):せきの出る病気』という言葉が出てきています。
医学という分野に目を向けてみると、日本で現存する最古の医学書である医心方(丹波康頼著)において、この『咳逆』を『之波不岐(シハブキ)』と訓読している記述が確認されています。
では、この『咳逆』というのは一体何を指し示していたのでしょうか。
実はこれ、平安・鎌倉時代に存在したとされる疾患名で、今日でいうとインフルエンザを示すものになる…そうなのですが、この時代にウイルスという概念は存在するはずもありませんので、インフルエンザ以外の風邪症候群、肺炎、肺結核等も含まれていると考えられています。
しかし、これらの事から少なくとも現在の私たちがインフルエンザと認識するような病状の悪性の風邪は確実に存在したと考えられます。江戸時代に入るとさらに記録は詳細になり、インフルエンザを連想させる疾患を「かぜ」或いは「はやりかぜ」と呼ぶようになりました。
さらに、この時期辺りからの特徴ですが、その年毎の流行の出来事をとって『○○風』と名づけたり、インフルエンザの流行の始まった土地名をとって名づける事が多くなります。
面白いものでは、安永5年(1776年)に流行した風邪についてですが、当時人気の高かった浄瑠璃「城木屋お駒」という毒婦の祟りという事で「お駒風」と呼ばれたとの記録もあります。
その後も、1784年の「谷風(横綱 谷風梶之助が罹患した事に由来)」、続いて1802年に長崎から始まって全国へ広がった「お七風(当時の八百屋、お七の小唄が下世話に流行っていた事より)」、1807年の「ネンコロ風(ねんねんころころ節という小唄が流行っていた事より)」、1821年の「ダンホ風(当時人気だった小唄のおはやしに”ダンホサン・ダンホサン”とあった事より)」等があります。
そしてこれ以降は、地域名が用いられ、「薩摩風(1824年)」、「津軽風(1827年)」、「琉球風(1832年)」、そして1856年の「アメリカ風(開国により下田に上陸した米人が流行させた、とう噂より)」といった呼び名がつけられました。
ちなみにですが、日本国内においてインフルエンザという単語が初めて本等に記述されたのも、江戸時代になります。
江戸神田の種痘所設立の発起人である伊藤玄朴(1800~1871年)が自身の著書、医療正史(ドイツ医学書をオランダ語訳したもの をさらに日本語に訳したもの)の中において、『印弗魯英撒』と和訳したのが初めてになります。
さて、ここまでインフルエンザ歴史を平安から江戸時代にかけて掘り下げてみましたが、そのルーツは意外と深いものです。実際、この程度の情報量では、氷山の一角にも満たないでしょう。
ですが、インフルエンザと人との関わりがはるか昔から連綿と続くものである、という事は感じて頂けたと思います。
次回に続く
【コロナウイルス時事情報】
それにもかかわらず、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」をめぐって「水際パフォーマンス」を繰り広げました。安倍政権お得意の“やってる感”を演出しようとしたのでしょが、厚労省の役人の独断専行で、かえって船内感染を広げ、あげく諸外国のメディアから酷評される始末となってしまいました。
そして誰もが不思議に思ったのは、約3,700人の乗客、乗員全員のウイルス検査をなぜしないのかということだったのです。
国内でも「既にウイルスが入り込み街の中で散発的な流行が起きていてもおかしくない」とする日本感染症学会の見解がありながら、厚労省の方針で湖北省と無関係な人は検査の対象外とされ、そのためウイルスが日本の街中にどのように広がっているかについてはベールに包まれたままだったのです。
おしりに火のついた政府が民間の検査会社の助けを借りて検査体制の拡充に乗り出したのは2月12日になってからでした。
株式会社エスアールエルSRLは、厚生労働省及び国立感染症研究所の依頼により、新型コロナウイルスの検査を2月12日(予定)より受託することになりました。
SRLは日本国内の病院から送られてくる血液、便、組織などの検体を一日20万件もさばいているといわれています。ウイルス検査装置は最新式のもので、公的な研究機関とは比較にならないくらい手馴れているため、スピーディな検査が可能です。
今後はこうした民間の検査会社をもっと活用していくべきなのでしょう。政府が至急に予算をつけてメガファーマを誘致し、検査をSRLなどの民間会社にオーダーできるシステムを作り上げれば、混乱はここまで広がらなかったのではないかと悔やまれてならないのは私だけではないでしょう。
メガファーマの一つは、スイスの世界的な製薬・ヘルスケア企業「ロシュ」があります。
「ロシュ」のスタッフは、新型コロナウイルスが発見されるやすぐに現地に入り、さっそく検査ツールの開発に成功、やがて商用バージョンが民間検査会社にも投入されました。
それを報じたのが1月31日付ブルームバーグの記事でした。
スイスの製薬会社ロシュ・ホールディングは、中国で発生した新型コロナウイルスに対応する初の商業用検査ツールを投入しています。中略)同社では、数週間前に中国・武漢市を発生源とする新型コロナウイルスの存在が浮上した時に分子診断医から成る緊急対応チームが始動。スタッフが十分に配置された施設で数時間以内に診断が可能な検査ツールを開発しました。…新型コロナウイルスの感染拡大に備える他の国々からも注文を受けていると言われています。
日本のメディアで、こうした事実が報道されていません。「海外メディアが大きく報じましたが、日本メディアはほとんど扱いませんでした。緊急事態に際し、記者クラブ、役人、そのまわりにいる学者はどこを向いているのでしょう」
厚労大臣らの記者会見や、担当官僚のレクをうのみにして記事を書く記者クラブメディアの報道だけでは、われわれ国民は、世界から見て日本政府の対策がいかにズレているかを具体的に知ることはできません。
中国への渡航歴は?中国から来た人との接触は?など、いわゆる“湖北省しばり”で、一般市民を検査から切り離し、政府はこの間、ミスリードを続けてきましたが、自治体や医療機関の判断により“湖北省しばり”を突き破って検査を行う動きが広がるとともに、感染が急速に拡大しつつある実態が見えてきました。

診察室からコンニチハ(206)

今回はまた中国から流行し始めた新型インフルエンザについてのホットニュースと、これらインフルエンザの歴史、さらに疾病による被害状況について幾度かに分けて説明していきたいと思っています。
『1』まず「インフルエンザ」の語源は16世紀のイタリアで名付けられたと言われています。当時は感染症が伝染性の病原体によって起きるという概念が確立しておらず、何らかの原因で汚れた空気『瘴気(しょうき)は古代から19世紀まで、ある種の病気で、現在は感染症に分類されるもの』により引き起こすと考えられていました。冬季になると毎年のように流行が発生し春を迎える頃になると終息することから当時の占星術師らは天体の運行や寒気などの影響によって発生するものと考え、この流行性感冒の病名を「影響」を意味するイタリア語influenzaと名付けられました。この語が18世紀にイギリスで流行した際に日常的語彙に持ち込まれ、世界的に使用されるようになったと言われています。なお、日本語となっている「インフルエンザ」はイタリア語での読みと違い、イタリア語での読みは「インフルエンツァ」です。
日本では平安時代に近畿地方でインフルエンザらしき病気が流行したと記述が残っており、江戸時代には幾度か全国的に流行し、「お七かぜ」「谷風」「琉球風」「お駒風」など当時の世相を反映した名称で呼ばれていました。古くから風邪、風疫とされると考えられており、悪い風が吹いて人々を病気にするという認識があったようです。
次回に続く
【追加】
これまでのコロナウイルス騒ぎの時事的な説明を少し書いておきます。振り返ってみると、厚労省が武漢における新型コロナウイルス感染の第一報を伝えたのが1月6日でした。
昨年12月中旬にはヒト・ヒト感染が武漢市で起こっていたといわれています。中国の研究者が確認し、世界で最も影響力のある米国の医学雑誌『NEJM』に発表しています。
だとすると、1月6日の時点では、すでに武漢から感染者が日本にかなりの数、入国していた可能性があります。
第一例目の患者が国内で発見されたのが1月14日でした。これを受け、厚労省はホームページ上で「国民の皆様へのメッセージ」を掲載しています。
新型コロナウイルス関連肺炎に関するWHOや国立感染症研究所のリスク評価によりますと、現時点で本疾患は、家族間などの限定的なヒトからヒトへの感染の可能性が否定できない事例が報告されていますが、持続的なヒトからヒトへの感染の明らかな証拠はありません。武漢市から帰国・入国される方は、症状がある場合には速やかに医療機関を受診し、武漢市の滞在歴があることを申告してください。
家族間のヒト・ヒト感染をほぼ認めているのに、これが他人に移って広がっていくという可能性に言及せず、「持続的な感染への明らかな証拠はない」ということですましています。武漢市から帰国・入国する人も、これではフリーパスなのです。
この時点で湖北省からの入国規制を実施していれば、いくらか感染者の流入が少なくて済んだかもしれないのにです。
コロナウイルス時事通報として、これからもブログを通じて報告していきたいと思います。

診察室からコンニチハ(205)

【医療費の無駄遣い】考察Ⅱ
『一般薬の使用制限』
一般薬とは、正式には一般用医薬品と呼ばれ医師による処方箋を必要とせずに購入できる医薬品のことです。市販薬、家庭用医薬品、大衆薬、売薬などとも呼ばれています。また、カウンター越し(英語: over the counter)に売買されることから、OTC医薬品とも呼ばれます。
OTC医薬品の多くは、比較的に副作用が少なく長期間にわたり安全性の確立した医薬品が指定されています。ドライアイなどの目薬、筋肉痛の湿布薬、花粉症、軽度の感冒薬、胃腸薬など医師の処方なしに誰でも手に入りやすいものが殆どです。
この様なOTC医薬品の指定拡大を目指して、医療保険の適用から外して国民医療費を大幅に削減したいと厚労省は目論んでいます。
事の是非はともかく、総医療費のこれ以上の拡大に国家経済が耐えきれないのは事実でしょう。
何をもって、医療費の無駄遣いと定義するかは人それぞれに考えの違いはあるのですが、欧米諸国に比べ我が国では確かに薬の使用量が多いという現実があります。そういった意味では、一般薬の保険適応外とする考えにも支持者が出て来るのも一部の理があるかもしれません。
湿布薬や簡易な感冒薬は医療保険の適応から外して街の薬屋さんで買い求めて頂くという考えにも賛同者が多くなるのも時代の流れとなって行くのでしょうか。
次回に続く

【お知らせ】
診察室からコンニチハ(206)からは、インフルエンザ特集となります。
インフルエンザの基礎知識から、歴史的な考察、ワクチンの意味、さらに何故インフルエンザは毎年流行するのか(206)~10話ぐらいにかけて、じっくり説明して行きたいと思っていますので、しばらくお待ち下さい。

レビー小体型認知症の父の娘さんへの回答

回答が遅れて申し訳ありません。

病院もコロナウイルス対策で、かなり混乱しています。不必要と思われる忙しさで毎日が追われています。
まあ、言い訳はやめにしてお答えします。
年が明けて37.5°程度の微熱が続いていたにもかかわらず、訪問看護師が「こもり熱」と言われたとの話、さらに尿路感染なら38°cの高熱が出るなどと、医学的に根拠のない話で、さらに胸に聴診器を当てて「肺雑音がしていないから大丈夫」などとはナースの越権行為ですし、医療法からいっても問題です。日本のナースにそこまでの実力がある人が何人いるのか疑問です。医師でも40歳以下の若い医師ではろくに聴診器を使える能力のない人たちが圧倒的に多いと言われる今の時代にです。
高齢者では無熱性の肺炎も多く、熱だけで判断するのは危険です。高齢者医学に精通した医師なら誰でも知っている事なんですが…
またケアマネージャーの人に、
「レビーのお父さんに指示が入らないから」と、言われたとの話ですが、このケアマネージャーもずいぶん勉強不足な人ですね、困ったもんです。レビー小体型認知症の方にどのように指示が入るからは、専門医の実力が問われるところではありますが。
オムツ交換をする時に、お父さまが自分で頭を上げてくださるとの事でしたが、それこそ指示が入っている証拠ではないですか、全く医療に携わる人間は何を見ているのでしょうか、同業者として恥ずかしさを禁じ得ません。
リハビリにしても、その様な医療スタッフの元では無理なんでしょうね、悲しい事ですが…。
まともに高齢者医療に携わっている人たちもいるのですが、少数派なんでしょね。私もそれほど偉そうにはいえないですが、それでも多くの文献と、認知症患者さんに接しながら医師としての自分の無力をかんじながら、それでも何かお役に立てる事がないか毎日を模索しています。
一つ付け加えておきますが、「嚥下リハビリ」は先ず発声練習からです。「あ~」「あ~」となるべく大きな声を出す事から始まります。
それがある程度できる様になりましたら、「あ~ん」「あ~ん」をなるべく大きな声を出す練習をして行けば、嚥下機能は少しずつ改善してきます。今回はこの程度でお許しください。
【ご質問】
成川先生、いつもお世話になります。
昨年、11月頃に階段から落下して相談させて頂いた際には、丁寧にお返事を下さりありがとうございました。


脳神経、整形を受診し、問題はなかったのですが、結局、寝たきりになってしまいました。
そして、1月27日、誤嚥性肺炎で入院しました。(現在は退院許可が出ています、退院に向けて食事介助の指導を受けるなど、退院に向けて準備をしています)
今回は退院後のサポートについてご意見を伺えたら、と思い、投稿させて頂きました。
長文にて、毎回失礼いたします。
まずは入院までの経緯について
説明させてください。
昨年11月、階段から転倒。
12月26日、褥瘡の為、皮膚科の先生の往診。仙骨とかかとに褥瘡ができました。
(膝が硬直して曲がったままだったのでかかとに圧がかかり、かかとに褥瘡ができました)
12月27日より、毎日、訪問看護師の方に褥瘡の処置に来てもらってました。


年が明けてから、37度5程度の微熱が続くようになり、
『尿炉感染などの可能性はありますか?』と来てくれた看護師さんに聞いたら、
『暖房のきいた部屋で羽毛布団を掛けているから"こもり熱"だと思う、尿炉感染は38度を越える』と言われました。
入院の10日程前、38度を越える高熱で、
ゼーゼーしました。
『肺炎は大丈夫ですか?』と聞いたら、
看護師さんが胸に聴診器をあててくれて、
『特に音がしないから大丈夫です』と言われました。
そして、1月27日の朝、顔を拭いた時に、何かしらの違和感を感じ、熱を計ったら、
39度5でした。
すぐに総合病院を受診した所、"誤嚥性肺炎"でした。
先生からは、もっと早くに連れてくるべき、と言われましたが、
毎日、看護師の方が来てくれて、
その都度、微熱や高熱、気になることを話していたし、大丈夫と言われて安心してしまってた。
ゼーゼーしてた時も聴診器をあててもらって大丈夫と言われた。
と伝えたら、
『肺炎はレントゲンじゃないとわからないよ!』と言われても、素人の私にはそんなこと分かるはずもなく…
しばらく前から肺炎を起こしていたようです。
すぐに内科受診を考えるべきでしたが、
看護師さんの『大丈夫』を鵜呑みにしていたことに、後悔と反省をしました。
先生からは、寝たきりにさせていた事、
食事も全て介助していた事を指摘されました。
自分で食べるより、
人から食べさせてもらう方が、
誤嚥性肺炎になりやすい事。


ケアマネージャーの人に
『何とか歩けるよう、訪問リハビリか訪問マッサージを受けたい。
もし歩けないとしても、自分で食事をして、排泄も自分の力で出来るようにさせたい』
と言っていたのですが、

"レビーのお父さんに指示が入らないから、そんなのしても元には戻らないよ"と言われてしまい、もう何も言えませんでした。
確かに、指示が入らないかもしれません。


でも、オムツを変えるとき、褥瘡の薬のパットを張り替える時、やり易いように身体を傾けようとしてくれるんです。
頭が枕から落ちているとき、
『枕を入れるよ』って、手で頭を持ち上げると、
自分でも頭を上げようとするんです。
だから、全然分からない訳ではないと思うんです。
ケアマネージャーの方に、
私の意見ばかり言っても、客観的な意見を聞かないただのワガママになると思い、それ以上は何も言えませんでした。
もっと早く、
転倒前の状態まで回復するよう、
何とかしていれば…と思うと、


悔しくて仕方ありません…
退院が近くなり、歩けないにしても、
マッサージやリハビリで褥瘡が出来ないように寝返りが自分で出来るように欲しい、
排泄も自力で出来るよう何とかならないか、と看護師や相談員の方に相談をしていますが、
『お父さんは指示が入らないので無理です。リハビリをすることで、動けるようになり、ベッドからの転倒の方が怖い』と言われます。
そう言われると、何も言えなくなります。
特に便が心配で、
今は摘便をしてもらっています。
この摘便をなるべくしてもらわなくても良いように、自力で何とかならないかな…と思っています。
というより、退院後、
自力で便が出せなければ、どうしたら良いのか…。
その質問に対しては、
『その時は、内科を受診して、
訪問看護を使って、摘便してもらって…』とのことです。
そして、心配なことが有れば、訪問看護の看護師に相談して…と言われて。。
訪問看護の看護師の方を信じて相談をしていたからこそ、肺炎に気づくのが遅くなったのに…
やはり、診断をしてくれるのは、医師の方だと思うのですが…
寝たきりで内科受診…?
往診は…?と聞くと、
『血圧も血糖値も正常値。内科的に問題がないから往診を受けてくれる病院はない』と言われました。


座位が取れるようになれば、
お腹に力も入り、
出るようになるのではないか…、
そう感じます。。
そもそも、"指示が入らない"という言葉自体に違和感を感じます。
"指示が入らない人"は、
機能が衰えるのは仕方ない、
改善させる必要もない…、、


認知症患者はこれほどまでに軽視されるものなのでしょうか…。
看護師の方のいうとおり、
"指示が入らない"人には、
何も出来ないってことなのでしょうか?
肺炎は治りました。
じょくそうは仙骨のみまだ完治しておらず、
皮膚科の先生にお世話になる予定です。
皮膚科の先生の判断ですが、
入院前のように毎日、訪問看護の看護師の方に来てもらった方が良ければ来てもらうつもりでいます。
いつも先生におたずねして申し訳ありません。
先生のご意見を参考にさせて頂きながら、
退院に向けて準備を進めていきたいと思っております。
ご多忙な中、いつも申し訳ありません。
先生のお時間のあるときに、
先生のご意見をお聞かせください。












診察室からコンニチハ(204)

これ以外にも人間ドックには幾かの問題点が指摘されています。コレステロールや糖尿病のデータさらには血圧の数値など、ほとんど正常域のデータであるにもかかわらず、ただ機械的な数値だけで判断を(異常数値とみなし)くだし、要再検を支持される事です。熟練した医師からみれば再検査の必要は全くないのですが、機械的処理に全面委託すると、しばしばこの様な事態が発生するのです。
この機械頼みの為に患者さん方は、忙しい時間を割いて再度病院受診を余儀なくされます。これも紛れなく医療費の無駄遣いに繋がります。通常の人間ドッグでは90%以上の人で意味ある検査データ異常は見つからないといわれています。
しかし、この逆のケースもあります。人間ドックでかなりの検査異常を指摘されたにもかかわらず、仕事の忙しさを理由に全く病院に再検査をしに行かない人がいるのです。血圧も最大血圧が200以上もあるのに、まるで無関心の人がいるのです。これでは何の為に高いお金を支払って人間ドックの検査を受けたのか意味が分かりません。それ以外には、アルコール性肝障害や極度の肥満による多くの成人病なども含まれます。その様に強い成人病が疑われる検査データを提示されても、それをまるで無関心に過ごしてしまう人の何と多い事か?
私がまだ30代ぐらいの新米医師の時代は、ムキになって喫煙、飲酒、肥満などの問題を患者さん方に説明していました。でも私のそんなムキな説明に耳を貸して頂ける方は、3割ぐらいの人たちだけでした。
そんな私も医師になって30~40年と経つにつれ、患者さんに対しては淡々とした検査データの異常と対応のみを説明する様にしています。
あまりムキになって説明していますと、逆切れされるケースが多くなって来たからです。
次回に続く

【お知らせ】
診察室からコンニチハ(206)からは、インフルエンザ特集となります。
インフルエンザの基礎知識から、歴史的な考察、ワクチンの意味、さらに何故インフルエンザは毎年流行するのか(206)~10話ぐらいにかけて、じっくり説明して行きたいと思っていますので、しばらくお待ち下さい。